さて、先に書いたようなことを意識してプレイしたなら、例えば遥ルートにおいて、水月があそこまで追いつめられた理由なども理解できるようになると思う。またそのことを前提にして見ると、今度はメインヒロインルート以外での彼女の振舞いが問題になってくる。というのも、端的に書けば、それぞれのルートによって彼女の動きはかなりの違いを見せるからである。孝之の動きがそれぞれのルートで異なってくる以上、水月の動きも異なってくるのは当然だが、それについて説明不足の部分があるため、水月の感情の動き・行動原理をプレイヤーが読み取りにくくなっている(これは孝之についても言える)。また遥ルートでのみ、あれほどの崩壊っぷりを見せるのはなぜか…などなど、新たに批判・疑問が出てくる。
すると当然、遥に過剰反応する何かが水月には存在すると考えられる。推測するに、それは自分が「遙の代わり」でしかなかったとして、現在の状態のみならず、孝之と付き合ってきた二年間までも否定されてしまうのを恐れているのではないか、という理由である(注)。
これについて簡単に説明すると、もし孝之の相手が遙でなければ、「遙が昏睡→自分と付き合う→別れてから誰かと付き合う」という構図になる。言いかえればそこでは、水月は確かに孝之の一時期を占めているのである。しかし相手が遙の場合、水月は遙が昏睡している間の「つなぎ」のような位置づけになる(とおそらく水月は考えている)。つまり、「遙→遙の代わり(=水月)→遙」という構図である。そこでは、水月は水月ではない。あくまで「遙の代わり」、「つなぎ」なのである。そうして、自分と自分の失くしたもの、いやもっと言えば二年間そのものが無意味になってしまうことを恐れているのだろう。それが、遙ルートで特に水月が崩壊していく理由の一つだと推測される。
※誤解のないように強調しておきたいが、「無意味」というのはあくまで水月の認識であって、(物語内ではあるが)現実はそう単純ではない。それに関する提言の一つが、香月医師の「人生論」であると言えるだろう。
(注)
これは根拠のない推測ではない。水月は「私は遙の代わりじゃない」と何度も言っているし、「茜妊娠」ルートにおいて、遙を待つことにした孝之に対し水月と茜の取る態度の違い(「遙の代わり」となることを受け入れるか否か)が何よりそのことを雄弁に物語っているように思う。水月と茜が似たような人間として描かれていることにも注意を喚起したい。
すると当然、遥に過剰反応する何かが水月には存在すると考えられる。推測するに、それは自分が「遙の代わり」でしかなかったとして、現在の状態のみならず、孝之と付き合ってきた二年間までも否定されてしまうのを恐れているのではないか、という理由である(注)。
これについて簡単に説明すると、もし孝之の相手が遙でなければ、「遙が昏睡→自分と付き合う→別れてから誰かと付き合う」という構図になる。言いかえればそこでは、水月は確かに孝之の一時期を占めているのである。しかし相手が遙の場合、水月は遙が昏睡している間の「つなぎ」のような位置づけになる(とおそらく水月は考えている)。つまり、「遙→遙の代わり(=水月)→遙」という構図である。そこでは、水月は水月ではない。あくまで「遙の代わり」、「つなぎ」なのである。そうして、自分と自分の失くしたもの、いやもっと言えば二年間そのものが無意味になってしまうことを恐れているのだろう。それが、遙ルートで特に水月が崩壊していく理由の一つだと推測される。
※誤解のないように強調しておきたいが、「無意味」というのはあくまで水月の認識であって、(物語内ではあるが)現実はそう単純ではない。それに関する提言の一つが、香月医師の「人生論」であると言えるだろう。
(注)
これは根拠のない推測ではない。水月は「私は遙の代わりじゃない」と何度も言っているし、「茜妊娠」ルートにおいて、遙を待つことにした孝之に対し水月と茜の取る態度の違い(「遙の代わり」となることを受け入れるか否か)が何よりそのことを雄弁に物語っているように思う。水月と茜が似たような人間として描かれていることにも注意を喚起したい。
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