(遠く見晴るかす海原@石橋山)
昨夜は風が強かった。概して風が強い夜が明ければ、雲は風で吹き飛び、空気も余計なチリが流れて澄み渡る事が多い。写真趣味人は好きと好まざるとに関わらず明日の天気を読んで行動を立てるものだ。そうなると、最後はヨメさんにどう大義名分を渡して家を出るかの一点に焦点は移る。朝5時起床して部屋の窓から外を見れば、意外や意外雲量多い曇りベース…ちょっとアテが外れつつ洗濯機を回し、洗い物を干し、何となく部屋を片付けて朝食を作る。起きてきた家族と朝食を取りながらもう一回外を見ると、天候が晴れベースに変化して来た。子供とじゃれ合いつつ、「おてんきだから、でんしゃをみにいきたいねえ」と言うコメントを引き出させる事に成功すれば、ヨメの前にさしたる家事はなく…ここまで来て「いってらっしゃい」と言う言葉以外に選択肢はなかろう(笑)。小田厚をオートクルーズで駆け抜ければ、家から一時間弱であっという間の石橋山。
先日、185系踊り子でも…と思っていた伊豆旅行で、その「でも」すらレンズが壊れて出来なかったリベンジ。今日は江之浦俯瞰からスタート。空が青い。海が青い。目を凝らせば三浦半島と、その向こうの房総の山並みすらうっすらと見える。そう言えば先週はあの辺りに行ってまっずいラーメン食ってたんだよな。江之浦で座を構えての一本目は故障から復帰したNikkor16-85らしい広角で。いきなり原色のロクロクが満載のコンテナを引いて下って来たぜ!復帰戦は好スタートじゃないの。
「でも」のリベンジ1本目、特急踊り子107号。185系も今年の春から田町→大宮への所属統合に伴う色々な動きがあるようですが、これはタテの湘南帯を締める正統のチタ所属10連。さすがに三連休なら車窓に見える真鶴道路のクソ渋滞をせせら笑いつつ、ビールと柿ピーを窓に並べて優雅に海を眺めつつのんびり熱川あたりの温泉旅館に出掛けるのもいいのかもしれません。
みかん山に続くこの俯瞰位置はハイキングコースにもなっているらしく、お鉄以外の人も立ち止まっては秋の爽やかな乾いた風に吹かれながら小休止を取って行く。江之浦を上って行くE233の東京行き、トンネルの上部に忘れられたようなハエタタキ(昔の架線柱)が残っていて興味深い。この辺りの構造物はトンネルポータルとかも風格あるものが多いんだよねえ。
リベンジ2本目、特急踊り子109号。子供には「スーパービュー」の方がウケがいいようだが、オトーサン的には185系の方が。この109号は熱海分割の伊豆急下田/修善寺行きなんですけど、前の下田行きを受け持つのが高崎筋で谷川だとか草津に使われてた7連+元チタ5連の12連によるツギハギ編成なんだよね。以前は10連+5連の15連で東海道を闊歩していた踊り子も供給過剰なのか、ネグラの統合による運用の共通化が故なのか、とにもかくにも過渡期な感じがします。
場所は変わって石橋山の玉川橋梁俯瞰、午後からはここがどう撮っても光がいい。みんな知ってるせいなのか同業者も結構来てました。何かあるって訳でもないんだろうけど、天気がいい三連休の中日じゃあカメラの虫干しもしたくはなるよね。後で聞いたらタッチの差で「マリンエクスプレス踊り子(新NEX使用)」が下ってったらしいのだけど、そら知らんかった。粛々と特急踊り子115号、色づき始めたミカンを添えて。下田/修善寺行きですがこちらは正統の元チタ10連+5連、江之浦と違ってサイドを狙うならやっぱここだねえ。185系もバリエーション多いからな。
上って行くSV踊り子4号は後追っかけで。ちなみにどたっとしたフォルムがそんなに好みではない。ほぼ同期の「スーパーひたち」651系や「スーパーあずさ」E351系など、そこはかとない新性能豪華主義バブル感を醸し出す車両ですな。ちなみに一回も乗ったことはござんせんが(笑)。左上から右下にカーブしながら流れるこの石橋山の構図の中では、色をなくした大都会の通勤時間の主役とも言えるE233も颯爽として見えるから不思議です。
海青く、風澄み渡る石橋山。ハイトーンの午後のライトを浴びて、伊豆急行のアルファリゾート21を使用した特急リゾート踊り子が駆け抜けます。土休日を中心に東京から伊豆急下田までの下りのみの設定列車ですが、以前は上りの設定も結構あって、ちょうど富士・はやぶさの続行で上って来るんで良く撮ってたもんだ。目にも眩しい青白赤のトリコロール、誰だ床屋の看板なんて言ったのは!(笑)。周囲はリゾート踊り子の通過とともに三脚を収める人多数、そのうち一人の御仁に「あるふぁーりぞーと21をおっかけてくの?」との子供の的確な質問は、この歳にしてお立ち台を何度も経験している無駄な経験値の高さなんでしょうか…w
石橋山のお立ち台から徒歩3分、個人的に「裏石橋」とも呼べるポイントへ。南面し逆光ベース、編成は入らない、架線柱が五月蠅くカオが抜けるポイントがほとんどない、とおよそ撮影には向かないポイントなんですけど、一面の海原と岩礁、そして伊豆大島をバックにして撮る事が出来ます。構図的に東海道線とは思えない、どっか鹿児島本線だとか羽越本線みたいな大自然とのコラボレーションが好き。最後の一本のつもりで待っていたら、先日片瀬白田で捕まえたA8編成@ストライプ塗装で特急踊り子108号。
海行かば。
箱根の外輪山に綾なして、山と海との狭間を走る東海道本線。
古くから多くの撮影地を数えるこの界隈ですが、迷路のようなミカン山の農道から、まだ見ぬ撮影地があるのかも。
何度通っても飽きない奥深さを感じる、石橋山の秋景色でした。