原題:『海難1890』
監督:田中光敏
脚本:小松江里子
撮影:永田鉄男/会田正裕
出演:内野聖陽/忽那汐里/ケナン・エジェ/小澤征悦/宅間孝行/夏川結衣/永島敏行
2015年/日本・トルコ
「犠牲者」の人数の奇妙な一致について
1890年9月の「エルトゥールル号遭難事件」も1985年3月のイランの在留邦人のトルコ航空機による「救出劇」も詳細を知らなかった者としては、このように具体的な映像を通すとそれぞれの「大惨事」に驚かされる。特に「エルトゥールル号遭難事件」で亡くなったトルコ人の人数と、救援機に日本人を乗せた代わりに陸路でイランを脱出したトルコ人の人数が共に「500人以上」であり、その数の一致が宿命のようなものを感じさせるのである。
しかし史実を基にしているとしても全てを描いているわけではなく、例えば、個人的に知りたかったことは日本において9月といえば台風シーズンであり、何故日本政府はエルトゥールル号の乗務員たちにアドバイスしなかったのか描かれていなかったのであるが、実際は知らせていたようである。そのことを敢えて描いていない理由は、トルコ側に対する配慮によるものではあるだろう。
ウィキペディアに依るならば、トルコにおいて「エルトゥールル号遭難事件」はそれほど知名度が高くないとなっているのだが、それは2012年の調査であり、1985年当時がどうだったのか知りたいところではある。