下津井の人は自分の方から相手に挨拶する。実にすばらしい習慣だと思う。実際、気さくな人が多かった。私は庭仕事をしていた男性に声をかけた。
「こんにちは。下津井城跡へはどう行ったらいいですか」
「この道を真直ぐ上っていけば分岐するんで、そこを右に曲がったらえーよ。それが一番近いわ」
「ありがとうございます」
「どっから来たん?」
「○◇です」
「そうか、まあ行ってみ。分かると思うわ」
しばらくすると彼の説明通り城跡に向かう道が見えた。遊歩道も兼ねており休憩所もある。更に上を目指して歩く。ようやく石垣が現れた。

永禄年間に宇喜多秀家が築いた下津井城。これに池田長政が手を加えて慶長11(1606)年に完成させたと伝えられる。一国一城令が出された後、寛永16(1639)年に廃城となった。

城跡から下津井の町を見下ろす。岬の小高い丘が浄山である。随分高いところまで来たという実感が徐々に湧いてきた。
大きな石碑がぽつんと立つ本丸跡は意外に近かった。今度は別ルートで帰ることにした。犬に咬まれるのは真っ平御免だから(笑)

