青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

リバイバルには目がなくて

2013年01月27日 20時16分00秒 | 京浜急行

(エア急15D運用@上大岡駅)

先週の木曜日から走り始めたらしい京急2000形リバイバル塗装。デビュー30周年を記念しての事らしいのですが、「リバイバル」ってーのはこの業界の最近のトレンドの一つと申しましょうか…ちょっと昔の色に塗り直しゃあホイホイとヲタが寄って来るだろ的な見立ては各鉄道会社にあるだろうな、と言う気はしないでもない(笑)。んで、登場から初めての土日。そんな見立てにホイホイと乗っかった一家族が京急に乗りに行ってるんだから何をかいわんや、と言う訳でして…適当に沿線をウロウロしていたら六浦で羽田に向けて走って行ったところを見かけたので、適当に時刻に当たりを付けて上大岡で捕捉してみました。

 

とりあえず八景まで乗ってみて、改めてもうワンカット。
この京急の2000形、昭和57年に登場した特急車でして、当初は2ドア・固定クロスシートでしたっけね。今はその座を2100・1000・600あたりに譲り渡し、車体の真ん中にはドアを付けられて3扉化されてしまいました。座席もロングシートに変えられて、主にエアポート急行(羽田空港~新逗子)が主戦場となりましたが、側面に太白帯を巻くと往年の優等バリバリな「あの頃」が蘇って来るような気がするから不思議なものです。ダイヤモンドカットじゃないけど、微妙に傾斜が付いた正面の一枚窓が冬の光を浴びてキラッキラに輝いております。腰の位置に置かれた箱型の前照灯は当時の流行と申しましょうか…同じ年にデビューしたのが小田急の8000なんだけど、「それまでの車両のデザインとは一線を画す」と言う意気込みでこんなデザインを採用した会社が多かったですね。細かい事を言えば、サイドの太白帯の隅がちゃんと前面ガラスと同じように傾斜しているトコに注目だよ!(ヲタ的視点)。今の細白帯の塗装にも見慣れちゃったけど、やっぱ正面の顔にインパクトあるから、サイドの白帯が太いほうが軽快な感じで似合ってますよ。


塗り替えられた2011編成は8連の固定ですから、基本的には新逗子~羽田のエア急で行ったり来たりするのが運用のベースみたいですね。新逗子まで乗る予定だったんだけど、八景で返して来るシーンを待ってみる。駅前のパン屋でパンを買って、家族でパン食いながらブンパチ界隈をブラブラしていると、あっという間に返しのエア急で羽田に向かって飛んで行きました。

 

この文庫~八景間は頻繁に走り回る赤い電車といい、文庫検車区といい、旧東急車両の工場といい、30分もいれば飽きるほど電車が見られます。線路の横の公園には、我々のような家族連れもチラホラ。抜けるような冬の青空の下、ブルスカの600形が大川を渡って文庫の駅へ滑り込んで行く姿が、青空と川面に映っていい感じだねえ。息子は京急の中でもブルスカが好きなんで、ブルー行った!!行った!!と叫びながら興奮しとりまんがな。


リバイバル塗装として走り始めて最初の土日ですから、沿線にはそれなりのファンがカメラを向けてましたが、上大岡とか八景でいかにもフツーのおばちゃんまで携帯のカメラを向けているのはビックリ(笑)。単純に、マニアがカメラを向けているための好奇心からなのか、ホントにお好きな方なのかは分かりませんでしたけど…

エア急として走る羽田空港~新逗子間にはそんなにパッとした撮影地が思いつかなかったんで、最後は黄金町で。
個人的には久里浜線方面の運用に入ってくれないかなあと…
大仏俯瞰で東京湾バックにサイドの白帯をバシッと一枚、撮ってみたいものです。
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いつもそこにある風景

2013年01月22日 19時36分58秒 | 秩父鉄道

(秩父そばの天ぷらそば350円@御花畑駅)

秩父地方は旧荒川村を中心にしたそばの里であり、そして小鹿野町・吉田町にかけては「おっきりこみ」と言われる埼玉北部から群馬へかけての煮込みうどん文化が根付くうどんの里でもある。そんな旧荒川と小鹿野・吉田を取り持つ秩父市内を車で走っていると、そば・うどん関係の製麺所が結構目につくのだが、そんな麺モノの街・秩父市の中心街にある御花畑駅改札右側には、立ち食いそばの名店「秩父そば」があります。ちょっとあっさりめながらダシしっかりめの上品なツユに具だくさんの大きなかき揚げ、たっぷりワカメが入って350円と言う極めてコスパの高い立ち食いそばです。


