青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

春暖の石橋山

2020年01月21日 23時00分00秒 | 東海道線

(Stripes Dive to Blue@東海道本線・早川~根府川間)

全くもって冬らしくない暖かさの続く今年の冬。春暖を思わせる石橋山の最上段から眺める相模灘の碧さが眩しい。海の碧さに飛び込むように、石橋の鉄橋を駆け抜けていく名残りのストライプ。長年に亘って伊豆方面の特急列車の主役として活躍を続けて来た185系にも、とうとう最後の春がやって来ました。3月改正から、中央東線から転用されたE257系が投入される予定の特急「踊り子」。噂に聞くところによると、長野工場で行われているE257の改造工事については進捗がはかばかしくないらしく、当初の見立てよりは投入ペースは遅くなるようですが、いずれにしろ185系の特徴であるブンブンと煩い国鉄モーターの音も聞き納めになるのでしょうね。

石橋の最上段から、広角で相模灘と名残りのストライプを射抜く。185系の「特急踊り子」だけでなく、251系で運行されていたスーパービュー踊り子も3月より後継車両の「サフィール踊り子」が投入される予定で、現在試運転を開始していますが、2020年代の車両のトレンドらしい流線型のシャープなマスクは非常に印象に強いものがあります。平成の30年間変わらなかった伊豆方面の特急列車が大変革の春、根府川界隈には名残りの姿を求めて休みの日にはかなりの撮影者が詰めかけています。石橋のみかん山の風景は変わりませんが、行き交う車両は様変わりという事になりそうです。

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214mの歴史

2013年11月12日 22時11分19秒 | 東海道線

(歴史を刻む谷戸の奥@清水谷戸トンネル)

横浜市内とは思えないほどひっそりと佇む清水谷戸トンネルの坑口。東海道本線が東京から走って来て一番最初にくぐるトンネルでもある訳ですが、現在は上り線が使用しているこのトンネルの左側は明治20年に当時の工部省鉄道局が掘り抜いたもので、現役として利用されているトンネルの中では最古のトンネルなのだそうです。今にも空から雨が落ちて来そうな日曜日、そんな歴史のあるトンネルを訪れてみました。


清水谷戸トンネルは、駅で言えば保土ヶ谷と東戸塚の間にあります。丘陵がゆるやかに浸食された地形を関東では谷戸と言いますが、そんな谷戸のどん詰まりをちょっとだけくり抜いた短いトンネル。長さは214mだそうですが、鶴見川水系と相模川水系の分水嶺にて古くは武蔵の国と相模の国を隔てる国境でもありました。そんな清水谷戸のトンネルは湘南への扉。80系から113系へ受け継がれた「湘南電車」の系譜ですが、現代の湘南電車・E231系が軽やかに谷戸を抜けて行きます。


同じ場所から振り返れば、東戸塚を抜けて大きく右カーブして来る線路を大写しで撮る事が出来ます。東戸塚の駅が出来る前はこの辺りも全く宅地化されてなくて、朝日を浴びて大きな築堤を駆け上がって来る九州ブルトレたちの格好の撮影地だったそーなのだが。


大宮色の185系踊り子109号伊豆急下田・修善寺行き。
この清水谷戸トンネルの東戸塚側坑口と言うのは、東戸塚の駅から歩いても10分足らずで来る事が出来ます。エキチカな場所なのに、屋敷森に囲まれた農家だとか牛小屋だとかがあって、時代に忘れられたようにローカルな雰囲気を残している。農家に続く小道は、線路と隔てる柵も低くて人通りもなく、カメラを構えるには実にいい塩梅の場所だったのだが、久し振りに訪れたら高い金網が出来て撮り辛くなっていたな。


そんな古(いにしえ)の名撮影地を駆け上がって来る踊り子102号。前は修善寺からの湘南5連、後ろは伊東からの大宮7連。昔ならケツまで抜けたんだろうが、現在では8両が精一杯みたいですね。子供を肩に担いで「バイバ~イ!」と声援を送ったら、ウテシ氏からタイフォンじゃなくてピィ~!と甲高いホイッスルの洗礼。この音色には息子も驚いたようで、「ねえ!ぴい~っってやってくれたよ!びっくりしたよ!」と興奮しておりました(笑)。


