御茶ノ水のNARU(2019/2/3)。
Gene Jackson (ds)
Mayuko Katakura 片倉真由子 (p)
Pat Glynn (b)
Guest:
David Bryant (p)
NARUでのジーン・ジャクソン2デイズの2日目。前日はピアノがデイヴィッド・ブライアントで、ゲストが沢山参加して大変な賑わいだったらしい。わたしは米国から帰国したばかりで出かける元気がなく酒を飲んでいた。
この日のピアノは片倉真由子。誰かがこの人のことをモンスターと呼んでいたが、その通りである。美学的なオリジナリティが半端なく高く、しかもそれを職人的にこなしている。
ファーストセットは、ハービー・ハンコックのアレンジによる「I Love You」から。ジーンがハービーのトリオに在籍していた時代の貴重な録音『Live in New York』(ブート)において冒頭で演奏し、またそのこともあって、ジーンの初リーダー作『Power of Love』でもやはり最初に演奏した曲である。そしてここでも片倉さんは特有の和音を響かせた。
続いて、『Power of Love』にも収録されたジーンのオリジナル「Great River」、モンクの「Ugly Beauty」。オリジナル「Lightning」では片倉さんはジーンの方を視ながら執拗に同じパターンを繰り返す。動悸動悸する。
セカンドセットは、『Power of Love』でピアノを弾いたガブリエル・ゲレーロの「Land of the Free」から始まり、片倉さんのピアノは「The Man I Love」のようでも「Rhapsody in Blue」のようでもあるきらびやかな展開をみせた。そして「A Dancer’s Melancholy」(片倉)、「Body and Soul」。ここで遊びにきていたデイヴィッド・ブライアントがシットインし、かれのオリジナル「Higher Intelligence」。浮上してきた美的なものを音に変換する片倉さんのピアノに比べ、デイヴィッドのそれには別の芯が入っている。もちろんどちらも最高のピアニストである。(年末におでんを食べて以来で、嬉しかった。)
サードセットは「Lapso」(ゲレーロ)、ジーンの「Before Then」。ここで再びデイヴィッドが入り「Sophisticated Lady」。遊び心というにはその領域が広すぎる。そして再び片倉さんに替わり、なんと「Inception」。マッコイ・タイナーのモードがこのような独自世界に融合されるのかと驚いた。
それにしても、素晴らしいピアニストふたりを同じギグで観るなんて。
●ジーン・ジャクソン
レイモンド・マクモーリン@御茶ノ水NARU(2019年)
レイモンド・マクモーリン『All of A Sudden』(2018年)
ジーン・ジャクソン・トリオ@Body & Soul(2018年)
ジーン・ジャクソン(Trio NuYorx)『Power of Love』(JazzTokyo)(2017年)
オンドジェイ・ストベラチェク『Sketches』(2016年)
レイモンド・マクモーリン@Body & Soul(JazzTokyo)(2016年)
及部恭子+クリス・スピード@Body & Soul(2015年)
松本茜『Memories of You』(2015年)
デイヴ・ホランド『Dream of the Elders』(1995年)
●片倉真由子
レイモンド・マクモーリン@御茶ノ水NARU(2019年)
レイモンド・マクモーリン『All of A Sudden』(2018年)
レイモンド・マクモーリン+片倉真由子@小岩COCHI(2018年)
ジーン・ジャクソン・トリオ@Body & Soul(2018年)
北川潔『Turning Point』(2017年)
●デイヴィッド・ブライアント
マリア・グランド『Magdalena』(2018年)
ルイ・ヘイズ@Cotton Club(2017年)
エイブラハム・バートン・カルテットとアフターアワーズ・ジャムセッション@Smalls(2017年)
ルイ・ヘイズ『Serenade for Horace』(-2017年)
マリア・グランド『Tetrawind』(2016年)
レイモンド・マクモーリン@Body & Soul(JazzTokyo)(2016年)
ルイ・ヘイズ@COTTON CLUB(2015年)
レイモンド・マクモーリン『RayMack』、ジョシュ・エヴァンス『Portrait』(2011、12年)