おばちゃん一人が切り盛りする「秩父そば」は屋外のカウンターのみ。まあ名店だと自分で言ってるだけなので世間的評価はどうだか分かりませんが(笑)、電車に乗る前・降りた後、確実に誰かが店ののれんをくぐり意外にも客は引きも切らない。冬の秩父の寒風に、ツユをすすれば染み渡る暖かさ。おばちゃんがコップ酒の空き瓶に入れてくれるお冷やとともに、秩父鉄道の名物と言えるのじゃーなかろーか。ちなみに御花畑の駅前には個人経営の立ち食いそば屋がもう1軒あり、この直営店の「秩父そば」と張り合っている。ネットで見る限りこちらの立ちそばの評価も上々で、何気に御花畑駅前は立ちそば激戦区なのかもしれない。


さて、荒川の河原での撮影を終了し、上長瀞の駅に戻って参りました。今度は浦山口方面に向かいますが、今度の三峰口行きは元都営三田線6000系こと5000系。立派な古レールを使った上長瀞のホーム上屋と絡めて一枚。リバイバルカラーでもてはやされる1000系(旧国鉄101系)に比べるとその立ち位置が実に空気な車両でありますなあ…まあ国鉄101系の存在を懐かしがる人はいても、三田線の6000系を懐かしがるのは高島平団地の住民か大東文化の学生くらいなのかもしれません(笑)。これでもデビュー当時はローレル賞貰ってそれなりの評価を受けたんだぜ。つーか三田線ユーザーって希少価値高いよな。自分も知り合いに一人もいないもん。


都営三田線に乗って、浦山口駅までやって来ました。
浦山口ってのは影森を過ぎ、いよいよ秩父の山塊が車窓に迫る頃合いの場所にある駅です。浦山ダムから流れる浦山川の鉄橋のほとり、集落を見下ろす築堤の上にあります。春は駅の周辺に植えられた桜が咲き誇り、この駅を通過するパレオエクスプレスの姿は秩父鉄道の名シーンの一つでもあります。今日はそんな浦山口の駅を高台から見下ろすお稲荷さんから俯瞰してみましょう。山の中腹に築かれたお稲荷さん、二匹のキツネが駅を見守っておりますが、まあこのお稲荷さんまで来る階段のしんどかった事!雪が積もってて滑るし、階段は急だし、死ぬかと思ったよw


さっき乗って来た都営三田線が返して来ました。
桜の時期ともなれば、この駅の周辺にも撮影者が集まって賑わうのでしょうが、今日は極めて静かなものです。この駅の右側、ちょうど線路が影森に向けての森を抜ける橋のたもとには「不動清水」と言う水場があって、武甲山の石灰岩に濾過された清水がこんこんと湧いております。


冬の陽は西に傾き、ちょうど浦山川橋梁を抜けた場所で東急8090がキラリ。
お稲荷さんと絡めて、こんなイメージの写真を撮ろうと思ってたので概ね意図通りでしょうかね。
陽が落ちると一気に風が冷たくなる秩父の山里。三脚を畳んで帰るとしましょうか。


最後の最後に武州原谷駅に立ち寄ると、夕暮れに二丁パンタをシルエットにしてデキが待機中…
この三ヶ尻行きが出て行った後、影森まで2本の返空便が走るんですが、ホント朝から晩までコンスタントに貨物列車が走ってるんですねえ。とはいえ、セメントの輸送は平成18年に廃止されてしまい、貨物扱い自体も全盛期には比べるべくもない輸送量になってしまったのだと言う。それでも、昨夏に訪問した三岐鉄道同様、鉄道による貨物輸送を私鉄でここまで大規模に展開している例はない訳で、秩父に来れば元気にデキが走り回っている姿を見る事が出来るのであります。
ただ、いつもそこにある風景が突然消えてしまうのもこの趣味の常となれば、この光景がいつまでも続く事を願ってやまないのであります。

しかしマニアとしては太平洋セメントグループに足を向けて寝られませんなw
次の目標は岩手開発鉄道か?
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冬の光と戯れて

2013年01月19日 15時55分45秒 | 秩父鉄道

(只今改札中@御花畑駅)

