裏山の「ヤブカンゾウ」が咲き出した。花色が鮮やかな緋色なのが魅力的だ。道路傍によく見かけるが踏まれたりしているせいか、群生しているわりには大切にされていない。蕊(シベ)の一部または全部が花弁化するため八重咲となる。一重咲きの「ノカンゾウ」は道で出会ったことがない。
トイレへ行く時の廊下から見えるヤブカンゾウの花だ。雑草だらけの裏山にくっきりと緋色が映える。葉がススキやスゲの葉に似ているので、「萱草」の字が使用されている。中国の別名では「忘憂草」という。すなわち、この花をつけると悲しみや苦しみを忘れるという。そのため、万葉集などの歌にも使われているほどだ。
漢方でいう「カンゾウ」は、マメ科の「甘草」で別物だがよく混同される。以前、ヤブカンゾウの若葉を収穫して味噌汁に入れて食べたことがある。ほんのりした甘みがあるのが忘れられない。収穫時期が遅いと硬くなるのでそのタイミングが微妙なのだ。蕾も食用になるというが、申し訳なくてまだ食べていない。大群落に成ったら是非食べてみたいものだ。いまは、道路わきでさりげなく咲いているヤブカンゾウを見つけるのが楽しみとなっている。