Sightsong

自縄自縛日記

吉田哲治+永武幹子@なってるハウス

2020-07-26 21:59:59 | アヴァンギャルド・ジャズ

入谷のなってるハウス(2020/7/26)。

Tetsuji Yoshida 吉田哲治 (tp)
Mikiko Nagatake 永武幹子 (p)

意外なのかどうなのかよくわからないが初共演。当初の予定が延期されていたこともあり、なおさら楽しみにしていた。

曲はすべて吉田さんのオリジナル。旋律には哀愁があって、しみじみとして、どこかの情景が目に浮かぶようで、とてもいい。しかし演奏は枯れているというわけではなく、これにも味があってたまらない。

2曲目の「ハイ・デ・ボッチ」は栗田妙子さんとのデュオではぎくしゃくしているおもしろさを感じたのだが、この日は、大きなピースをふたりで渡しあう非対称なゲームのような印象を覚えた。池田芳夫さんとそのお弟子さんのムロタさんとの頭文字を取った「IM2」では、はじめはピアノが伴奏のようでいて、やがて音を引き寄せた。他の曲でもそうだったのだが、この、ピアノソロでの引き寄せと短時間での独創的な音世界の構築が永武さんらしく思えた。

ピアニストが変わるとこうもサウンドの印象が異なる。セットごとに栗田さんと永武さんとで交代するギグを観ることができたら愉しいにちがいない。

Fuji X-E2、7Artisans 12mmF2.8、XF60mmF2.4

●吉田哲治
吉田哲治+栗田妙子@東中野セロニアス(2020年)
吉田哲治『December』、『Eternity』(2019年)
吉田哲治『Jackanapes』(2018年)
FIVES & 鈴木常吉『童謡』(1991年)
のなか悟空&元祖・人間国宝オールスターズ『伝説の「アフリカ探検前夜」/ピットインライブ生録画』
(1988年)
生活向上委員会大管弦楽団『This Is Music Is This?』(1979年)

●永武幹子
松丸契+永武幹子+マーティ・ホロベック@なってるハウス(JazzTokyo)(2020年)
吉野弘志+永武幹子@アケタの店(2020年)
酒井俊+纐纈雅代+永武幹子@本八幡cooljojo(2019年)
かみむら泰一+永武幹子「亡き齋藤徹さんと共に」@本八幡cooljojo(2019年)
酒井俊+青木タイセイ+永武幹子@本八幡cooljojo(2019年)
古田一行+黒沢綾+永武幹子@本八幡cooljojo(2019年)
蜂谷真紀+永武幹子@本八幡cooljojo(2019年)
2018年ベスト(JazzTokyo)
佐藤達哉+永武幹子@市川h.s.trash(2018年)
廣木光一+永武幹子@cooljojo(2018年)
植松孝夫+永武幹子@中野Sweet Rain(2018年)
永武幹子+齋藤徹@本八幡cooljojo(JazzTokyo)(2018年)
永武幹子+類家心平+池澤龍作@本八幡cooljojo(2018年)
永武幹子+加藤一平+瀬尾高志+林ライガ@セロニアス(2018年)
永武幹子+瀬尾高志+竹村一哲@高田馬場Gate One(2017年)
酒井俊+永武幹子+柵木雄斗(律動画面)@神保町試聴室(2017年)
永武幹子トリオ@本八幡cooljojo(2017年)
永武幹子+瀬尾高志+柵木雄斗@高田馬場Gate One(2017年)
MAGATAMA@本八幡cooljojo(2017年)
植松孝夫+永武幹子@北千住Birdland(JazzTokyo)(2017年)
永武幹子トリオ@本八幡cooljojo(2017年)


近藤直司+永田利樹+武田理沙@喫茶茶会記

2020-07-26 01:02:06 | アヴァンギャルド・ジャズ

四谷三丁目の喫茶茶会記(2020/7/25)。

Naoji Kondo 近藤直司 (ts, bs, ss)
Toshiki Nagata 永田利樹 (b)
Risa Takeda 武田理沙 (p, synth)

意外で聴いてみたいと思わせられる組み合わせ。

近藤直司さんのサックス3本はそれぞれ特徴が異なるようだ。バリトンは高密度な音塊というよりも、多少隙間があり、キー操作の音も聴こえるために、メカニカルな楽器の魅力が感じられた。そのために重くありながら軽くもあるという両面性が発揮されているように聴こえる。テナーは高音から低音まですべての音域が充実している。ソプラノは音圧をとても強くすることで短い管ゆえの揺らぎを封じ、一気に音が耳に届く驚きがあった。

永田さんのコントラバスは重量級だが足腰がばねのようで、時々刻々と柔軟な変化をみせてくれた。武田さんがシンセを弾くときには弦のなかほどを押さえて響きの大きさも重さも抑制し、一音一音が強くなるピアノであればフルで低音を鳴らしているようにみえた。近藤さんと武田さんのふたりの音におもむろにピチカートで入っていくときの快感はコントラバスならではだ。

そして武田さんの演奏は自身のなかでの壁がないように思えた。シンセとピアノはびっくりするほど連続的であり、そのピアノでもこれと拘泥するのではなく屈託なく左から右まで叩くありように激しいおもしろさを覚えた。またシンセの音を空中に漂わせたり濁らせたりして空気を支配する時間もあった。

ぜひ再演も観たい。

Fuji X-E2、7Artisans 12mmF2.8、XF60mmF2.4

●近藤直司
長沢哲+近藤直司+池上秀夫@OTOOTO(2018年)
のなか悟空&人間国宝『@井川てしゃまんく音楽祭』(2016年)
のなか悟空&元祖・人間国宝オールスターズ『伝説の「アフリカ探検前夜」/ピットインライブ生録画』(1988年)

●永田利樹
ジョー・フォンダ+永田利樹@渋谷メアリージェーン(JazzTokyo)(2018年)
藤井郷子オーケストラ東京@新宿ピットイン(2018年)
かみむら泰一session@喫茶茶会記(2017年)
フェローン・アクラフ、Pentax 43mmF1.9(2004年)

●武田理沙
松本ちはや+武田理沙@なってるハウス(2020年)
mn+武田理沙@七針(2019年)
武田理沙『Pandora』
(2018年)