ネイト・ウーリー『Argonautica』(Firehouse 12 Records、2014年)を聴く。
Nate Wooley (tp)
Ron Miles (cor)
Cory Smythe (p)
Jozef Dumoulin (Fender Rhodes and Electronics)
Devin Gray (ds)
Rudy Royston (ds)
ネイト・ウーリーのトランペットとサウンドの魅力は宙ぶらりん感にあると思っていて、一方、本盤では、金管ふたり、鍵盤ふたり、打楽器ふたりで激しく盛り上がってゆく音楽を展開している。しかし「らしくない」のかと言えばそうではない。サウンドの中にはウーリーによる虹色の宙ぶらりん感要素はあって、たとえば、ロン・マイルスが朗々と連続的に吹くコルネットとの比較が愉しい。
また、JOEさんのレビューの通り、ヨゼフ・デュムランのフェンダーローズとエレクトロニクスがサウンドを支配する瞬間がかなりあって、耳を奪われる。時空間を掻き乱したり、不穏な基底音を与えたりして、このカッコよさは半端ない。30-40分あたりのクライマックスにおいて繰り出してくるサウンドの圧も凄い。
ドラムスがふたりのどちらなのかよくわからないが、ルディ・ロイストンの強いスティック音かなと思えるパルスが聴こえてくる。
45分の中でドラマが華麗に移り変わっていく。傑作。
●ネイト・ウーリー
ネイト・ウーリー+ケン・ヴァンダーマーク『East by Northwest』、『All Directions Home』(2013、15年)
ネイト・ウーリー『(Dance to) The Early Music』(2015年)
アイスピック『Amaranth』(2014年)
ネイト・ウーリー『Battle Pieces』(2014年)
ネイト・ウーリー『Seven Storey Mountain III and IV』(2011、13年)
ネイト・ウーリー+ウーゴ・アントゥネス+ジョルジュ・ケイジョ+マリオ・コスタ+クリス・コルサーノ『Purple Patio』(2012年)
ネイト・ウーリー『(Sit in) The Throne of Friendship』(2012年)
ネイト・ウーリー『(Put Your) Hands Together』(2011年)
ジョー・モリス+アグスティ・フェルナンデス+ネイト・ウーリー『From the Discrete to the Particular』(2011年)
ハリス・アイゼンスタット『Canada Day IV』(2015年)