(画像:発車前)
磨き抜かれたノッチレバーとブレーキレバー、剥き出しの配管と計器類。
赤々と燃える燃焼室。圧力が上がれば、噴き出るドレーンの白煙。
作業帽に軍手で装った機関士の出発前のヒトコマは、男の職場と言う感じですなあ。
2月に引き続き、またも秩父に行って来ました。
GWの秩父と言えば
羊山公園のシバザクラと、春を待って走り始めた秩父鉄道の
SLパレオエクスプレスのゴールデンコースです。
ハイシーズンの秩父市内の渋滞に巻き込まれたくないので今日は完全に鉄道。カメラをかついで横浜市内某所から横浜線で八王子~八高線で東飯能~西武秩父線で横瀬まで2時間半で行ったんだけど、普段ガラガラの西武秩父線が8両編成でも大混雑だったのにびっくり。西武鉄道も「芝桜ダイヤ」とか組んで多客対応してましたが、最寄りの横瀬駅は
このありさまで、
何このG1の日の府中競馬正門前と言う感じ(笑)。聞いた所によるとこの芝桜だけでこの時期100万人の人出があるらしいからなあ。
朝飯食ってなかったんで駅前の露店で豚バラ串と缶ビールを買い、老若男女の花見客のケツを眺めながらゾロゾロと里山を15分ほど歩くと羊山公園。武甲山の南麓に広がる16,500㎡の敷地に、40万株の芝桜が咲き誇る。
●羊山公園の芝桜 その1(武甲山をバックに)
●羊山公園の芝桜 その2(鮮烈な花の色を見せる西側斜面)
●羊山公園の芝桜 その3(花と人のミルフィーユ)
●羊山公園の芝桜 その4(足の踏み場も無きが如し)
●羊山公園の芝桜 その5(「多摩の流れ」と言う品種だそうです)
●羊山公園の芝桜 その6(「オーキントンブルー」をマクロ撮影で)
満開の花の色はとりどりに咲き乱れて、風がふわりと舞うと風に乗って強烈な花の香りがこぼれて来る。まー、それにしても人の多い事多い事(笑)。ファインダーを覗くと、広大な丘陵地に色を巡らしたキャンパスの上で右往左往するミツバチのようでもあります。
シーズンになると関東のテレビのニュースで絶対に取り上げられるから知らない人も少ないと思うけど、「花のパッチワーク」と言われる自然の造形美と言うのは確かに見事なもんでして。ただ、自分の中でイメージが膨らみすぎていたせいか、もうちょっと広大な物を想像してたんだけどね(笑)。
小一時間ほど芝桜の丘を散策して、徒歩にて向かうは秩父鉄道の御花畑駅。どちらかと言えば芝桜はオマケであって、気分的にはこっからが本チャンであります(笑)。今日の「パレオエクスプレス」は、熊谷へ向かう午後の下り便なら若干の当日空きがあると言う事前情報を得ていたので、窓口で「三峰口→熊谷」のSL整理券を無事ゲット(500円)。4両編成のうち3両が自由席のため、着席を狙ってまずは終点三峰口へ出向く事にする。芝桜客が多いので御花畑からじゃ絶対座れないからな…
相変わらずコンプレッサーがダカダカとうるさい旧国鉄101系に乗って三峰口へ到着すると、先着していたパレオの牽引機である
C58型蒸気機関車が側線で機回し待機中。後ろには左から西武4000系、秩父1000系、秩父5000系、緑のパレオ用客車と賑やかな三峰口の駅構内であります。この後、追っかけで国電リバイバルカラーの
関西線色旧101系もやって来ました。
早速構内の踏切から
C58-363号機を見学。この機関車は、復活前の現役時代は山形県の新庄機関区に所属し、主に陸羽東線で活躍していたそうだ。陸羽東線と言えば東北本線の小牛田から鳴子を通って新庄に抜ける路線であり、鳴子と聞くと何となく親近感が沸く(笑)。昭和63年に復活し、秩父鉄道の「パレオエクスプレス」として走り始めてもう21年目。昭和19年川崎重工製、秩父鉄道所属ですが
銘板に刻まれた「高」は定期検査を行うJRの高崎車輌センター、「16-7」は全般検査を平成16年7月にJR大宮総合車輌センターで行った、ちゅー事で、メンテナンスのノウハウはJRが提供しているんですね。
C58の特徴は煙突の前にある
横置きのタンク。これを「給水暖め機」と言って、動力源となる蒸気の吹け上がりを良くする効果があるそうだ。これがあるせいで、「ばんえつ物語号」に使われているC57と比べると何となく愛らしく丸っこいイメージがあります。
構内の機回し作業を終えて、熊谷側に
ガッチリと連結されたC58。GWでもありおとーさん絶賛家族サービス中。ただ、おとーさんサイドも機関士の人から帽子を借りて記念撮影に臨んだりと意外にノリノリで、子供をダシに使った「ダシ鉄」が結構いたのではないかと思われる(笑)。C58に牽引された「パレオエクスプレス・SL芝桜号」は、これまたJRから譲り受けた
旧14系客車4両を従え、熊谷~三峰口間を往路2時間40分・復路2時間10分をかけてゆっくりと走る。山峡の駅に汽笛高らかにこだまして、ガッシャンと言う客車列車特有の引き出しの衝撃とともに、定刻14:03三峰口を発車。
こいのぼりはためく荒川の谷は、桜も終わって新緑の時期。
煙が流れ込むのもお構いなしに窓を全開にして、体を乗り出し汽車の旅を存分に楽しむ。
荒川に注ぐ支流の谷を何本も
高い鉄橋で渡って行く。川面から吹き上がってくる風がとても気持ちがいい。
勾配にさしかかると、機関車はてきめんに速度を落とす。
ガッシュ、ガッシュと窓の外からは懸命の奮闘の声が伝わって来る。
「シゴハチ辛抱~!」と励ましたくようなけなげな走りだ(笑)。
坂道をあえぐように越えて下りにかかると、とたんにシュシュシュと軽やかなサウンドに変わるその息遣いが、「人間に近い乗り物」であることを実感させてくれるようです。
武甲山の裾を巻き、御花畑と秩父で花見客を大量に乗せて、太平洋セメントを横目に見つつ皆野。4月の雨に流量を増した
長瀞の荒川橋梁を越え、大量のギャラリーに見守られつつ長瀞到着。補給点検を終えて荒川の谷を下り、平野に開けて
寄居到着までの1時間30分を楽しませて頂きました。
記念キーホルダー、またもしっかりゲットして来ました(笑)。
貴方も
「パレオ君」に会いに、秩父に行ってみませんか。