低山ではまだまだ花は程遠い時期ですが、すこし高所に行くとツルニンジンが沢山咲いていました。山の斜面を切り落とした道路沿いに花が垂れ下がっていて、「釣鐘」のようですね。でも「ツリガネニンジン」というのは本種でなく「ジイソブ」という別名を持っています。なぜこうなったかというのは、同属に「バアソブ」(おばあさんのそばかす)というのが深山にあるのですが、この対比として付けられたといいます。花の形より花の表面にある紫色の斑点が気になったのでしょうか。傷をつけるとなかなか独特な臭いがあって、「うっ」ときますね。
ツルニンジンが垂れ下がっていた脇の涯の一角にキンコウカの一群が生育していました。残念ながら花の時期は終わりで、かすかにその色が残っているような状態です。湿原や沢筋の水が滴るような場所にイワショウブなどとともに見られる種で、高木が育たないような場所に出現します。今年はついついイワショウブもキンコウカも花を見ずにすごしてしまいました。行動範囲が減って例年歩き回る私のテリトリーを巡りきれていません。
キク科のコウモリソウ属の一つでイヌドウナといいます。山菜を知る人は比較的馴染みのあるものではないでしょうか。結構大型の種です。私にとってはこの花は奥山の象徴みたいな存在の一種で、山道を歩いてヨブスマソウとかイヌドウナが出てくると遠くへ来たなぁとちょっと違った気分になれるのです。特別花が綺麗なわけではないのですが、とにかく葉の形が印象的ですね。