家の隣に小さな花壇があるはずなのだ。というのも、花壇には花はなく、放任ジャングルになっている。このままでは植栽している樹木が枯れてしまうと、急いでジャングルを切り拓いていく。よくみると、オニドコロなどのツル性植物が樹冠を覆っている。
やっと花壇の奥まで到達したところ、野鳥の巣が見えてきた。今までだと巣は留守か、放棄された巣なのがほとんどだった。しかし、念のためと覗いてみたらなんと卵が1個入っていた。あわてて和宮様に報告する。10年以上住んでいるというのに卵を見るのは初めてだった。
巣はとても見事に作られていた。清潔でもある。家のすぐ隣の数mであるのによくぞ作ったものだ。初春にはジャングルがなかったから、この巣は新しいはずだ。外からはまず見えないジャングル状態の隠れ家にあったのに感心する。卵の大きさは鶉よりやや小さいように思えた。近くに蜂の巣もあったようでほどほどに整備は終わらせる。
卵をよく見ると割れているように見えた。まずいときに草刈りしたもんだと反省もしたが、どうもこれは模様のようだった。シジュウガラの仲間の「ヒガラ」の卵に似ている。そういえば、道具を取りに家のほうに戻っていたら、ヒガラらしき小さな親鳥が心配して近くを飛んでいた。春に盛んにやって来ていた小さなカラが定着したのに違いない。
最近は、野鳥の複雑な鳴き声に翻弄されている。ウグイス・ホオジロ・アオバト・ヒヨドリ・キジバト・ツツドリ・ホトトギス・コジュケイの鳴き声はなんとか拾えるが、わからない鳴き声のほうが多い。その候補には、クロツグミ・イカルがいるが確証はまだない。ひょっとすると、ヒガラだったのかもしれない。杉林の乱立する地域のわりには野鳥が豊富であるのを改めて痛感。野鳥の声に翻弄される豊かさに感謝する。