「ねえ~、おどりこのりたいよ~、ほーむいこうよ~」と言う息子をなだめすかしつつ、今度は保土ヶ谷側の坑口付近で踊り子115号伊豆急下田・修善寺行き。正調の湘南ストライプで揃えた編成美、清水谷戸へ向けての長い上り坂を威風堂々15連で闊歩する姿、今時15連で走ってる特急なんか踊り子以外ないんじゃないのかね。そしてモーターはMT54と言う国鉄急行型のものを換装しておりますので、15連での力行時はブゥ~ンブゥ~ンとハチの羽音のような特徴あるサウンドを奏でてかっ飛んで行くのであります。長大編成による行き先の異なる多層建て、JR東日本+JR東海+伊豆急行+伊豆箱根鉄道と4社に亘る運用、改めて話題にもなりませんが「特急踊り子」と言うのは今となっては異色ずくめの特急列車なのかもしれません。配属が大宮に統合された事によってカラーバリエーションも様々ですしねえ。


清水谷戸トンネルの東戸塚側にあった案内板。森に続く小道にひっそりと歴史を語る案内板を見る人は少ないのかもしれません。新橋から横浜(現在の桜木町)まで開通した東海道本線を西に伸ばす際に、当初は今の京急線に近いルートを通って桜木町から大岡川に沿って上大岡を経由し、戸塚を経ずに現在の港南台付近でサミットを抜けてそのまま藤沢へ至る案であったそうな。最終的に現在のルートが選ばれたのは、勾配がサミットを境に上下線の勾配が不均衡になる大岡川ルートに比べ、清水谷戸のトンネルだけを掘ってしまえば勾配が均衡するルートで建設出来る事が分かったからなんだそうだが…

このルート決定は、その後当時の終点であった横浜駅が桜木町駅となり、当時は中間駅に過ぎなかった神奈川駅が改めて横浜駅として現在の位置に定まったきっかけになったとも言える。そのような思いで見ると、ターミナルとしての今日の横浜駅の隆盛は、このトンネルの開通によってもたらされたものなんだろうね。
214mのトンネルに、大きな意味があった訳ですな。
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鉄道だってサービス業

2013年11月03日 23時43分20秒 | 東海道線

(威風堂々15連@大船駅)

今日も大した天気ではないものの、家でウジウジしててもしょうがないのでヨメさんから許可をもらって子供とお散歩。藤沢を起点に大船→江ノ島→鎌倉→大船→藤沢→江ノ島→藤沢。JR、モノレール、併用軌道、地方私鉄とコンパクトながら品数豊富に回れる定番のコースです。今日はいつもの江ノ電一日乗車券「のりおりくん」ではなくてJR東日本の「江ノ島鎌倉パス」を使ったのだが、のりおりくんより100円高いだけでモノレールもJRも使える分こっちの方がお得だよな。秋の三連休って事で江ノ電が物凄い混雑、鎌倉駅では1本落とさないと乗れないくらいの混みようだったので子供とスカ線に逃げちゃったよ。のりおりくんだと嫌でももう一回並んで混み混みの江ノ電乗らなきゃならんかったから、その点でもキップのチョイスは正解でしたわ。結局大船駅の端っこでまったり1時間くらい子供と電車を眺めておりましたのですが、最近堂々の15連に平屋サロ2両をくっつけて真昼間の東海道をいいサウンドで駆けて行く185系愛がとっても高まっているのですがどうしたらよいのでしょうか?


