青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

魚沼春景

2018年04月30日 17時00分00秒 | 飯山線

(鎮守の桜@下条~越後岩沢間)

下条駅と岩沢の駅の間、新光寺という集落にあるお社様の桜。津南周辺の中山間地で桜が散っていたので、十日町方面は既に期待出来ないだろうと思っていたのですが…確かに緯度で言えば津南より十日町はだいぶ北なのだけど、標高が100m以上違うので桜の開花は津南より十日町のほうが早いと思ってたよ。午後の日差しを浴びて透ける桜の花色がきれい。この日は暑かったけど、夕方まで本当にいい天気でした。


楢山トンネルに吸い込まれて行く131D。この列車は、森宮野原での20分停車の後、今度は十日町で186Dとの交換待ちで30分弱の停車時間があります。長野を10:29に発車して、終点の越後川口に到着するのは14:05。道中は戸狩・森宮・十日町での停車を挟んで3時間36分のロングランは、それこそ18きっぷユーザーのまったりした汽車旅にはうってつけなのではないでしょうか。


鎮守様の森と鳥居を入れ込んで、131D返しの188Dを同じ場所からやや開き気味に。越後川口の飯山線ホームは単式のため、実質十日町→越後川口→十日町の延べ42.8kmが1閉塞となっています。そのためダイヤにはあまり余裕がなく、終点の越後川口での折り返し時間がかなり短くなっているのが飯山線の特徴。


はさ掛けの組み木、開墾を記す碑、魚沼丘陵のなだらかな山並みを横目に188Dは十日町へ。131Dで川口まで流れた後の午後の飯山色運用は、十日町~川口間を2往復の機織り運用になります。


187D。新光寺の集落は十日町盆地の北端にあたり、ここから信濃川は魚沼丘陵と東頸城丘陵に挟まれた谷筋を抜け、川口で魚野川と合流し、長岡の手前で越後平野に出て行きます。防雪林に囲まれた魚沼の家並み。日本一のお米だと評判のブランド米である「魚沼コシヒカリ」は、雪融けの豊かな水と耕土に恵まれたこの地域で育ちます。帰りにお土産にでも買って行こうかなと思ったんですが、さすがにお高かった(笑)。


列車待ちは、春の日差しに目覚めたカエルの声がBGM。
上を見れば桜、下を見ればフキノトウとカタクリ咲き乱れる麗しき魚沼春景。
飯山線の旅路は、千曲信濃の流れと、長野・飯山・十日町の盆地に暮らす人々を紡ぐ旅でもあります。
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ひとつ屋根の下で

2018年04月29日 17時00分00秒 | 飯山線

(思い出は屋根の下で@越後鹿渡駅)

越後鹿渡駅のホームに経つ木造の上屋。以前は越後鹿渡の駅も交換設備を持った1面2線の島式ホームだったようなのですが、昭和の時代に既に交換設備は取っ払われ、棒線駅化している様子です。ただ、曲げた古レールに木造の屋根が掛けられた上屋だけは交換駅だった時代からそのまま残っていて、風雪に耐えた渋い味わいを今に伝えてくれています。


ちなみに越後鹿渡の駅、以前は駅前に辰口温泉の湯を引いた「しかわたり館」という温泉宿がありました。10年以上前だったろうか、やはりこの辺りを春にフラフラしていた頃、ちょっと興味があって一浴をお願いさせてもらったことがあったんだけど、「今日はお湯を溜めてないから…」とすげなく断られてそれっきりになっていた。そして、気が付いた頃には「しかわたり館」は廃業していました(建物のみ現存)。


立ち寄りを断られた後に、とりあえず撮影した「しかわたり館」の外観。後日話を聞けば、SL時代から信州越後の鉄道ファン御用達の宿であったらしい。悲しいかな、若いころにボロいクルマでやたらと各地をフラフラと巡っていた頃に泊まった宿であるとか、立ち寄った場所であるとか、いざ久しぶりにその場所に行ってみると廃業していたり、無くなっていたりということが最近とみに増えてきたように思う。それだけ自分も歳を取ってしまったという事なのだろうか。


