岡真理『ガザとは何か』(大和書房、2023年)。ここまで簡潔にまとめてわかりやすいメッセージとして出すのは緊急性のゆえだけれど、複雑な問題を考える際には基本書に戻るべきということもまた真実で、臼杵陽『世界史の中のパレスチナ問題』(講談社現代新書、2013年)を引っ張り出してきた。
臼杵さんの本からは、1993年のオスロ合意がその後なぜいい形に進まなかったのかを把握することができる。なによりアメリカが交渉の埒外に置かれていたことは重要で(ラビンとアラファトの間にクリントンが立って「大きなアメリカ」を演出していたけれど)、すでにその段階で力を失いつつあったアメリカが「9・11」を経てまた奇怪な姿になってきたことの捉え方も変わろうというものだ。
岡さんの本では、去年10月のハマースによるイスラエル攻撃について、ハマースを一方的に悪とする偏った報道がなされており、もとより抵抗権の行使なのだとしている。後者はともかく、前者についてはよくわからない。