MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

アンリ・マティスの「浮遊感」

2016-11-30 00:26:21 | 美術

 東京の上野の森美術館では現在『デトロイト美術館展』が催されている。そこで展示されている

アンリ・マティス(Henri Matisse)の三点について論じておきたい。


『窓(The Window)』(1916年)

 例えば、上の作品で特徴的なのは、周囲の遠近法を狂わせることで中央のハイテーブルに

「浮遊感」をもたらしていることである。


『ケシの花(Poppies)』(1919年頃)

 あるいは上の作品も同様で、遠近法を狂わせることで中央のケシの花と花瓶を浮遊させている

のである。


『コーヒータイム(Coffee)』(1916年)

 遠近法を狂わせるとは、ダリのように物体を浮かせる状態を具体的に描くということではなく、

例えば上の作品のように作品の上部は正面から描かれているのであるが、下部は斜め上から

描かれるというような描写の仕方で、「実際に」浮いているように見せることである。だから

結果的に、マティスの作風はダリのような精密画には至らず、大まかな描写に行きついた

ように思う。


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