原題:『La Belle Captive』
監督:アラン・ロブ=グリエ
脚本:アラン・ロブ=グリエ
撮影:アンリ・アルカン
出演: ダニエル・メスギッシュ/ガブリエル・ラズュール/シリエル・クレール
1983年/フランス
意外と「単純」な前衛作品について
アラン・ロブ=グリエの監督作品は難解だと言われる。確かに最初に本作を観た時には何が描かれているのか分からなかったが、最近になって観返してみると描写はシュールだがストーリーは意外と単純なのではないかと思った。
本作のモチーフとしてルネ・マグリット(René Magritte)の『囚われの美女(La Belle Captive)』が使用されている。
これは現実とフィクションの狭間が描かれており、本作の演出意図が反映されているのであるが、本作のストーリーをわかりやすく辿るならば、「女ボス」、つまり妻のサラに言付けを頼まれた主人公のヴァルテルが届け先のコラント伯爵の妻のマリー・アンジュと浮気したことがサラにバレて逃げようとするのだが、結局、最後に「お仕置き」されてしまうという下世話な話が幻想的に描かれているだけなのである。