アリス・コルトレーン『Turiya Sings』(B.Free Records、1981年)を聴く。
Alice Coltrane (vo, org)
Murray Adler (concert master of strings)
既にインド哲学の精神世界に傾倒して長いアリスが、ストリングスをバックに、歌い、オルガンを弾く。サンスクリット語でのヴォーカルは抑制されており、それとは対象的に、ぎゅわわわと旋回するオルガンはストリングスなど吹き飛ばして時空間を支配する。
つまり何を祈り歌っているのかわからない音楽世界なのであり、それは当時のアメリカ人もいまのわれわれも変わりはしない。それでも、ヴァイブレーションのように全身を襲ってきて心の底に沈殿していくこの音楽は、異常に心地がよくカッコいい。少なくとも、「スピリチュアル系」という括りを簡単に踏み散らしてしまうほどの力があることは確かなのだ。
●参照
アリス・コルトレーン『Universal Consciousness』、『Lord of Lords』(1971、1972年)
アリス・コルトレーン『Huntington Ashram Monastery』、『World Galaxy』(1969、1972年)