青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

往く年に寄せて

2019年12月31日 17時00分00秒 | 銚子電鉄

(暮れなずむ時@外川駅)

今日は2019年、令和元年の大晦日ですね。皆様におかれましては、どのような一年だったでしょうか。個人的には、ちょこちょこと色々な場所には行けましたけど、ああまた今年もあっという間に終わってしまったなあというのが月並みながらの感想ですね。自分の中の時の流れが、年々速くなっている事を痛切に感じています。考えてみれば、10歳の1年は人生の10%だけど、40歳の1年は人生の2.5%でしかない。10歳の頃と比べ、一年間の長さは体感上では4分の1になってしまっていて、それだけいちいち一つのことに思いを致したり、感動したりというコトは薄くなっているのだろうな。僅かに明るさを残した空に、三日月が浮かんでいる終着駅、外川。

昼間は駅員が詰めているこの駅も、夕方を過ぎれば無人となります。静まり返ったホームで、時計を見ながら折り返し列車の発車時間を確かめていた運転士氏に、時の過ぎる事の速さを重ねてみたり。自分も、人生で言えば折り返しの場所を過ぎたんだろうけど、来年に限らずこれからの人生の後半戦を憂いなく過ごすためにも、特に健康に気を付けなきゃなあと思うんだよね。最近またちょこちょこと病院に通う事も多くなっているので・・・来たる2020年はどんな年になるのだろうか。最近は毎年毎年「災害のない安寧な年になってもらいたいな」と願ってはいるのですが。

「もう若くはない」という事実に怯えながら過ぎて行く時の速さに、最近は誕生日なんかいらないからもうちょっとゆっくりと時が流れてはくれないものか、と思ったりもする。それでも、まだ何か楽しいことはないか、素晴らしい景色はないか、魅力的な何かがないかと好奇心を絶やさずに2020年も過ごして行きたいですね。ソコの気概がなくなった時が、このブログを畳む時期なのかもしれないとは考えてはいます。つらつらと書き殴ってしまいましたが、ともあれすっかりご無沙汰している旧知の友人のみんな、そして弊ブログをお読みいただいている皆様に今年一年の感謝を申し上げまして、年末の挨拶とさせていただきます。

2019年の撮り納めは、18:08外川発・上りの銚子行き。銚子電鉄の上り電車は全てが銚子行きなので、「上り調子」にあやかった縁起物でもあります。白熱灯のともったホーム。発車の時間をもう一呼吸待って、乗る人がいないことを確認してから、運転士さんが緑の箱に入った出発スイッチを押します。駅横の踏切の鐘の音が誰もいないホームに響くと、ほどなくドアが閉まって、電車はゆっくりと揺れながら、とっぱずれの駅を出て行きました。

2020年、令和2年行きの電車に、皆様もお乗り遅れのないように。良いお年をお迎えくださいますよう。

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10年ぶりのとっぱずれ

2019年12月30日 21時00分00秒 | 銚子電鉄

(青空の銚子半島@銚子電鉄・犬吠駅)

27日につつがなく今年の仕事納めを終え、既に正月休みに入っています。今回はカレンダー回りがいいせいか比較的ロングな9連休を取る事が出来ました。そうなると、今年の撮り納めをどこでやって来るかなあなんて考えていたんですけど、昨日は久し振りに銚子まで出掛けて来ました。記念すべき令和元年の最後の撮り鉄遠征。東関道の富里ICを降りてから、下道で50kmくらいえっちらおっちら走ってやって来た銚子の街。銚子になかなか足が向かなかったのはなぜ?と言われると答えにくいのだが、一番の理由は「遠い」という事にあるかもしれない。昔っから「ほととぎす 銚子は国の とっぱずれ」なんて言われていた場所で、鉄道でもクルマでもとにかく時間が掛かるんだよねえ・・・。思えば銚子電鉄は長いことご無沙汰していて、前回行ったのは「ぬれ煎餅」でブームになった頃だからかれこれおよそ10年ぶりくらいの訪問になります。犬吠の駅前に久々に立ってみると、駅の右側にあった相鉄電車の廃車体を利用したカフェはきれいさっぱりなくなって、高くなったヤシの木だけが気だるげに揺れていました。

