昨日の雨で畑は充分潤い、シイタケはちらほら傘をさしていた。
買い物に行くついでに地滑り現場近くに車を止める。
川は蛇行しながら現場に近づく。
杉の植林ができないような急峻な斜面に紅葉が晩秋を感じさせる。
その奥にけぶる地滑り現場。
露呈した土色も風景に埋まっている。
自然はそれぞれの人間の生き様に関係なく運命を遮断する貌をもつ。
同時に、人間のもつ傷口を埋めるように癒しの天使ともなる。
こうして矛盾する予定調和の世界を構成することで命を育む。
しかし、生き物の覇者人間は便利さと効率を貫徹する。
当然、自然の犠牲の上に人間社会は成立している。
そこに紀元前から自然との共生を訴える人間も出現する。
それを深化させてきたのが日本人の日常だった。
「日本をとりもどす」のは、経済成長だけではない。