駒込の東京琉球館に足を運ぶ。ここに来るのも久しぶりだが(今年来たっけ?)、板橋文夫さんをここで観るとなると、移転前の「どぅたっち」で李政美さんとのデュオ以来だ(板橋文夫+李政美@どぅたっち、2012年)。そのときは、板橋さんの剛腕によって鍵盤がひとつ眼前を飛翔するところを目にしたのだった。もっとも、板橋文夫『みるくゆ』のレビューを書くにあたって、店主の島袋さんに「さとうきび畑」の沖縄における受容についてあれこれと相談したりもした。
Fumio Itabashi 板橋文夫 (p)
Keisuke Ota 太田恵資 (vln)
十余人が座る狭いスペースで、板橋さんはニコヤカに座り、雷のような激烈さと抒情とが共存するピアノを弾いた。太田さんはその展開と並走し、サウンドの彩りをさまざまに加えた。
第1部は、クリスマスであるから「Memories of Christmas」、ブラジルへの旅をモチーフにした「サンパウロ、サンパウロ」、「たそがれのリオ」、次に「どうにかなるんべー」。
第2部は、こんど来日するエルメート・パスコアールの曲を5曲。壁にはエルメート直筆の楽譜(!)が貼られた。板橋さんはエルメートのことを何度も「天才」だと言った。しかし演奏となると、エルメートの色を板橋文夫の色で塗ってゆくのが意外で面白いものだった。「ぶっつけ本番」だということだったが、ぜひ録音してほしいものだ。そして板橋さんの「For You」。
ちょうど板橋さんのお姉さんもいらっしゃっていて、誕生日を迎えたばかりということで「Happy Birthday」、それから「Take the A Train」をブギウギ風に激しく攻めて締めた。わたしも差し入れのケーキをいただいた。
Fuji X-E2、XF35mmF1.4
●板橋文夫
森山威男@新宿ピットイン(2016年)
板橋文夫+纐纈雅代+レオナ@Lady Jane(2016年)
板橋文夫『みるくゆ』(2015年)
森山・板橋クインテット『STRAIGHTEDGE』(2014年)
寺田町+板橋文夫+瀬尾高志『Dum Spiro Spero』(2014年)
板橋文夫+李政美@どぅたっち(2012年)
立花秀輝『Unlimited Standard』(2011年)
峰厚介『Plays Standards』(2008年)
板橋文夫『ダンシング東門』、『わたらせ』(2005、1981年)
板橋文夫『うちちゅーめー お月さま』(1997年)
森山威男『SMILE』、『Live at LOVELY』(1980、1990年)
https://www.youtube.com/watch?v=D9A1eLEwHS8