銚子電鉄と言えば、何と言っても名物は経営危機を何度も救った「ぬれ煎餅」。銚子名産の醤油で作った特製ダレをたっぷりと染み込ませた、デンシャより稼ぎの良い名物アイテム。ちょっと小ぎれいになった駅ナカの売店で、久し振りにぬれ煎餅を買いましたけど、相変わらず美味いですねえ。マヨ&七味で食うとヤメらんねーやつ。合法麻薬。何気に上の棚に置いてある「ふわふわあげせん」「玄米あげ餅」とかの揚げ煎・揚げおかきシリーズも美味い。銚子電鉄の米菓に関しては、何を食っても味のクオリティのレベルは総じて高いと思う。逆に言えば、万人が美味いと思ったからこそ、電車を走らすほど売れたということなのかもしれない。

あの頃走っていた車両はほぼすべて引退し、今は旧型のツリカケを置き換えるために伊予鉄道から譲渡されたデハ2000形×2編成、デハ3000形×1編成の3編成で運用を賄っています。先代の801形も伊予鉄からの譲渡車で何かと縁が深いんですが、お互い600V路線ということで、譲渡に際し降圧工事が必要ないというのが大きいのかもしれません。ともに京王帝都電鉄で走っていた2010系・5000系の改造車で、京王帝都→伊予鉄→銚子と3社目の職場。車齢もそれなりに積んではいますが、それでも銚子の最新型車両。デハ2000の2連は、銚子側の先頭車両が湘南マスクの二枚窓になっているのがポイント。元々「グリーン車」と言われた京王の旧型車の、最後の生き残りです。

太平洋の海原から昇る朝日に包まれた君ヶ浜、畑の真ん中の4種踏切で座を構えます。朝露に濡れて光るは「灯台キャベツ」と呼ばれる銚子の主力農作物。ほどなく君ヶ浜の駅の踏切の鐘がカンカンカン・・・とリズミカルな音を立てると、青系のツートンに身を包んだデハ2000の2連が、海鹿島への坂道を登って行きました。

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師走/相鉄界隈

2019年12月29日 17時00分00秒 | カレンダー

(師走・相州を駆けるE233@相鉄本線・相模大塚)

12月。正確に言えば令和元年の11月30日ですが、相鉄こと相模鉄道線が西谷~羽沢横浜国大間の通称「相鉄直通線」を介してJR線と繋がり、埼京線との直通運転を開始しました。一応夏過ぎくらいから直通線を使ってE233が試運転に入って来てたんで、川越電車区のE233がかしわ台の車両センターにいたところなんかを目撃はしているのだけど、やはり開業となるとまた一味違うもの。短いながらも新設路線としては首都圏では久しぶりの大型案件で、注目度はかなり高かったのではないでしょうか。さすがに一番電車なんて乗る気合も体力もないから、運行初日の朝にメシ食ってからちょっと見に行ってみたんだけど、いきなり来たのが「特急・武蔵浦和」の行き先を表示した埼京線のE233。相州のガラパゴスとして独自に進化を遂げてきた相鉄の開国の日を、スッキリと晴れ渡った空と丹沢の山々が慶び迎えました。

大山の稜線を茜濃く彩る相州の夕暮れ。晩秋のススキの穂波に相鉄12000系のヘッドライトが大仰に輝きます。正直、横浜方面に向かう乗客が8割方の相鉄沿線民ですから、直通線に割り振られた1時間に3~4本のスジ分だけ横浜への利便性は下がっているわけで、朝はともかく夕方の下りラッシュ時間に横浜発の海老名行き急行が14分も来ない時間帯とかあって憤懣やるかたない(笑)。来年3月のJR側のダイヤ改正でどのような動きがあるかでしょうねえ。あと、これは予想された事態でしたけど、開業して1ヶ月は埼京線と相鉄線とお互いの遅延が遅延を呼んで直通線方面のダイヤが全く安定しませんでしたからね。「直通」のメリットに拘り過ぎず、一部の列車は西谷で折り返してもいいんじゃねーのかと思ってはいる。

