青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

信夫山麓、翼を広げて。

2024年06月11日 17時00分00秒 | 福島交通

(飯坂電車の主幹駅@曽根田駅)

福島駅から目と鼻の先にある曽根田駅。JRに間借りした形の始発駅とは異なり、小さいながらもしっかりとした造りの木造駅舎。もともとは電鉄福島駅という名前の駅で、構内には車庫を備え鉄道業務の中枢機能が置かれていました。現在は時間帯を区切っての有人駅ですが、かつての駅舎のスペースの一部にはお洒落なカフェが入っています。福島駅からは歩いても5分程度。駅の隣りには「ダイユーエイト」という南東北によく見る福島資本の大型ショッピングセンターがあり、人通りはそれなりに多い。街を往く人が電車に乗らずとも、立ち寄って、カフェのドリンクやスイーツを買い求める姿がありました。そう言えば、東急7000系時代は「ダイユーエイト」の広告がデカデカと入ったラッピング車両があったような気がするのだが、今は福島交通のスポンサーをやっておるのだろうか。

かつての主幹駅らしい高天井の堂々たる待合室。明かり取りの窓が眩しい。待合室にはいくつものベンチが置かれていますが、果たしてここから福島駅まで電車に乗る人がいるのかどうか。歩けますし。乗り換えの利便性を鑑みても、大抵のお客さんは福島駅まで行ってしまうのではないか・・・と思うのですが、この駅を「電鉄福島」と名付けたあたり、飯坂電車も本当のターミナル駅が欲しかったんじゃないかなあと思う。駅前のダイユーエイト、イオンシネマが入ってるんで映画を見に来る中高生とかには良さそうだけども。福島交通飯坂線、昭和50年代前半には年間600万人程度の乗客を輸送していた実績がありまして、福島市内の旺盛な通勤通学需要と飯坂温泉の観光輸送に応え、1500Vへの昇圧や車両の大型化などを進めて来ましたが、現在は年間200万人を切るか切らないか。2000年代以降の凋落傾向には歯止めがかかっていません。

福島駅の北側から夕暮れの福島の街を見下ろす。福島は、昔から東北本線と奥羽本線が分岐する交通の要衝です。そして、現在も東北新幹線と山形新幹線がここで分岐をしていますが、山形新幹線側では、かつての福島機関区があった辺りから東北新幹線の高架橋をくぐり、福島駅構内へ入って来る新しいバイパス高架橋の工事が進められています。既にレールが敷設されているのが見えますね。現在の福島駅から山形新幹線が分岐して行く高架橋は単線で、なおかつ配線の都合上福島駅新幹線ホームの一番北側の14番線からしか発着出来ません。そのため、山形新幹線と併結をする東京方面行きの東北新幹線の列車は、福島駅の前後で盛岡方面行きの下り線を到着/出発のそれぞれで横断する必要があります。ダイヤ乱れや積雪による遅延などで併結列車のそれぞれが時間通りに到着しなかった場合、山形新幹線の列車は発着で1本しか使えないホームを占有してしまうし、東北新幹線側のダイヤも山形新幹線絡みの列車を福島駅に発着させるためにダイヤを調整をせざるを得ず、輸送上のネックになっていました。

そんな東日本の新幹線の重要な分岐点の下にある小さな曽根田駅。暮色強まる信夫の夕暮れ、端正な木造駅舎にも灯がともる頃、飯坂温泉からリバイバルカラーが帰って来ました。曽根田駅の真横で東北新幹線の高架をくぐるこのバイパスは「アプローチ線」と呼ばれ、完成すれば山形新幹線の福島駅での完全な上下分離が果たされることになります。新幹線の平面交差というそもそもの障害が解消されることで、ダイヤ乱れの減少に寄与することが期待されているんですね(この工事についてはNHK福島の特集が詳しいですかね)。使用開始は2026年と言われていますので、飯坂電車とアプローチ線を通って来る新幹線を合わせて撮影出来る時が来るのは、もう少し先のようです。


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