影森の三輪線界隈で充分に満足してしまったのだが、せっかくフリーきっぷを買っている事だし、こっからは秩父鉄道に乗りながら撮り歩いてみる事に致しましょう。西武線との乗り換え駅である御花畑の駅、いつの間にか改札係が若いお姉ちゃんに変わっていた。鉄道ってのはオトコの職場、特に地方のローカル鉄道に行くと若い男性社員ですら少なく基本は年配者ばっかりなんですけど、秩父には最近運転士も含め女性が働く機会が増えているみたいです。リアル鉄道むすめが「次は長瀞・熊谷・羽生方面普通列車改札で~す」なんて待合室に声をかけて回る姿、鉄道に萌えの要素はあんまり要らないと思うけど、まあ無愛想なクソオヤジに邪険にされるよりはいいって事ですかね(笑)。


さて、ちょっと前までは国鉄101系のお下がりを主力としていた秩父鉄道にも、最近は東急の魔の手(笑)が伸びて参りました。12編成もあった1000系(国鉄101)もさすがに50年選手となって、相当ガタが来ているらしく順次廃車が進行して現在はその勢力を3編成まで減らしてしまいました。その代替車として導入されたのが大井町線から放出された東急8090系。先日見た長津田の工場で3連に改造され、現在7編成が秩父時を走っております。ライムグリーンのグラデーションを身に纏ったその姿、特に愛称はないんですがアタシはパッと見で三井住友銀行色だなと(笑)。


大野原駅を通過するデキ503の返空列車。秩父盆地の中を走るこの辺りには編成を抜けるような直線がなかなかないので、駅撮りが無難でしょうか。貨物同士が交換出来るよう、貨物が走る武川~影森までは大抵の駅が有効長の長い交換設備と貨物用の副本線を持っているのが秩父鉄道の特徴でもあります。


長瀞で三ヶ尻行き鉱石列車を追い越し、樋口駅で普通列車と交換。
こちらでは7500系を名乗っておりますが、やっぱり東急8090系と言った方が馴染みがいいね。

 

前回来た時に雰囲気が良かった記憶がある波久礼駅で下車。寄居までは荒川に沿ってくねくねと走る秩父鉄道、ここでは川の流れに沿って線路が南面するので、いい光線で撮れるかなって感じがしましたのでね。長瀞の駅で追い越した鉱石列車をここで迎え撃とうと言う訳です。相変わらず駅舎内の雰囲気は昭和レトロ、とりあえず「エナーゼ」って何なんや。


駅に到着して5分と経たず、副本線に入線して来たデキ108牽引の積載鉱石列車を冬の青空とともに。
このデキ108は岩手県の松尾鉱山鉄道で硫黄鉱石の輸送に従事していた歴戦のデキなんですが、松尾鉱山ってーのも廃墟の鉱山都市としてマニアには有名な所ですわな。日本の鉱山系廃墟と言えば長崎の軍艦島みたいな石炭系が有名ですが、硫黄鉱山系も結構多いよね。昭和40年代に石油精製の副産物として硫黄が取れるようになって、硫黄を掘る意味ってなくなっちゃいましたからねえ。産業遺産マニアとしては、手近なところで万座峠(群馬)の近くの小串鉱山とか吾妻鉱山とか一回見てみたいもんです。


どうやらこの駅で交換待ちなので、正面に回ってもう1枚。
このデキ108、雪国岩手の出身らしく前面窓のヒサシが深いですね。影森で見た両機はのっぺり気味の顔をしていたので、表情としてはこのスタイルの方が好みかな。秩父の鉱石列車は足の速い電車のダイヤの間を縫って道を譲りながら走っているので、交換待ちや運転停車に当たればこのようにゆっくりと撮る事が出来ます。


駅に戻ってホームで秩父方面の電車を待っていると、今度は返空列車が。
朝の影森でオラッちを背後から急襲したデキ502(笑)が、三ヶ尻のセメント工場で荷物を降ろして戻って来たようで。ダイヤ的にはこの波久礼駅で普通電車の交換があるので、これは副本線での運転停車ですね。波久礼駅ホームの昔懐かしいような木造の上屋と絡めて一枚。


秩父山地の出口に開けた寄居の街。関東平野はここで終わり、波久礼の辺りからは秩父盆地へ向かって長瀞の渓谷に続く山懐に入って行きます。デキも冬の日差しを浴びながら進路開通までの小休止って感じですかね。隣を走る国道の車の音をも忘れる、緩やかな時の波久礼の昼下がり。


