原題:『Terminator: Dark Fate』
監督:ティム・ミラー
脚本:デヴィッド・S・ゴイヤー/ジャスティン・ローズ/ビリー・レイ
撮影:ケン・セング
出演:リンダ・ハミルトン/アーノルド・シュワルツェネッガー/マッケンジー・デイヴィス/ガブリエル・ルナ
2019年/アメリカ
運命の形容の仕方について
『ターミネーター2』(ジェームズ・キャメロン監督 1991年)の正統な続編として気になる点として、物語の規模の大きさの割には実質の登場人物は5人しかおらず、元々インディーズ色が強い作品だったということと、前作においてT-800がジョン・コナーに「アスタラビスタ」とスペイン語で別れを告げたことを踏襲するように、本作においてさらに「メキシコ色」が強くなっているのだが、これは28年の間に南米系の移民が増えたことの反映だと思うし、中心人物もカール(T-800)よりもサラ・コナーに置かれている理由もその間の女性の社会的地位向上が反映しているからであろう。
結局、未来を変えようとしても違う未来が来るだけで人間の性根は変わらないのだから、これは邦題の「ニュー・フェイト(新しい運命)」というよりも原題の「ダーク・フェイト(暗い運命)」の方が相応しいと思う。クライマックスにおいてダニー(ダニエラ)・ラモスがグレースからパワーソースを取り出してガブリエル(Rev-9)に突き刺すシーンを見て、かつてのテレビアニメ『海のトリトン』のクライマックスシーンにおいてトリトンが敵に刺したオリハルコンの輝きを想起させたのだが偶然だろうか? しかしトリトンのようなアイロニーを本作に見いだすことは難しい。
トリトン最終回 ラストシーン