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山里に生きる道草日記

過密な「まち」から過疎の村に不時着し、そのまま住み込んでしまった、たそがれ武兵衛と好女・皇女!?和宮様とのあたふた日記

葉室麟『銀漢の賦』の清涼感

2014-11-13 17:08:42 | 読書
 葉室麟の『蜩の記』の映画が封切りされている。
 この作品は確かに完成度が高く、品格とドラマ性が映画にも向いている。
 田舎にいるとつい見過ごしてしまい、いまだ映画館に向かっていない。

 松本清張賞を受賞した作品『銀漢の賦』を読む。
 「銀漢」とは中国で言う天の川のことだ。
 「賦」は歌という意味合いだ。
 中国の漢詩が随所に出てくるが、作者の守備範囲の広さがわかる。

                       
 主人公はやはり無頼の下級武士であるのは一貫している。
 表紙の絵に象徴されるように、百姓一揆で処刑に会う農民、竹馬の友だった藩の家老、そしてアウトローの武士である主人公、3人の出会いと別れの激しい人生ドラマである。

        
 「人も花も同じです。…生まれ持ったものは尊いでしょうが、それを美しくするためにはおのずと切らなければならないものがあります。
 花は鋏を入れますが、人は勉学や武術で鍛錬して自分の心を美しくするのです。

 …花の美しさは形にありますが、人の美しさは覚悟と心映えではないでしょうか。」
 という文中会話に、作者の心意気が反映している。
 
コメント (2)
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