わが家のねぐらは屋内用テントの中にある。というのは、隙間だらけの古民家なので虫やクモなどの訪問者が多いからだ。ムカデはずいぶん少なくなったが徘徊していることは間違いない。このテントのおかげで蚊からも解放されている。しかし先日、寝ようと布団を持ち上げたら先客がいたのだ。それが、15mmほどの「アトボシアオゴミムシ」(オサムシ科)だった。
頭と胴部は、メタリックな緑胴色をしている。後ろの翅には一対の黄色い斑紋がある。真ん丸かと思いきやいびつなホシ型だった。テント内に侵入するはずがないにもかかわらず、チャックのわずかな隙間から侵入したようだ。ゴミムシとはゆえ、やはりメタリックな色彩にはまずはホッとする。
まずは、テントから退場してもらった。これから、夏に向かって夜の訪問者たちが多くなってくるのは間違いない。ねぐらを寝取られないよう注意しながら横になる。世界中で4万種、日本では1600種もいるというゴミムシは、自然環境の指標ともなる昆虫である。しかも、生き物の死骸を食べてくれる森の掃除屋でもある。ゴミムシがいるということはそれだけ豊かな自然環境があるという証左なのだ。名前をゴミムシというのは差別ではないかと思えてならない。