131D、鹿渡の駅から1名の乗客アリ。
喜びも悲しみも、賑わいも寂しきも、いくつもの思い出が交錯して行ったであろうホーム。
妻有の里の小さな駅の、古い木造上屋が、今も駅の移り変わりを見つめています。
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飯山色とのランデブー

2018年04月28日 21時00分00秒 | 飯山線

(131D前@戸狩野沢温泉駅)

この日、日中に戸狩野沢温泉~十日町間を走る飯山色は戸狩を11時半過ぎに出る131Dのみ。という事で、ここからは131Dの追っ掛けをしながら撮って行くことになります。まずは1発目、2連でやって来た131Dの解結作業。戸狩ではこの作業のために10分ちょっとの停車時間を持っているのですが、結構長野~戸狩間で遅れを持ってきてしまいバタバタした作業になる事も多いようです。飯山線では見た顔の女性運転士が乗務していました。


さて、森宮まで何発撮れますか。本来であればひとつトコロに腰を据えてじっくりと納得の一枚を追い求めるとか、そういうのもスタンスとしてカッコいいなあとか思うんですけど、やっぱ実際現場に来ちゃうと色んなアングルが撮りたくなるもの。ってことで上境の湯滝橋のたもとから2発目。おそらく以前は吊り橋だったのだろう湯滝橋の、古い主塔が建っていました。


桑名川は岡山の集落で3発目。もう夏を思わせるような暑い日でした。だいぶ葉が伸びてしまった感もありますが、比較的花持ちの良かった桜を絡めて。3月の終わりから方々の桜を愛でて来たけど、この飯山線沿線の桜が、今年の最後の桜になりそう。


古いトタン屋根の民家の裏に咲く桜を使って4発目を。飯山線名物(?)の高い位置にある踏切名標識には「桑名川学校」とありますが、この桜並木の向こうには、平成27年に廃校となった飯山市立岡山小学校があります。昭和49年に周辺の小学校と統合される前は桑名川小学校と呼ばれていた名残りが、踏切に残っています。


桑名川の停車時間を使って西大滝へ先回り。5発目&6発目は俯瞰アングルではなく駅近アングルで。ほろほろと散って行く桜の花弁を眺めながら、駆け足で過ぎて行く春の西大滝駅を。季節の速さに追いつけないのか、桜の下には雪がまだ残っていました。


西大滝を出る131D。運転士氏が特に用もないのにタイフォン一発。たぶん運転士氏は追っかけしてるのに気が付いているだろうと思うと、何だか気恥ずかしい(笑)。西大滝の駅の裏には大灘神社の鎮守の森が広がっていて、集落を見守っています。


7発目は平滝の手前の跨線橋から。ちょっと電線がうるさいけど、里山の民家の軒先にも春がやって来た。スノーセットと雪崩防止柵に守られた鉄路。飯山線らしい風景。


森宮到着シーンで8発目。この列車は森宮で136Dとの交換待ちのために約20分の停車時間があります。森宮野原の駅横には桜の老木があって、ポチポチとは花を付けてくれますがさすがにピークは過ぎ去った様子。老木の向こうに昔は貨物ホームと荷さばき場があったようで、ホームの石積みが残されています。


乗客がホームで思い思いに体を伸ばす、森宮野原の昼下がり。新幹線が300km/hで走る時代に、交換待ちに20分とはなんとものんびりしたダイヤである。こうなっているのも飯山線は合理化のためにかなり交換設備を削ってしまったためで、現在は森宮野原から十日町まで約25km、時間にして40分近くかかる区間が1閉塞になってしまっている。前は津南とか越後田沢とか交換できたみたいなんだけど、ポイント増やすと冬の時期は保守が大変だからねえ。


長野県下水内郡栄村の中心地・森宮野原。長く雪に閉ざされた冬が終わり、この日は春を謳歌するように暖かい風が吹き抜けています。厳しい冬があるから、春が美しいのでしょうね。北信の山並みはライムグリーンに笑い、芽を出したブナ林の嵐気が心地良い。戸狩から森宮まで追っ掛けでこんだけ撮れれば十分か。駅前の自販機でコーヒーを買ってほっと一息。ちょうど時間はお昼時、駅弁でも売ってくれたら需要はありそうだけど…道の駅までは歩いて10分くらいかかるから、ちょっと乗客が買いに行って来るほどの時間はないなあ。

