デイヴィッド・マレイ『Live at the Village Vanguard』(1986年)を観る。以前、ある所からVHSをいただいて観たことはあるのだが、それはノイズだらけだった。こうしてDVDにしてくれると嬉しい。
David Murray (ts)
John Hicks (p)
Fred Hopkins (b)
Ed Blackwell (ds)
どうだ参ったかという鉄壁のグループだ。マレイはフリーもトラディッショナルも貪欲にわがものとして吸収し、しかもクリシェとさえ言えそうな己の声を通じて音楽を発してきたスーパーマンである。安易に同じパターンを繰り返してるんじゃないよ、といった批判を昔から多く目にするし、実際そのような側面も笑ってしまうくらい多いのではあるが、それでもマレイの偉大さと功績は揺るがないのだ。このグループによる表現も、80年代のひとつの頂点なのではないかとさえ思えてくる。
ジョン・ヒックスはエッジをきかせた和音をガンガンと繰り出しつつ、その合間に、繊細で抒情的で熱い旋律を迸らせる。フレッド・ホプキンスのベースはR&B的にジャンピーだ。そして悠然とずんずんどっこ、ずんずんどっこ、とお祭り太鼓を叩くエド・ブラックウェル。
「Murray's Steps」や「Morning Song」といったマレイの得意曲は今となってはベタに聴こえるが、それでも、聴いているとどうしようもなくウズウズして燃えてきてしまう。お願いします、また小編成で新宿ピットインに来て狂乱の渦を巻き起こしてください。
●参照
デイヴィッド・マレイ・ビッグ・バンド featuring メイシー・グレイ@ブルーノート東京(2013年)
デイヴィッド・マレイ『Be My Monster Love』、『Rendezvous Suite』(2012、2009年)
ブッチ・モリス『Possible Universe / Conduction 192』(2010年)
ワールド・サキソフォン・カルテット『Yes We Can』(2009年)
デイヴィッド・マレイの映像『Saxophone Man』(2008、2010年)
デイヴィッド・マレイ『Live at the Edinburgh Jazz Festival』(2008年)
デイヴィッド・マレイの映像『Live in Berlin』(2007年)
マル・ウォルドロン最後の録音 デイヴィッド・マレイとのデュオ『Silence』(2001年)
デイヴィッド・マレイのグレイトフル・デッド集(1996年)
デイヴィッド・マレイ『Special Quartet』(1990年)