山里に生きる道草日記

過密な「まち」から過疎の村に不時着し、そのまま住み込んでしまった、たそがれ武兵衛と好女・皇女!?和宮様とのあたふた日記

創業者の汗が今も甦る

2021-07-01 21:43:13 | 特産品・モノ

 都会に住んでいたときの隣人から「鳩サブレー」が届いた。そう言えば、鳩サブレーはしばらく食べていなかったのに気づく。同窓会をしたときのように懐かしく味をしたためる。変わらない食感と旨さだった。宅急便のなかに「鳩のつぶやき」というパンフレットが入っていた。「豊島屋」の創業者が鳩サブレー創出のためにいかに刻苦勉励したかの絵物語だった。絵は懐かしい那須良輔画伯だった。

            

 外国人からもらったビスケットの味に衝撃を受けた明治の創業者が、味はもちろんネーミングや戦火の中でこだわってきた気骨の歴史が淡々と描かれていた。このパンフレットの文章が長いのでもっとコンパクトにならないものかと思ったが、先代を崇敬しようという表れか。ちなみに、「サブレー」とはビスケットの焼き菓子のことで、サクサクとした食感がフランス語の砂を意味する「サブル」からきているという。

            

 また、17世紀のサブレー侯爵夫人がふるまった焼き菓子が社交界で話題になり、それから世界中に伝わったという説などがある。明治末期に発売した当初は、外来語より「鳩三郎」という名前のほうが伝わったという。また、「鳩」は創業地の鎌倉の鶴岡八幡宮の「八」の字が鳩で表現されているのをヒントに型を作ったという。

                    

 明治から現代まで連綿と続く鳩サブレーの味は基本的に変わらない。それほどに、創業者の心意気が貫徹しているともいえる。缶入りの蓋を開けてみると、いつのまにか鳩はいなくなっていた。手品のようにきっとどこかへ飛んで行ってしまったのだろう。そのサブレーの味は口の中にはいまだに残っているけどー。ごちそうさまでした。

コメント
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