(黒部鉄道山小屋風@愛本駅)
ハンドル訓練(?)のデキ工臨を見送って、再び黒部線界隈の撮影へ。黒部川の谷が宇奈月に向かってこの辺りから狭まって来るのが愛本の駅。昔には「愛本刎橋」という木造のアーチ橋が黒部川に架かっていて、山梨の猿橋、山口の錦帯橋とともに「日本三奇橋」と言われていたのだとか。愛本駅は、屋根の折り込みがなかなか複雑な山小屋風の駅舎です。黒部鉄道由来の駅は割とどこも水色のトタン屋根を葺くのが特徴ね。
愛本の駅を京阪カボチャの「特急うなづき6号」が通過して行く。駅の裏にあるのは関西電力の愛本発電所の付属施設である変電所。最上流に聳え立つ黒部ダムから始まって、黒部峡谷の作り出す位置エネルギーは余すところなく発電に利用されており、この辺りから山に向かっては沿線に電力関係の施設が増えて来ます。愛本発電所は黒部川本流では最下流にある水力発電所で、宇奈月発電所で発電に供された水が再利用されているそうな。
音沢付近で。ススキ群落の中を、特急くろべが宇奈月温泉へ向かってラストスパート。音沢は宇奈月温泉に向かって最後の駅で、宇奈月温泉地区が開発されるまでは黒部川流域の最奥にある集落でした。ここから終点の宇奈月温泉までは約4kmに亘って駅がなく、地鉄の中では立山線の本宮~立山間に次ぐ長さ。車窓にはいよいよ山が迫って来ます。
宇奈月温泉手前の隧道を抜けて来る14760系。ちなみにカメラを向けているワタクシの後ろで、カモシカがのんびり草を食んでいた(笑)。
同じ位置から後ろを振り返って。山が迫る宇奈月の温泉街を後に。ちなみに宇奈月温泉は宇奈月の地に湧いているわけではなく、上流の黒薙に湧く温泉を引き湯した上で開発された新興の温泉地です。なので、お湯自体は黒薙温泉と基本的には同じ。黒薙温泉は宇奈月で黒部峡谷鉄道に乗り換えれば行けますね。黒部川の河原の露天風呂が非常に有名な温泉で、これからの紅葉時期はさぞかし素晴らしい湯浴みが楽しめることでしょう。
先程の14760系が折り返してきました。温泉場にある終着駅から街へ向かって降りて行く構図は、何となく長電の湯田中辺りとかそのへんの雰囲気と被る。たまーに地鉄の各駅停車は沿線のゆるキャラのヘッドマークをぶら下げているのだけど、これは滑川市のゆるキャラである
「キラリン」だそうだ。当然ながら富山湾の特産物であるホタルイカをモチーフにしたキャラクター。ホタルイカの沖漬けって美味いよね(笑)。
宇奈月の温泉街を登って行く、アルプスエキスプレスの特急うなづき3号。温泉街の建物がゴチャゴチャしてすっきりしない構図ですが、「宇奈月グランドホテル」の看板が入るのが良き。「グランドホテル」という語感には昭和を感じますねえ。
朱色とゴールドのヘッドマークに高級感が。土休日に電鉄富山から来る特急うなづきはこの3号のみですから貴重な列車。現在の春秋ダイヤの特急うなづき(電鉄富山~宇奈月温泉)は平日1往復で、土休日が富山行きのみ2本の1往復半。エリア特急くろべに枠を割り振ったとは言え、昭和の時代の時刻表を見ると朝~夕の毎時30分に電鉄富山を特急が発車するダイヤになっているのだから、隔世の感がありますなあ…。
但し、この宇奈月にも追い風が吹いていて、黒部峡谷鉄道の欅平から先、黒部ダムまでを結ぶ関電専用のトンネル施設を、2021年をメドに一般開放するというニュースリリースがありました。現在は関電が募集する見学会の際にしか通る事の出来なかった通称「黒部ルート」を整備し、年間最大1万人が訪れる観光ルートとして開放するそうです。これが出来ると富山→宇奈月→欅平→黒部ダム→室堂→立山→富山という新たな周遊ルートが生まれる訳で、地鉄にもかなりな光明の予感はあります。欅平から先の上部軌道こと関西電力の黒部専用鉄道部分が乗れるとか胸熱以外の何物でもないでしょ。高熱隧道ですよ。