という事で、2019年をカレンダーで振り返ってみる企画、いかがでしたでしょうか。年とともに撮るものが少なくなって、カメラを置いてしまいそうになる事もあるかもしれませんけども、来年も皆様とそして私の鉄活動が豊かなものになりますようお祈り申し上げております。このブログが上がる頃には、どっかに撮り納めに行ってる予定なんだけど、どこ行きましょうかねえ。

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霜月/奥大井湖上・岳南原田

2019年12月28日 17時00分00秒 | カレンダー

(霜月・青磁の湖上を渡る@大井川鐡道井川線・奥大井湖上駅)

11月。暖かさが続いたために紅葉の色の進みは遅め。最終週に紅葉狩りがてらの井川線を訪問しました。奥大井の大自然を闊歩するDLロコと客車たち。雨続きの秋を象徴するように、濁りの入った長島ダムのダム湖の湖面。崖に色付く見頃の木々を眺めながら、赤いトラスのレインボーブリッジを行く。紅葉シーズンらしく、接岨峡温泉で増結された堂々のロング編成。井川線は全列車客レ、補機連結によるアプト区間あり、大自然のアクティビティが如くの秘境の絶景路線と売りどころが多数ある割には、あまり乗る人も撮る人も多くはない印象があります。みんなSL撮影して千頭で折り返してしまうようですが、ちょっと足を伸ばすだけで、素敵な景色が待っています。

そんな奥大井の帰りに立ち寄った岳南鉄道。貨物を廃止してからはだいぶ長いことご無沙汰になってしまった富士南麓の小私鉄。最近は富士市内に林立する製紙工場のプラント群にスポットライトを当て、工場夜景を楽しめる鉄道として来客誘致に努めているようです。往時はコキ車によるコンテナの貨物扱いがあった岳南原田の駅。駅には「めん太郎」という立ち食いそば屋があって、脂のコッテリした唐揚げがデデンと乗った唐揚げそばが名物でしたね。ED401や502が入換作業に闊歩していた側線は跡形もなくアスファルトに埋められてはいましたが、岳南らしい特徴のあるキノコ型のホーム上屋に井の頭線3000系の両運改造車がやって来ました。後ろの煙突は日本大昭和板紙(現・日本製紙)吉永工場。ここで製造される段ボールの原材料と製品の輸送が、岳南鉄道の主な仕事でしたね。

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神無月/西金・上野公園

2019年12月26日 22時00分00秒 | カレンダー

(神無月・傷付いた川に鮭泳ぐ@JR水郡線 西金~下小川)

この秋は、毎週のように日本列島に迫った台風に泣かされました。特に台風15号と19号によって、関東甲信越の多くのインフラが倒され、水に浸かり、流され、破壊されてしまいました。千曲川の橋脚が流出し落橋した上田交通、蛇骨川橋梁を根こそぎ流された箱根登山鉄道、切通しが崩れ土砂で埋まった小湊鐡道、そして第6久慈川橋梁が流されたJR水郡線。この4路線はこの年末も長期の運休のさなかにあります。そんな中で、台風被害の爪痕生々しい奥久慈を応援がてら訪問したのがこの頃。傷付いた川を遡って行く鮭の姿にそれでも巡って行く自然の輪廻を感じたのだが、久慈川に叩き落された水郡線の鉄橋の橋脚には言葉もなく・・・

そんな訳で、10月はあまり写真撮影なんて気分でもなく子供達を連れて近場でお遊びをしておりました。10月いっぱいで運転休止となった上野動物園のモノレール。最後の週の日曜日だったせいもあってお名残り乗車の列は長く・・・あれだけ並んで東園と西園の間を結ぶ空中散歩は1分30秒余り、150円のささやかなアトラクション。れっきとした都営交通の一部であったこのモノレール、懸垂式のモノレールの日本における嚆矢ともいえる実験線であったらしい。車両の新造や設備更新に費用が掛かり過ぎるという事で、休止後の行く末は不透明なまま。さよならは別れの言葉じゃなくて、再び会うまでの遠い約束となりますかどうか。

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