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Sightsong

自縄自縛日記

立教大学アメリカ研究所主催シンポジウム「沖縄をかたり継ぐこと――山城知佳子の映像作品における暴力と救済の形象」

2025-02-02 10:27:54 | 沖縄

山城知佳子さんのシンポジウム 立教大学アメリカ研究所主催のシンポジウム「沖縄をかたり継ぐこと――山城知佳子の映像作品における暴力と救済の形象」を聴講。

山城さんの《アーサ女》(2008年)を観て「なること」の力に驚かされたのは、国立近代美術館の『沖縄・プリズム 1872-2008』展(2008年)だった。だがこの人の表現には続きがある。

上映された作品は、《肉屋の女》(2012年)、《土の人》(2019年)、《チンビン・ウエスタン》(2019年)、《リフレーミング》(2022年)。すべて3画面の映像インスタレーションであり、ここは大学の講義室ゆえ前三者は1画面、《リフレーミング》は3トラックをまとめて1画面。つまり参考上映だが、それでも刺激的だった。(たしかに2021年の東京都写真美術館『山城知佳子 リフレーミング』展における《土の人》上映は忘れがたい。)

まとめて鑑賞して印象に残ったことは、肉、土、狂といったものを象徴させる「まつろわぬ者」たちの存在、その不服従が沖縄戦など歴史的なトラウマと無縁ではありえないこと。その反対側に水という生まれ変わりの媒質があること。

上映後のシンポジウムで、山城さんはすごいことを語った。《あなたの声は私の喉を通った》(2009年)は戦争体験者の語りを一言一句自分の声で語りなおす作品だが、完成後、そのおじいさんの声を吞み込んでしまった感覚があった、と。他人の声がつねにお腹の中にあって、そこから毎日「肉が迫ってきた」と。だから《肉屋の女》はお腹の中の声を追った心象風景のドキュメントでもあった、と。

●山城知佳子
『沖縄の“眼”になった男 〜写真家・平良孝七とその時代〜』(2023年)
『山城知佳子 リフレーミング』@東京都写真美術館(2021年)
『けーし風』読者の集い(31) 「生きる技法」としての文化/想像力(2016年)
コザ暴動プロジェクト in 東京(2016年)
沖縄・プリズム1872-2008(2008年)


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