北関東で一人暮らしを始めた頃、食文化の違いに大いに戸惑った記憶がある。スーパーで売られているネギは「白」がほとんどで「青」はマイナーな存在だったからだ。
西日本でネギと言えば普通「青」を指す。実家では「白」を使うのはすき焼きか鍋に限られていた。薬味に長ネギを使うという習慣がないので慣れるまでに随分時間がかかった。
北関東の主婦が「長ネギの先っちょの青い部分は(使わずに)捨てる」と話すのを聞いて更に驚いた。「食べられるでしょうが」と私が言うと「えー!本当」と笑うのである。
どうやら「無駄を出さずに使い切る」感覚がないみたいであった。私はスープを取る際に臭い消しとして加えたり、細かく刻んで薬味にして食べていた。
「食材への感謝の念」を忘れて「美食」もへったくれもない。ネギにまつわる思い出が「食の原点」に立ち戻らせてくれるのだ。
