原題:『Almost Famous』
監督:キャメロン・クロウ
脚本:キャメロン・クロウ
撮影:ジョン・トール
出演:パトリック・フュジット/ケイト・ハドソン/ビリー・クラダップ
2000年/アメリカ
結局、ミック・ジャガーこそ頑丈なロックだったという話について
本作に関しては既にレビューを書いているので、もう少し細かい話をしておこうと思う。主人公のウィリアム・ミラーにアドバイスをするレスター・バングスはザ・ドアーズなどと共にジェスロ・タル(Jethro Tull)の『ジェラルドの汚れなき世界(Thick as a Brick)』(1972年)を「ロックではない」とこき下ろしているのであるが、ジェスロ・タルは複雑なロックバンドで、前作『アクアラング(Aqualung)』(1971年)などはヘヴィーメタルと捉えている人もいるくらいなのである。
ではそのバングスが好きなバンドは何かと言えばゲス・フー(The Guess Who)で、確かに通好みの渋いバンドではあるが、「アメリカン・ウーマン(American Woman)」以外に幅広く聴かれている曲は無い状態である(もっとも一曲でも残っているだけで大したものなのではあるが)。
スティルウォーター(Stillwater)の新しいマネージャーに就任したデニス・ホープはロックは若いうちに売り出すものだと言い「ミック・ジャガーが50歳になってもロックをやっていると思うか?」と笑いながらメンバーに訊ね、全員の賛同を得る。本作の時代設定は1973年で、当時ミック・ジャガーは30歳で現役バリバリである。本作が制作された2000年は57歳で、翌年『ゴッデス・イン・ザ・ドアウェイ(Goddess in the Doorway)』というソロ・アルバムをリリースするほど現役バリバリである。その脚本を執筆したキャメロン・クロウでさえまさかミック・ジャガーが70歳を過ぎても現役バリバリで、米経済誌『フォーブス』の「最も稼いだミュージシャン」2015年版リストの11位で5750万ドル(約70憶円)を「Zip Codes tour」というローリング・ストーンズのコンサートツアーで稼いでいるとは想像もしていなかったであろう。