突き当たりから道は左右に分かれて折り返して柴屋町通りと繋がる格好になっている。屋号の出た格子戸の家には古びたプレート「料理飲食等消費税 特別徴収義務者の証」が打ち付けられていた。これは遊興飲食税が昭和三十六(1961)に改称されたもので、赤線廃止の三年後にあたる。
周辺は妓楼が軒を並べている。空き地の裏側の建物は全く修繕が行われていない。私は2階手すりの「透かし彫り」に注目した。当然ながら妓楼ごとに細工は異なる。

雲や松の形は比較的多いが、瓢箪は初めて目にした。楼主は縁起をかついで招福を意味する瓢箪の「透かし彫り」を選んだのであろう。職人の技をしばし堪能してから地蔵尊が祀られている所に戻った。

