クラリネット奏者のパエド・コンカさんは東京でも多くのギグを行っているけれど、大阪でしか体験できない組み合わせでの演奏があり、連日足を運んだ。
●2024/10/20 Studio T-Bone
Paed Conca (cl)
StePper (dance, electronics)
Rabito Arimoto 有本羅人 (tp, bcl, etc.)
StePperは足元の衝撃を電気信号に変換し、机上のエレクトロニクスとともにサウンドを創出する。身体の動きが楽器ではないパスを通じて音になり、電気信号になろうとなるまいとその場での物理的な音と重なる。つまり通常のミュージシャンは楽器やデバイスを操作する人なのだとして、StePperの場合にはそのレイヤーが衝撃音、衝撃から変換される二次的・三次的な音、エレクトロニクスと三重に重なっている。ここに入ってくるパエドさんのクラは筒内壁の粘りを意識させるもので、それゆえ全体サウンドの中を猛禽が突き抜けるように飛ぶ。加えて有本羅人さんの多様な刺激が場のあちこちに刺激を与える。こうなるとサウンドは変貌し続けるのであって、いくらでもサウンドの一部になったように観察していられるものだった。
●2024/10/21 satone
Paed Conca (cl)
Takumi Seino 清野拓巳 (g)
Masaki Kai 甲斐正樹 (b)
Kiyoshi Tsurumaki 弦牧潔 (ds)
清野拓巳さんのギターとパエドさんのクラがエモーショナルな厚みを作り上げる。この力はちょっと驚かされるほどのものだった。甲斐正樹さんはこの交感世界の住人になり、ピチカートの一音一音の効果を最大化して場の力を高めるように響かせた。弦牧潔さんのドラムスもまたみごとで、さざ波によって大きなうねりを作り出す感覚。最後にしばらく繊細なドラミングの時間が与えられたのは集団即興の妙。
Fuji X-E2, XF35mmF1.4, Leica Elmarit 90mmF2.8 (M)
●パエド・コンカ
The Mad Laboratory of Anti Matter@代々木上原Hako Gallery(2024年)
ポルタ・キウーザ『because life should be so wonderful (I)』と大阪でのライヴ(2019年)
PORTA CHIUSA@本八幡cooljojo(2018年)
●有本羅人
自由部活女子 — 大前チズル+吉田野乃子@大阪Studio T-Bone(2024年)
アンサンブル・シッポリィ@神戸100Ban Hall(2024年)
有本羅人+類家心平+細井徳太郎+池澤龍作+レオナ@神保町試聴室(2021年)
アンサンブル・シッポリィ『Dancing Shippolly』(JazzTokyo)(2020年)
ポルタ・キウーザ『because life should be so wonderful (I)』と大阪でのライヴ(2014、18年)
詩×音楽(JAZZ ART せんがわ2018)(JazzTokyo)(2018年)
西島芳アンサンブル・シッポリィ『Very Shippolly』(2017年)
●甲斐正樹
かみむら泰一+塙正貴+甲斐正樹+大村亘@荻窪ベルベットサン(2024年)
閑喜弦介+甲斐正樹@本駒込Juhla Tokyo(2024年)
甲斐正樹+遠藤ふみ+則武諒@神保町試聴室(2023年)
野津昌太郎+塙正貴+甲斐正樹@池袋FlatFive(2023年)
遠藤ふみ+蒼波花音+甲斐正樹@中野Sweet Rain(2023年)
Yukari Endo Project『DROP, DROP, SLOW TEARS』レコ発@渋谷公園通りクラシックス(2023年)
渋谷毅+外山明+甲斐正樹@なってるハウス(2023年)
遠藤ふみ+甲斐正樹+則武諒@神保町試聴室(2023年)
Yukari Endo Project『DROP, DROP, SLOW TEARS』(2022年)
遠藤ふみ+甲斐正樹+則武諒@神保町試聴室(2022年)