さあ、次はどこで撮ろう。131Dとのランデブーは続く。
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桜終章の西大滝

2018年04月27日 17時00分00秒 | 飯山線

(今年も間に合わなかったなあ…@桜の西大滝俯瞰)

朝の信濃平周辺で撮影を楽しんだ後は、131Dの越後川口行きで戻って来る飯山色を待ちながら西大滝方面へ展開します。この時期の西大滝と言えばもう何はなくとも桜!なのですが、去年より一週間訪問を前倒しにしたのに今年もピークアウトしているというねえ…。御覧の通りの花色は、褪せ始めた散り際と言った感じでギリギリの状態。基本的に西大滝はGW直前で満開になる桜だという認識なのですが、4月中旬でも遅いということなのか。どんだけ地球温暖化してんだよって。ウチらが年寄りになる頃には、2月あたりに桜が咲いてしまうのではないか?(笑)。


前の週末は五分咲き程度だったのが、月~火曜日辺りに満開になったらしく、やきもきしてたんだけど週中の雨と暑さで満開のピークは早めに過ぎ去った模様。それでも西大滝ダムの駐車場には何台かの花見客のクルマがあって、ダムを囲むように咲く名残りの桜を愛でている様子も見えます。ここからの風景はどうしても列車が米粒になってしまうのですけど、それでも列車の姿があるとないとでは意味合いが全然違います。北信の大きな春に抱かれて走る飯山線の姿、眼福ではあります。


集落の家並みを縫って列車は西大滝の駅へ。トンガリ屋根が印象的な駅です。飯山線の駅舎はたいていが平成になって建て替えられて、どの無人駅も同じような簡素な感じのプレハブ駅舎になってしまっているのはちょいと寂しい。昭和の時代は重厚な木造の駅舎を持った駅がたくさんあったらしいんだけど、豪雪地帯だけに建物の傷みやメンテナンスが大変だったんだろうと思われる。駅の一本桜はまあまあ花を残しているようですね…あとで撮りに行ってみるか。


この西大滝俯瞰、俯瞰場所らしくいくつかの切り位置があるのですが、ちょっとカメラを振って野々海川の鉄橋を渡るシーンも抑えておきたいところ。桜アングルじゃないんだけど、関田山脈の残雪とブナ林を絡めて、この時期の北信らしい風景が写し込める。二年連続満開には間に合わなかった西大滝ですが、桜にこだわりすぎると見逃してしまうものがあるように思えてちょっと反省。

どこを切り取ったって絵になる里が西大滝。また来年のお楽しみ。
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飯山盆地の春の色

2018年04月26日 17時00分00秒 | 飯山線

(いつもの春がやって来た@信濃平駅前)

春になると、信濃平の駅前に広がる菜の花畑。飯山線の春を代表するような風景ですが、まだまだ花は咲き揃っているとは見えず、ピークは一週間くらい先なのかなあと。可憐な桜の色とは違い、菜の花の黄色は鮮やかなので、長いタマで圧縮して切り取ればそこそこ見れる写真になるのがいいところなんですけどね。奥の農家の庭先に置かれた長電バスの廃車体も健在です(笑)。


信濃平の駅と言えば、本州では珍しい貨車を使った待合室がシンボルのようになっています。128Dでやって来た一般色+飯山色。春色の信濃平に浮足立ったワフ29000、思わず「ワシも連れて行ってくれんかのう」とばかりに、128Dの後ろにぶら下がりました。


128Dはそんなワフじいちゃんの思いをつれなくソデにして、信濃平の駅を後に。ここの菜の花畑の構図は、右のこぶし、左の八重桜が咲き誇ると完成するのですが、ソメイヨシノはほとんどが散ってしまっていた飯山盆地でも、まだ八重桜にはさすがに早い様子。


恒例の「いいやま菜の花まつり」は、例年通り5月3日~5日にかけて、市内の菜の花公園を中心に開催されます。
幸せの黄色い花を探しに、北信飯山においでよ。
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