大好きな電車通りのすぐ横にある腰越駅。この駅はどこも小さい江ノ電の駅の中でも特に狭く、鎌倉側の1両がドアカットになってしまうような小さい駅。電車が着くたびに女性の駅員がホームに出ては、狭いホームの安全確認を行っているんですが、改札口や駅のそこかしこに女性駅員の手作りらしきポップや案内が置かれてます。その一つ一つが丁寧でいつもじっくり見てしまうんですが、今日は「えのんくん」が紅葉の敷布に寝そべっておりました。

ちなみに、この駅の女性駅員の方はいつも息子に愛想良くしてくれる(笑)。
鉄道だってサービス業と言われればそれまでだけど、いつもどうもありがとうございます。
あまりに混んでて大してカメラも向ける気になれなかった今日の江ノ電にも、ホッとするひとコマがありました。
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秋陽礼賛

2013年10月13日 22時52分24秒 | 東海道線

(遠く見晴るかす海原@石橋山)

昨夜は風が強かった。概して風が強い夜が明ければ、雲は風で吹き飛び、空気も余計なチリが流れて澄み渡る事が多い。写真趣味人は好きと好まざるとに関わらず明日の天気を読んで行動を立てるものだ。そうなると、最後はヨメさんにどう大義名分を渡して家を出るかの一点に焦点は移る。朝5時起床して部屋の窓から外を見れば、意外や意外雲量多い曇りベース…ちょっとアテが外れつつ洗濯機を回し、洗い物を干し、何となく部屋を片付けて朝食を作る。起きてきた家族と朝食を取りながらもう一回外を見ると、天候が晴れベースに変化して来た。子供とじゃれ合いつつ、「おてんきだから、でんしゃをみにいきたいねえ」と言うコメントを引き出させる事に成功すれば、ヨメの前にさしたる家事はなく…ここまで来て「いってらっしゃい」と言う言葉以外に選択肢はなかろう(笑)。小田厚をオートクルーズで駆け抜ければ、家から一時間弱であっという間の石橋山。


先日、185系踊り子でも…と思っていた伊豆旅行で、その「でも」すらレンズが壊れて出来なかったリベンジ。今日は江之浦俯瞰からスタート。空が青い。海が青い。目を凝らせば三浦半島と、その向こうの房総の山並みすらうっすらと見える。そう言えば先週はあの辺りに行ってまっずいラーメン食ってたんだよな。江之浦で座を構えての一本目は故障から復帰したNikkor16-85らしい広角で。いきなり原色のロクロクが満載のコンテナを引いて下って来たぜ!復帰戦は好スタートじゃないの。


「でも」のリベンジ1本目、特急踊り子107号。185系も今年の春から田町→大宮への所属統合に伴う色々な動きがあるようですが、これはタテの湘南帯を締める正統のチタ所属10連。さすがに三連休なら車窓に見える真鶴道路のクソ渋滞をせせら笑いつつ、ビールと柿ピーを窓に並べて優雅に海を眺めつつのんびり熱川あたりの温泉旅館に出掛けるのもいいのかもしれません。


みかん山に続くこの俯瞰位置はハイキングコースにもなっているらしく、お鉄以外の人も立ち止まっては秋の爽やかな乾いた風に吹かれながら小休止を取って行く。江之浦を上って行くE233の東京行き、トンネルの上部に忘れられたようなハエタタキ(昔の架線柱)が残っていて興味深い。この辺りの構造物はトンネルポータルとかも風格あるものが多いんだよねえ。


リベンジ2本目、特急踊り子109号。子供には「スーパービュー」の方がウケがいいようだが、オトーサン的には185系の方が。この109号は熱海分割の伊豆急下田/修善寺行きなんですけど、前の下田行きを受け持つのが高崎筋で谷川だとか草津に使われてた7連+元チタ5連の12連によるツギハギ編成なんだよね。以前は10連+5連の15連で東海道を闊歩していた踊り子も供給過剰なのか、ネグラの統合による運用の共通化が故なのか、とにもかくにも過渡期な感じがします。


場所は変わって石橋山の玉川橋梁俯瞰、午後からはここがどう撮っても光がいい。みんな知ってるせいなのか同業者も結構来てました。何かあるって訳でもないんだろうけど、天気がいい三連休の中日じゃあカメラの虫干しもしたくはなるよね。後で聞いたらタッチの差で「マリンエクスプレス踊り子(新NEX使用)」が下ってったらしいのだけど、そら知らんかった。粛々と特急踊り子115号、色づき始めたミカンを添えて。下田/修善寺行きですがこちらは正統の元チタ10連+5連、江之浦と違ってサイドを狙うならやっぱここだねえ。185系もバリエーション多いからな。

 

