Sightsong

自縄自縛日記

竹内洋『丸山眞男の時代』

2021-09-16 08:07:45 | 思想・文学
丸山眞男の『「である」ことと「する」こと』(『日本の思想』)所収)はいまでも大変すぐれた論考だと思っていて、だらしのない人を目にするとよくこれを思い出す。
それはそれとして、竹内洋『丸山眞男の時代』(中公新書、2005年)には驚かされた。大学、ジャーナリズム、在野のどこに「真の知識人」を見出し、どこに「疑似インテリ」を見出すか。丸山や吉本隆明に向けられた視線にも、丸山や吉本やその取り巻きたちにより発せられる言説にも、その観点が怨恨とともに絡み合っていた。
吉本は丸山について「ここには思想家というには、あまりにやせこけた、筋ばかりの人間像がたっている。学者というには、あまりに生々しい問題意識をつらぬいている人間の像がたっている。」と批判したそうだけれど、いやいや、吉本だって「似たようなもん」ではないのかな。