『オフショア』という「アジアを読む文芸誌」がとてもいい。
dj sniffさんのインタビューも興味深いし、なんといっても宮里千里さんのエッセイ「BALI~八重山~奄美 アッチャーアッチャー」。沖縄や奄美の唄者たちがバリのガムランと共演したときのことを読むと、傑出した音楽家は全感覚を総動員して異文化との出会いを形にしていることが実感できる。かんたんに「コラボレーション」なんて言ってはいけないのだ。
宮里さんは久高島の祭祀イザイホーや奄美のストリートシンガー里国隆さんの音を録音した人で、いまは那覇の栄町市場で小さな古書店をやっている。2回足を運んだが不在で、娘さんの綾羽さんとはいいお話ができた(調べていることがあると言うと、沖縄民謡の生き字引ビセカツさんにつないでくれた)。綾羽さんの著書『本日の栄町市場と、旅する小書店』はいつ読んでもたのしい。また行きたいがなかなか行けない。
●参照
宮里綾羽『本日の栄町市場と、旅する小書店』
宮里千里『琉球弧の祭祀―久高島イザイホー』
里国隆のドキュメンタリー『黒声の記憶』
里国隆のドキュメンタリー『白い大道』
1985年の里国隆の映像
『1975年8月15日 熱狂の日比谷野音』