生きていく過程において、特に若いときみんなが同じ場所を見ているような共有空間を経験したことのある人は幸せだと思う。それは部活であったり、クラスメートであったりさまざまだが十分年を重ねてもそのときの思いは宝石のように輝いており、年を経ても常にそのときを振り返ることが多い。
僕もいわゆる青春時代にそれを経験し、社会人なっても生きる上で本当につらいときでも生きる支えになったように思える。この映画は、そん . . . 本文を読む
あの静かな美しい国・ボスニアがセルビアとの内乱で20万人もの人が殺されたという戦後のヨーロッパでは最大の悲劇を女性の視点から優しいまなざしで描いた愛の映画だ。
登場人物が美貌でもなく、普遍的な親しみのある俳優を起用したのがリアルでいい。娘も思春期の難しい年齢に達しており、父親の愛に飢えている切なさを好演。主人公の恋人も父親を亡くしている喪失感を持っており、この辺りの描き方はボスニアの現状を良く表し . . . 本文を読む
ミステリー的には完全に破綻している映画向けのエロサスペンスだが、それでも登場人物の多さ、人間群像の多様さでまあ見られる映画となっている。
というか、この映画はシャロン・ストーンの映画なのである。彼女の弾丸セクシーぶりーが90%ものいうムラムラ映画なのである。まあ、彼女を見て燃え上がるのもたまにはいいんじゃあないんでしょうか、、。おじさんにも十分見ごたえあったと言わせてくれて加点しています。 . . . 本文を読む
少々凝っている物語だ。固有名詞が分かりづらく、考えているだけで、次のシーンになってしまう。テーマもさることながら、脚本の作り込みにもう少し工夫が欲しいと思ったが、、。
せりふも発声が良く通らない人もいたし、練習不足ということはないのだろうか、、。客席もあまり乗っていないようでもあったし、、。
何はともあれ、あのラストはあっけなさ過ぎる。また、最後の挨拶が演技者二人だけとはどうしたんだろうか、、。気 . . . 本文を読む
4日は初出だが、朝から東京に出張である。こんなこともサラリーマン生活で初めてのことだと思っている。正月気分のまま東京に帰る家族連れが多い新幹線に乗って重い気分を抱えている。
夕方には話も終わったので、そのまま新宿に出る。
武蔵野館で「再会の街で」を見る。意外と人が入っていない。こんな秀作なのに観客席はゆったりとしている。武蔵野館の正月上映とも思えない。
映画は素晴らしいヒューマン映画だ。良心作でも . . . 本文を読む
ファーストシーンからオリヴェイラの息遣いがこちらに伝わってくる秀作だ。うまい。映画の文法というものが100%完璧に伝わってくる。その心地よさ。
しかも、映画とともに生きてきた男ミシェル・ピコリの余裕たっぷりの一人芝居のような塾した演技。人生の琥珀色のような極上ワインを飲むようなすばらしいタッチの洒落た映画である。
ストーリーはホントたいしたことはないが、これだけの話で一つの長編を作ってしまうところ . . . 本文を読む
9.11だけに限らずある日家族で自分だけが生き残り他のみんながいなくなってしまったということは交通事故等確かに起こり得ることだろう。たまたま自分の身に降りかからないだけであり、そういう人は毎日どうやって生きていけるのだろうと思ってはいた。
この映画はまさに町を歩けばすべての人たちが、犬が、自分の妻や娘たちに、また飼っていた犬に見えてしまう9.11で一人残ってしまった遺族の男の話である。
彼が毎日行 . . . 本文を読む
正月ということで食べては飲み、飲んでは食べるの繰り返しでこのままでは完全ブタになりそうで、今日は家を出て梅田に出た。
梅田ガーデンシネマでお気に入りの監督の作品が上映しているのだ。
スザンネ・ビアという人でデンマークの監督だ。4年ほど前だったか、「しあわせな孤独」という映画を見たとき、人の心にわしづかみで入り込んでくる映画を作る人で感心した覚えがある。その当時の我がベストテンの上位に入った作品だ。 . . . 本文を読む
北欧は空気が薄いのであろうか、陽光も鈍く散乱しているように感じられる。映画史的にも秀作の多い北欧にベルイマンの片鱗を感じる作家を見る。
今までの作品と違いまず金をかけていることに気づく。屋内の限られた人間劇から一応インドからデンマーク、また屋外へとカメラも移動し、閉鎖的な映像から開放された広がりを見せている。
だが、視点は変わらず一定で、北欧の空気を感じさせる愛と生とそして誰にも均等に訪れる死がテ . . . 本文を読む
戦争から帰ってきたら妻は夫が戦死と思い弟と愛し始めていた、という日本でも戦争の悲劇としてゴマンと作られた話だと思い見ていたらまったく違っていることに気づく。
捕虜で投獄中に辛苦を舐めた捕虜同士をなぶるアルカイダの非人間的な行為の前に、あっさり自分が生き残るために自分の人生哲学とはまったく逆の行為をしてしまった軍人の主人公。
この行為が今回のテーマなんですね。しかも、通常の戦争映画ではないところから . . . 本文を読む
派手な、中国の古き時代の戦争ものかなと持っていたら、やたら説教的でなるほど儒学という思想が生まれたところの背景の国であるということを感心させられ、かなり楽しみながら人間群像を観察することが出来た。
この映画のいいところは戦闘の上層部だけでなく畑を持っている民衆が戦争というわけの分からないところで踊らされるという視点を確かに持っているところだろう。
現代でもそうだが、本当はある程度の自由があれば人間 . . . 本文を読む