波久礼で貨物から先行する普通列車に乗って上長瀞へ。
秩父鉄道の大定番撮影地、上長瀞~親鼻間の荒川橋梁にやって来ましたよ。
夏はBBQや川遊びに興じるファミリーでごった返すこの河原も、冬の平日は人っ子ひとりいやしない。
しかも河原に降りるけもの道が雪で埋まってて往生しましたわ…降りて来るだけで靴グッチョグチョ(笑)。


ここで狙うは今や希少種となった国鉄101系スカイブルー編成。
さっき山に向かってったのを見たので、ダイヤから折り返しをここで撮ろうと思ってたんよね。
レンガ積みの大鉄橋の上を、滑るように進むスカイブルー。薄雲たなびく青空に映えますな。


波久礼で置き去りにした貨物が追いかけて来る筈なので、今度は逆光側で待つ事に。天気が良すぎて光線状態がキツく、絞りとシャッタースピードの選定に悩むが、とりあえず列車は黒潰れでもいいやって事でアホみたいに絞ってみる。岩畳に残る雪のハレーションと、冬らしい鋭い日差しのフレアの取り合わせでどうでしょう。


貨物は構図から太陽を外し、絞りを少し開いてみる。
う~ん、デキの2丁パンタと、盃のようなヲキの形をシルエットにしてみたかったんだけど、ちょっと開けすぎちゃったかな。

三脚を畳んで、荒川の鉄橋を後に。
帰りは帰りでまた靴ビチャビチャだよ…
次回へ続く。
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デキとホッパとレオナルド

2013年01月18日 23時00分00秒 | 秩父鉄道

(雪晴れの武甲山@秩父駅)

さて、引き続き年休消化週間なので、久し振りに秩父に行って来ました。いや、本当であれば信越山線の特雪に行こうかなあと思ってたんですが、ご存じの通り月曜日が大雪でしたからねえ。信越方面に行くのに「雪道走りたい」ってのもあったんですが、それが関東で満たされてしまいましたので。あと、一人で特雪なんか撮りに行って線路脇の雪壁をよじ登ったらすっぽり埋まっちゃって雪が溶けるまで見つからなかったとかなっても困るっしょ(笑)。いずれにしろいつかはリベンジはしたいなあと思ってますけど、調べれば調べるほど思いつきで行けるほどヤワなもんじゃねえなあと感じたのも事実でありまして。
雪の後は比較的安定した晴天続き、今日も朝から良く晴れた木曜日。家を朝5時前に出発し、ガッチガチに凍ったR299正丸峠を抜けて約3時間で秩父に到着。秩父駅で一日フリーパスを購入し、今日は基本的には徒歩鉄で乗り撮りしてみたいと思います。去年の8月に広瀬川原でSL(C58)を脱線させてからというもの、目玉の戦線離脱でアウェイの乗車客が激減してるらしいですからなあ。ちったあ売り上げに貢献してあげないと…キップを買ってホームに上がり、広い構内から仰ぎ見る秩父の名峰・武甲山をワンカット。思えば初めて来た時もこの構図からスタートしているようです(笑)。変わんねえなあ。


秩父鉄道は、一般的にはSLが人気ですけども、私的には貨物列車が運行されてるって事が魅力。と言う訳で今日はデキが牽く貨物列車を中心に撮る事として、まずは影森駅に来てみました。ここには秩父太平洋セメントの三輪鉱山があり、駅からは鉱山までの専用線が伸びています。距離にして地図上1km弱程度くらいとは言え、私鉄の貨物で普通列車が走らない専用線を走るシーンって珍しいんじゃないのかなあ。厳密に言えば影森駅の側線みたいな扱いらしいけど、三輪線と言う俗称も付いているし専用線だよね。影森駅の側線にデキ貨物が1編成停車していたので、その列車がヤマに向かって上がって来るものと思い三脚をセットしてしばし待っていると、後ろの方からなんか音がするぞ(笑)。


振り返ると、カーブの向こうからデキに牽かれた鉱石列車がヤマを降りて来ましたw
後で調べると朝の影森には2本の返空貨物が前日から停泊しているらしく、コイツは荷積みのためにヤマに向かった1本目らしい。うおお何たる調査不足…とは言え鉱石を満載した総重量1000トンの編成を持ってヤマを降りるその足並みは慎重極まりなく、正直人がジョギングしたら追いついちゃうくらいのスピードでゆーっくりゆーっくり下って来る。三脚からカメラを外し、設定を直してレリーズし直す時間は十分にあるのでした。雪の残る森の中、石灰石を満載にしたヲキ車を牽引するデキの姿は年甲斐もなく言わせてもらえばめっちゃカッコイイ(笑)。貨物列車の力強さ、勇ましさみたいなものが凝縮しているように見えます。


