今日はちょいと横浜に用事があったのだが、横浜港に珍しい船が入港すると言う話を聞き散歩がてら大桟橋まで。
入港したのは双胴型高速船「ナッチャンworld」10,712トン。
青函航路へ東日本フェリーが2007年に就航した「ナッチャンRera」に続き、2008年春に満を持して投入したオーストラリア製の高速船で、青森と函館を最速1時間45分で結ぶ能力を持っている。青函連絡船が約4時間をかけて津軽海峡を結んでいた事を考えると、その速度はカーフェリーとしては日本最速。世界を見てもかなりの速度性能を持った画期的な船だった。
だった、と過去形にしてしまうのは、この「ナッチャン」シリーズが就航して間もない2008年の秋、船舶を所有している東日本フェリー株式会社が「重油の高騰による採算の悪化」を理由にフェリー事業からの撤退を決めちゃったからなんだよね。特にこの「ナッチャンworld」に関しては、たった半年で就航路線からの撤退を余儀なくされてしまった文字通りの悲運の船。外見は愛らしいんですけど…現在は閑職をかこつ状態で、大きな口からはアクビしか出ないわね、と言う感じでしょうか。
とりあえずベイブリッジをバックに。
そんな訳でおヒマになったナッチャンworldは、今回横浜港が開港150周年を迎えるに当たってのスペシャルゲストとして本日横浜にやって来ました。特徴であるぽっかり空いた船首の口の部分はサメのようでもある。サメはサメでも、つぶらな瞳とあいまってジンベエザメ的なイメージかな。
青森と言えば、莫大な開発費用を投じたものの放射能漏れを起こして長い間実用に至らなかった「原子力船むつ」なんてのもいましたねえ。このナッチャン姉妹も、最先端の機能を有しながらも不運なハシゴの外されっぷりに迷走する姿が「むつ」とオーバーラップしてしまう。今日は結構船ヲタ(?)も大桟橋から接岸したナッチャンworldを興味津津眺めていましたが、やっぱ船は乗られてナンボ、働いてナンボだと思う訳です。
まーしかしそれにしても、ここまで立派な船を作っておいてどうして即座の撤退なのかは理解に苦しむ。
燃料の高騰で50億円近い赤字だったそうだから有無を言わさず、と言う事なんでしょうか…
航海先に立たず。