森の案内人 田所清

自然観察「独り言」

ヤブデマリ(スイカズラ科)

2006年07月14日 | 自然観察日記
 今越後の深山ではヤブデマリが盛りだ。あちらこちらの茂みに白い花の塊を頂いて咲いている。個体数は結構ある。
 正確に言うとケナシヤブデマリ。太平洋側のものに比べ毛が少ないのだそうだ。残念ながら自分はまだ確認したことがない。花の感じがアジサイ(ユキノシタ科)に似ているがこれはスイカズラ科で、やはり大きな違いがある。ガクアジサイは「ガク」が大きくなっての装飾花だが、ヤブデマリは「花弁」が大きくなっての装飾花になっている。どうしてわかるかというと、ヤブデマリの装飾花の真ん中にちょこんと雌蕊の柱頭が覗いていることが理由だ。
 ユキノシタ科の花もスイカズラ科の花も一つ一つの花が単独で機能するのでなく塊で機能するように進化した。花に分業を持たせたのだ。周辺のものは装飾花として昆虫に目立たせ呼び寄せる役目、中央の花は花弁などの無駄なものを無くして蕊(しべ)だけにし、次世代を残そうとする働きをする。系統が異なっても同じ方向に進化することがあるのだ。