大野弁吉という人は、長崎で蘭学を学んだあとに対馬や朝鮮半島に渡り、最後は金沢に流れついた国際人だった。
金沢港の大野弁吉からくり記念館では、弁吉だけでなく現代に至るまで「からくり」に取り憑かれた人たちの作品を展示してあった。愉しい。
弁吉は写真機も発明した。展示された写真を見ていると、たしかにとんでもない霊力が伝わってくる。ずいぶん前に英国のタルボットの墓参りをしたときも、この産業の起点となった力に痺れたものだった。ところで、高橋克彦『偶人館の殺人』では、弁吉の写真機発明がタルボットどころかフランスのダゲールよりも前だったのではないかと匂わせているけれど、さすがにそれは無理があるというもので。