上って行くSV踊り子4号は後追っかけで。ちなみにどたっとしたフォルムがそんなに好みではない。ほぼ同期の「スーパーひたち」651系や「スーパーあずさ」E351系など、そこはかとない新性能豪華主義バブル感を醸し出す車両ですな。ちなみに一回も乗ったことはござんせんが(笑)。左上から右下にカーブしながら流れるこの石橋山の構図の中では、色をなくした大都会の通勤時間の主役とも言えるE233も颯爽として見えるから不思議です。


海青く、風澄み渡る石橋山。ハイトーンの午後のライトを浴びて、伊豆急行のアルファリゾート21を使用した特急リゾート踊り子が駆け抜けます。土休日を中心に東京から伊豆急下田までの下りのみの設定列車ですが、以前は上りの設定も結構あって、ちょうど富士・はやぶさの続行で上って来るんで良く撮ってたもんだ。目にも眩しい青白赤のトリコロール、誰だ床屋の看板なんて言ったのは!(笑)。周囲はリゾート踊り子の通過とともに三脚を収める人多数、そのうち一人の御仁に「あるふぁーりぞーと21をおっかけてくの?」との子供の的確な質問は、この歳にしてお立ち台を何度も経験している無駄な経験値の高さなんでしょうか…w


石橋山のお立ち台から徒歩3分、個人的に「裏石橋」とも呼べるポイントへ。南面し逆光ベース、編成は入らない、架線柱が五月蠅くカオが抜けるポイントがほとんどない、とおよそ撮影には向かないポイントなんですけど、一面の海原と岩礁、そして伊豆大島をバックにして撮る事が出来ます。構図的に東海道線とは思えない、どっか鹿児島本線だとか羽越本線みたいな大自然とのコラボレーションが好き。最後の一本のつもりで待っていたら、先日片瀬白田で捕まえたA8編成@ストライプ塗装で特急踊り子108号。


海行かば。
箱根の外輪山に綾なして、山と海との狭間を走る東海道本線。
古くから多くの撮影地を数えるこの界隈ですが、迷路のようなミカン山の農道から、まだ見ぬ撮影地があるのかも。
何度通っても飽きない奥深さを感じる、石橋山の秋景色でした。
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海と朝日とサンライズ

2012年08月07日 06時20分46秒 | 東海道線

(画像:日出ずる彼方へ、サンライズ)

私の家の寝室には東と南に窓が付いているのだが、こう毎日毎日クソ暑いとその日当たりの良さはアダになり、昼の熱気が抜けず夜も暑い。一応エアコンとか使ってはいますけど、「おやすみタイマー」が切れた後の蒸し暑さで思わず目覚める午前3時の不快感は異様(笑)。
日曜の朝も変な時間に起こされて麦茶を飲みに冷蔵庫へ行き、扇風機に切り替えて再度眠りに付こうとしたがなかなか寝付かれずムシムシジメジメした布団の上で悶絶していたら4時。諦めてNHK見てたら4時半。夜が白々と明ける頃合いを見計らい、今週も石橋山まで行ってしまった。エアコンガンガンに効かせた車の中は一番快適だよホントに。


先週は佐奈田さん上段俯瞰だったので、今回は玉川橋梁海側から後追いで。
何度も撮ってる構図ですが、木が伸びて撮りにくくなって来たな~。
この日もやはり朝から根ノ上には何名かの先客がおりましたが、玉川橋梁俯瞰には誰も来ず。確かにこっちは上りに対してはケツ撃ちしか出来ませんからね…それでもこちらには海とみかん山と小田原の街と丹沢と構図には盛りだくさんの見所が(笑)。西湘バイパスの小田原港口にかかる橋もアクセントかなあと。
5:45熱海発なので石橋山界隈を抜けるのは6時頃のサンライズ。そろそろかなと構えていたらジョイント音が響いて今日もほぼ定刻、夏の朝の眩しい日差しを浴びて駆け抜ける寝台特急は、黄金色の輝きを放ちながら都会を目指します。う~んサンライズ乗って個室から窓越しの海を眺めて夜明けのコーヒーとかよさ気ですなあ。ちょっと乗りたくなって来たな(笑)。
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