森の案内人 田所清

自然観察「独り言」

自然観察林 生きもの生態マップ の紹介

2006年07月28日 | 自然観察日記
 長岡の森林インストラクター3人で長岡市の東山自然観察林の生態マップを作成し、ようやく発行にこぎつけたので紹介したい。日野グリーンファンドの助成を受けて平成16年から始めた事業なのだが、新潟県中越大震災に見舞われて予定を大幅に遅らせての完成である。自然観察林の入園もようやく解禁になったので是非利用して欲しいと思っている。
 ごく普通の里山でそれも無理な公園化に晒された「自然観察林」なのだが、本来の越後の里山の生物を多くの写真で紹介した作品である。現場で生活している動物植物やキノコまで、全種を紹介するとはいかないまでもかなりこだわったものである。動物の担当者のM氏は凄まじい情熱を費やして通い続けた。見ごたえのある写真が多く掲載されている。想いは身近な自然の素晴らしさを知ってもらうとともに、それをどう生かし守っていくかを考えていく素材になればと願っている。
 長岡市役所・長岡市観光課・市科学博物館・市民センター・ふるさと体験農業センター・東山ファミリーランドに置かせてもらっている。2000部の限定で無料配布している。興味のあられる方は是非活用していただきたい。

コメツツジ(ツツジ科) 駒止湿原にて その11

2006年07月28日 | 自然観察日記
 駒止湿原脇の林道沿いにコメツツジが咲いていた。葉に3本の脈が目立つからオオコメツツジとされる日本海側に分布する種であろう。ツツジらしからぬものでそれと気づかれないかもしれないが、しみじみ眺めればツツジ科の特徴が見えてくる。花弁が5分裂したり4分裂したり結構あいまいでDNAレベルでどうなっているのかいぶかってしまう。変異の途中で形質が安定しない発展途上の種であろうか。
 越後でもあちこちで見かけるのだが、多くは標高1500m以下の乾燥した尾根筋に群生している感じで、日当たりがいい場所に見られるのだが、湿原の周辺の日当たりのいいところにもあるのだろうか。見つけた個体はあまり日当たりがいい場所ではなかった。

クロヅル(ニシキギ科) 駒止湿原にて その10

2006年07月28日 | 自然観察日記
 クロヅルは蔓が褐色になるからの命名で鶴とは無関係。雪国ならごく普通の植物。駒止湿原の周辺部の伐採地跡地などの明るい林や林道脇にも沢山見られる。人から見ればあまり注目されない植物だが、昆虫にとってはとても大切なものらしい。多くの蝶や甲虫が吸蜜のために群がっている。この時期昆虫の種や量が多くさらに花をつける植物が比較的少ない時期のためだろうか、過密状態に見える。ベニシジミなどのシジミチョウやチャバネセセリなどのセセリチョウが沢山訪れていた。