通過するデッキの運転士氏に軽く会釈をし、鉱石列車の通過を見送る。デキのグワァァァ~ンと言う吊り掛け音に続き、20両のヲキ車がレールのジョイントを叩く音がダンダン、ダンダンと20×4で計80回。たまんねえっすな(笑)。最後尾のヲキフ車には作業員の方が乗務しております。決して亡霊ではありませんw


なんか初手からかな~り秩父の鉱石列車の魅力にヤラれてしまったのでありますが、影森駅の方からピョ~と言うデキのホイッスルが聞こえて、続いて第2陣の編成がヤマに向かいます。第1陣がヤマを降りたのが9:20、第2陣はその約20分後の9:40頃なので、撮影の方は参考にされたし(笑)。影森駅から20パーミルの急勾配、積荷のない返空列車とは言えあえぎあえぎゆっくりと登って行くデキ301は昭和42年製造。足回りに見えている煙のようなものは雪ではなく、空転防止用に撒いている砂なんだそうです。


「いい写真撮れたかい!?」
平日のこんな時間に三脚を立ててガチ撮りしているのが珍しいのか、散歩中のニット帽の地元オヤジが声を掛けて来た。
私が遠方から来た事を告げると、「この奥のホッパー(積み込み施設)行かないんかィ?遠くから来たんだったらぜひ見て行くといいぞ。案内してやっから!」と言われたので付いて行く事に(笑)。何事にも先達はあらまほしきことなり。三輪鉱山の構内に頭を突っ込んで停車したヲキ編成の横をスタスタ歩く地元オヤジ、レオナルド熊みたいな顔をしてたからレオナルドでいいや。

  

三輪鉱山の入り口まで来ると、デキが牽引して来た空の貨車には構内入換用のDLが据え付けられ、20両のヲキ車をホッパーまで引き込む真っ最中。エンジンを唸らせながら一番奥のホッパー線まで空車を持って行くその姿、逆光で非常に撮り辛いのだが、天をも衝かんと言う勢いで噴き出すDLの煙が光に透けてきれいです。


秩父太平洋セメント・三輪(みのわ)鉱山。
正面に見える武甲山から石灰石を採掘する鉱山にて、大正14年に操業を開始。同社のHPによれば年間85万トンの採掘量があるそうです。この影森の秩父太平洋セメント以外にも、横瀬町側では三菱マテリアルと秩父石灰工業が操業しており計3社が採掘を続けております。三菱マテリアルも西武秩父線の東横瀬からセメントを出荷してましたけど、15年くらい前に止めちゃいましたね。あそこで動いてたE851とか見てみたかったわあ。
武甲山自体が石灰石の塊のような山なんだそうで、地図上で見てもこんな形になっちゃってる。まあいかにも自然保護団体とかが色々言って来そうな雰囲気もあり、国内のセメント需要の衰退と相まって今後の見通しは不透明ですが、この秩父の発展を文字通り身を削りながら支えて来た山であると言っても過言ではないでしょう。

  

DLがホッパ線にヲキを引き入れ鉱石の積み込み作業が開始されると、デキが転線し再びヲキ車の前に据え付けられます。積み込み作業の完了を待ちながら、レオナルドとしばし談笑。レオナルドによると、この三輪鉱山まで貨物が来るのは基本的には平日の午前中で、土曜は来たり来なかったり、日曜日は休みになる事が多いらしい。
「昔はよぉ、ホッパーが全部埋まるくらい貨車が来てたもんさ。ヤマで働いてる人もだーいぶ減っちゃったナ。大野原の工場もセメント作んのヤメちまったもんなあ。特殊(速硬セメントや脱硫用石灰等)はまだ作ってるみたいだけんども…」
「おらァ子供ん頃から見てっけど、前はこんなトコまで来る人なんかだーれもおらんかったよ。けんども最近は結構来るんだよ。珍しいらしいねえ。」
「こないだの雪の日も何人か来てたよ!ハタビ(祝日)だったんだけんども運転あったんさァ。そしたらそこの坂道、あんまり降るもんで機関車が登れねえでよォ。操車の係がいっくら砂撒いたって登れやせんのよ!貨物ってーのは電車と違って一回止まっちまったら動くのは容易じゃないんよ。車もそうだべ?発進の時が一番力使うんさァ。しょうがないからこっからディーゼル出して坂道の途中で繋いでさ、そいで引っ張り上げたんよ。あの重連は珍しいだんで、雪ん中来た連中は『いいもん見れた』って喜んでただでなァ!」

