久しぶりに、降旗康男『居酒屋兆治』(1983年)を観る。(何しろ高倉健なので・・・。)
20年ぶりくらい前には大原麗子くらいしか意識していなかったが、ちあきなおみ、伊佐山ひろ子、細野晴臣、佐藤慶など脇役が超豪華。
それはともかく、固定化しまくったジェンダー、バルネラビリティへの願望、暴発することがわかっている抑制、場末感など、もうやりたい放題。妄想を正直に形にした映画という意味では傑作か(笑)。
●降旗康男
○降旗康男『地獄の掟に明日はない』(1966年)
○降旗康男『あ・うん』(1989年)
○張芸謀・降旗康男『単騎、千里を走る。』(2006年)
○降旗康男『あなたへ』(2012年)
高校生の頃でした。
観終わって劇場を出てから一緒だった友人と映画については一言も語らずに別れた記憶があります。
この映画には何とも言い難い違和感を感じましたが、なるほど「妄想を正直に形にした映画」。
30年たってやっと腑に落ちました。
『駅』は観ていないのですが、同じ降旗監督の『夜叉』も、妄想暴走映画でした。
大原麗子の壊れ方が理解できなくて。
30才過ぎて観たら印象も変わったかもしれません。
そうですか。『夜叉』は観ていませんがちょっと私にはキツイですね。
『駅』はわりと抑制の効いた名画だったと思いますが、今観たらどう思うかわかりません。
脚本が倉本總ですからまあまあかと。
『あ・うん』にも、ツボをつかれて不覚にも感動してしまいました。しかし、呆れるのではなく感動するのは、たまたまレセプター側の事情がそうだったというだけで。
早い時点で降旗康男から離れていたら、もっと違う魅力の健さんを観ることができたかもしれないと思うと少々残念です。
おじさんの妄想映画が通用する世の中ではなくなってしまいましたから。
なんだかんだとケチをつけつつ、また何か観ることにします。