(交換駅だった時代は遠く…@本宮駅)
東北本線にあるのは本宮(もとみや)駅ですが、こちら富山地鉄は本宮(ほんぐう)駅。雄山神社の中宮から取られた駅名ですが、雄山神社の中宮祈願殿は常願寺川を挟んだ対岸にあり、この駅からのアクセスはかえって遠回り。手前の千垣駅からバスが出てますので、そちらに乗るのが正解。ここもかつては交換設備があったようですが、合理化によって岩峅寺~立山間の交換可能駅は有峰口駅のみとなりました。そぼ降る雨の中を京阪カボチャの10030系。
駅前の道は、立山に続く旧道。今は川の対岸に室堂まで続く新道(県道富山立山公園線)が出来て車の通りも少なくなりましたが、駅の近くにいかにも由緒のありそうな神社を見付けてクルマを止める。この神社は「立蔵神社」と言って、西暦700年頃に立山を開山した佐伯有頼公が地域の五穀豊穣を祈願した由緒ある神社だそうで、ただならぬ風格も頷けるトコロ。社殿の前の三角の雪囲いが、この地の冬の厳しさを物語っているようです。
五穀豊穣の祈り。越後平野に劣らない良質な米を育む肥沃な富山平野ではありますが、立山カルデラから流れ出す常願寺川は、大雨による洪水とともに幾度となく大量の土砂を流し出しては流域の耕地を埋め尽くして来ました。北アルプスの激しい造山運動の中で、今も常に崩れ続けている立山カルデラ。崩れてしまえば富山平野を2mの厚さで埋め尽くしてしまう程の大量の土砂を食い止め、地域を守るための治山と砂防。千垣の鉄橋から見える大規模な砂防堰堤に、常願寺川と人間の戦いを見る。立山駅近くにある立山カルデラ砂防博物館とか、時間があったら超見たかったんだけどねえ。
横江駅近くにある横江頭首工。流量が一定でない暴れ川であった常願寺川の水を引き込み、富山平野の耕地を安定して灌漑するために作られた取水堰。1番から6番までの水路ゲートがあって、需要に応じて引き込む水量を調節出来るというハイテク取水堰である。思わず順番に1枠から白黒赤青黄色緑と色を塗ってやりたくなる(笑)。デンシャばっかり撮っているように見せかけて、こういう大規模な土木建造物大好き。
ここで引き込まれた水は常願寺川右岸の富山平野に常東用水として流れ、主に立山町や上市町、舟橋村方面の農村地帯を潤しているそうです。足元を轟々と音を立てて流れる水を見ながら、これで巨大流しソーメンとかやったら面白そうだなあとかアホな事を考えてしまった。横江頭首工にクレーンで吊り下げられるたけし。いや、全盛期のお笑いウルトラクイズだったらやってておかしくないと思う(笑)。
横江の頭首工で大部分の水を堰き止められた常願寺川の下流域は、雨にもかかわらずショボショボな流量。わざと堰の堤体からの流し込みを階段状にしているのは砂防対策でしょう。階段はスノコみたいになっていて、ここで流れて来た樹木や大きな岩が引っかかって止まるように出来ているのも、よく考えられた作りだなあと感心してしまうよね。
岩峅寺から先、立山線の濃いトコをブラブラ。結局全部の駅に行ってしまった。千垣の駅でトイレを借りがてら、駅前の大きな木の下で雨宿り。立山から降りて来たカボチャ京阪をスローシャッターで一枚。この時間だとさすがにアルペンルートを下ってくる客もいないと見えて、車内はガラガラでした。さて、そろそろヤマを降りて富山平野の方に行ってみんかね。