土井善晴さんと中島岳志さんの対談本『料理と利他』(ミシマ社、2020年)がとっても刺激的。『コロナ後の世界』(筑摩書房)に収録された中島岳志「一汁一菜のコスモロジー――土井善晴論」を読んでおおおもしろいなと思っていたばかりで(仕事が環境問題だからなんでも相手にするんですよ)、さっそく読んだ。もとより土井先生の独特な自由さや脱力感はずっと気になっていた。
ここでなんども強調される「レシピばかりを見てはいけない」、「むらがあったほうが美味しい」(同じ食材の中でも!)という思想は、実は、間違いのない設計思想や、こうでなければならないという権威への依存や、身体感覚と切り離した機能への過信など、行き過ぎた近代への批判でもあった。それも、愉しくてナチュラルな。オススメ。