徐浩峰『倭寇的踪迹/The Sword Identity』(2011年)を観る。広州の書店で、30元だった。
なお、2012年の大阪アジア映画祭では、『刀のアイデンティティ』という邦題がつけられている(>> リンク)。確かに英語の副題を訳したらそうなるが、中国語の「倭寇の後継者」とでもしたほうが面白い。
中国、明時代。もはや倭寇は過去の存在と化している。武術の四家は、倭寇を倒すというさしたる功績をあげることもできず、ヒマな日々を送っている。そんな時に、奇妙な長い棍棒と刀を使う二人組が現れ、武家に闘いを挑んだ。すわ倭寇だと喜ぶ者あり、よくわからず右往左往する者あり。実は彼らは、倭寇の武術を継承していたのだった。やがて、その武術は認められ、中国武術の系譜に連なっていくことになる。
まるで舞台劇のようなカメラワークで、観始めたときには戸惑ってしまう。さらに、奇妙に悠然と流れる時間と、どこで笑っていいのかわからないギャグ。何なんだ、これは。自分も悠然と振る舞いたくなったりして。
決してよくできた映画ではないが、それなりに面白くはある。それはそれとして、倭寇を描いた映画はあるのだろうか。
●参照
○ウォン・カーウァイ『グランド・マスター』
○張芸謀『LOVERS』
○張芸謀『HERO』
○陳凱歌『PROMISE/無極』
○ロバート・クローズ『燃えよドラゴン』