鉱山の従業員が出入りするたびに挨拶をするレオナルド。基本的にみんな顔見知りらしい(笑)。
特に鉄道ファンとは思えないレオナルドだが、さすがに昔っからの知識は秩父に限れば一介のファンを超えている様子。
「さっきと比べて石の落ちる音が大きくなったべ?ヲキが20両あると、まずは奥の10両に石灰落として、終わったら手前の10両に落とすの。だから音が大きくなると、もうすぐ積み込みが終わる合図。」
「終わったら機関車を貨車と繋いで、よーくブレーキのテストするんだよ。知らないかい?何年か前、ここで荷物積んで走り出したらサ、下りの坂道で機関車のブレーキが利かなくなっちゃって、そのまま駅を走り抜けて畑の中落っこちちゃったんよ!」
…あ、それ、知ってます
秩父に初めて乗りに行った後の事故だったから、よく覚えてますよ。

  

ブレーキテストを終え、デキが三ヶ尻の工場に向けて出発の態勢を整えました。短い汽笛を一発鳴らし、ヲキの一両一両に丁寧にテンションを掛けながら牽き出して行きます。牽き出して即座に20パーミルの下り込み、運転台のハンドル操作もさぞかし慎重でしょう。武甲山の向こうから差す朝日に包まれて走り出す秩父のデキ、普段は羽生側のパンタグラフだけを上げているんですが、冬季間は架線の霜取りを兼ねて2丁パンタになるのも「カマの勇ましさ」と言う意味ではポイント高いですなあ。

カーブの向こうへ消えて行くデキを一緒に見送ったレオナルドが一言。
「まあ機関車だの貨車だのがあっちゃこっちゃ動き回るのは、面白いもんだなァ。見てて飽きないよ。飽きない。ウン。」
それ、激しく同意(笑)。

長くなったので、次回へ続く。
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雪晴れスカイウォーカー

2013年01月16日 17時32分55秒 | 日常

(雪の大涌谷を飛ぶ@箱根ロープウェイ)

え~、箱根に行って来ました。よく出掛けるなと言われそうですが、そこらへんは年休消化月間と言う事でご容赦いただきたいところ。そもそも箱根なんて我が家にしてみたら余裕の日帰り圏内なんですが…先週予約した時から天気予報がみるみる悪化し、出発の月曜日はご存じの通りの大雪。ヨメと「とりあえず宿直行してまったりするしかねえべ?」なんて話していたのだが、大雪の中車を出したら家から5分で雪渋滞に巻き込まれた(笑)。雪に対する関東民の脆弱さをナメてましたよホント。登り坂と言う登り坂で車が立ち往生して、交差点と言う交差点で渋滞。インターに向かう幹線道路はちょっと役に立ちそうもないので雪の積もりまくった住宅街の中をスタッドレスで爆走、小田原厚木道路まで出てようやく一息。相模川~酒匂川地域ってのは箱根と丹沢で雪が降り切っちゃうようであまり降雪のない地域なんで、特段積雪もなく宿まで一気に行けたのは幸いでした。ちなみに住宅街を走っている際、途中で坂道発進に失敗し、タイヤをロックさせながらズリ下がったあげく下の家のブロック塀に当たって止まった車を見た(笑)。車の前でおばちゃん途方に暮れとったわw


翌日は雪も上がって大雪一過の青空、箱根の山中をひと回りして来ましたが、よっぽど箱根の道の方が除雪が行き届いていて快適だった。夜間に除雪完了してたし、軽トラで生活道路まで塩カルを水戸泉の如くブチ撒けてたしね。返す返すも雪に関しては準備があるかないかだと思われる。
早雲山からひっさしぶりに箱根のロープウェイなんか乗っちゃったりして。
ロープウェイ自体もいつ以来か記憶にないくらい久々。鋼索が2本になってから乗った事なかったんで…
大涌谷の黒たまごを食べながら仰ぎ見る富士の嶺、ここまで雪の箱根を見たのも何年ぶりだろうか。
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