強風が吹きすさむ畑にあるススキだけは元気だ。手つかずだったススキを刈り取り畝に運ぶ。それを畝と畝の間に敷き詰めていく。雑草防止と防寒を期待している。ほんとうはススキを束ねて紐でくくるべきなのだが手抜きでばらばらと敷いている。
藁であれば葉物野菜のマルチになるが、ススキはやりにくい。それでもススキが大量にあるのでマルチもどきもやっていく。和宮様はススキの穂を丁寧に取り去っているが、なかなかそこまで時間をかけられない。そんなとき、詩人の茨木のり子さんの詩(抜粋)が飛び込んできた。
「 人間だけが 息つくひまなく 動きまわり
忙しさとひきかえに
大切なものを
ぽとぽとと 落としてゆきます 」
( 『茨木のり子詩集・言の葉/12月のうた』抜粋、筑摩書房 )