原題:『X-Men : Days of Future Past』
監督:ブライアン・シンガー
脚本:サイモン・キンバーグ
撮影:ニュートン・トーマス・サイジェル
出演:ヒュー・ジャックマン/ジェームズ・マカヴォイ/マイケル・ファスベンダー/ハル・ベリー
2014年/アメリカ・イギリス
実話がリアリティーをもたらす「スーパーヒーロー映画」について
いわゆる「ヒーローもの」が次々と繰り出され、その上、質も落とさずに公開されていることにハリウッドの底力をまざまざと見せつけられた(『ウルヴァリン : SAMURAI』は酷かったが)。本作も「現在の自分」と「過去の自分」を対決させるというアイデアが秀逸だと思っていたが、何故かどこかで観たことがあるような物語だと感じ、「ヒーローもの」の観過ぎだと考えていたら、ストーリーの骨格が同日に観た『マンデラ 自由への長い道』(ジャスティン・チャドウィック監督 2013年)とそっくりであることに気がついた。つまりボリバー・トレスクの暗殺を食い止める役割を持ったウルヴァリンやチャールズ・エグゼビアがネルソン・マンデラ、センチネルと呼ばれるロボットを開発し、ミュータントを殲滅しようとするトレスクの暗殺を試みるミスティークがウィニー・マンデラとダブり、本作に「リアリティー」を与えているのである。
もう一つ気になるシーンを挙げるならば、ピエトロ・マキシモフ(=クイックシルバー)が超音速での移動能力を駆使してウルヴァリンたちを敵の銃弾から守る際に流れていた曲が、アメリカのシンガーソングライターのジム・クローチェ(Jim Croce)の「Time in a Bottle」だったことで、実はクローチェは1973年9月20日に飛行機事故で30歳の若さで亡くなっており、「Time in a Bottle」は1973年11月に追悼盤という形でシングルリリースされている。時代設定をわざわざ1973年にしているのだから深い意図があるように思うが、ここら辺りの機微がアメリカ人ではない私にはよく分からないところが残念である。