(画像:大潟浦園地より)
芝生に寝転んで、海風を受けながら西に日が傾く。
もうすぐ、最後の夕暮れ。
●今日のおかず釣り
末吉の集落から、登龍道路を越えて三根の市街へ。毎日やってる事は同じようだが、結局この後も昨日と同じ釣り具屋でサビキの道具を買い込んで、神湊漁港で釣りをしてしまったw今日は仕掛けが切られたり、取り込みの時にバラしたりして思うように釣果は伸びず。刺身にはなりそうもない小アジ中心にパラパラとかかるので、小アジは持って来た果物ナイフで捌いて
アジの開きにしてしまった。
隣のオヤジに感心されたw
●最後の夕暮れ
おかずには少し少ない釣果を昨日同様宿のオバちゃんに渡して、八重根港方面へ。
すっかり島のライフスタイルに染まった感じだが、もう明日には横浜へ帰らなければならない。最後の夕日を見届けるために、西海岸沿いをフラフラと北上。だんだんと沖の八丈小島に夕日が重なって行く。
こんな
謎を秘めた看板に惹かれて、海岸へ降りる小道に入ってみる。
八丈島の北部、ナズマド。何だか
ドラクエの呪文のような地名だw
小道の突き当たりは、ダイバー小屋がぽつんとあるだけの岩礁だった。この辺りの海岸が一番八丈小島に近い。今日はここで夕日を見ることにしよう。何故か、野良犬が一匹波打ち際の岩礁を歩いている。とうに
日は八丈小島のはるかかなたに傾いて、おぼろな水平線の上に並行して層のように雲が渦を巻いて浮かんでいる。
この島に来て、その美しさに魅了されたのがこの
八丈小島。
何と言うか、八丈島だけでは美しくなくて、この小島があって初めて八丈の風景は完成されるのではないかと。そんな感じのする島である。だだっ広い海の風景にアクセントを加えてくれるこの島は、朝は陽光に輝き、昼は空と海の青に囲まれ、夕闇にシルエットを落とす。海からすっくと屹立して、優美に裾を広げるその姿は、このナズマド付近から見るのが一番美しいかもしれない。
この小さな島にある山は太平(たいへい)山と言い、標高は617m。伊豆諸島の中でもかなり高い部類の山になる。この八丈小島は八丈富士より古くから形成されていたらしい。昭和30年代までは人が住んでいたそうだが、今は無人島だ。
最後の夕日は、高温で液体になった
銑鉄のような色を残して、海へ消えていった。
●人それぞれ
宿に戻って夕食。昨日から某早稲田大学のダイビングサークルの連中が宿に20人程度宿泊しており、食堂は大賑わい。つか、やかましい(笑)。まあ、酒を飲まずとにかくメシをガツガツワイワイ食って、メシ終わったら全員で「ごちそうさま!」と叫び、パパパッと片付けて帰ってしまうんで、わりかしストイックな連中なのかもしれない。
そのせいで私のような独り者やカップルは食堂の片隅に追いやられるのだが、私と相席になった男性の二人組、なんとレジャーではなくて仕事での八丈滞在だそうだ。航空関係のレーダー設備をメンテナンスする技術者の人で、今回は八丈に3ヶ月間滞在するらしい。帰るのは秋なんだってさw
「いや、石垣島で半年ってのもありましたから…ここはまだ思い立てば東京帰れますから楽ですよ」との事。人には、「お仕事がリゾート気分で結構ですねえ」みたいに言われるらしいが、全然そんなこたーないらしいです(笑)。当たり前か。おかげで、マリンレジャーはかなり達人級になってしまったとの事。聞いたところによると、こういう人も滞在するから、ここのメシは遅いんだってさ。それでも、まだ今日は早いほうらしい。なるほどね。
「もう宿の人にも帰ってくるの待たないでいいからメシ置いといて下さいって言っておくんです」
「でも仕事でハマって遅くなって、誰もいないシーンとした食堂で夕飯食べるのは侘しいですよ(笑)」
この後ちょっと野暮用があったのでアルコールは遠慮したが、話を聞きながら島焼酎の水割りを作ってあげる自分。隣のオジさんも話に加わって来た。この方は、八丈の海が大好きで、ヒマと飛行機の空席を見付けてはこの島へ来て潜っているそうだ。よもやま話、人それぞれ。
●ヤボ用
ちょっと宴席を抜けてハイゼットのエンジンを掛ける。目指すは、登龍峠。
もう何回この峠道を登ったか分からないが、昼間の光景を見て、これは夜景も素晴らしいだろうなあと言う思いから。車のライトがなければ墨の海に潜ったかのような暗い暗い峠道を登龍峠を目指して走る。イタチのような小動物が目の前を横切ってハッとする。びっくりしたなあ。もう。
登龍峠に到着。したが…ライトを消すと真っ暗で、自分の足元が見えないw
5分程度車のライトを消して、運転席で暗闇に目を慣らす作業が必要になった(笑)。
去年の冬の北海道でも感じたのだが、「本当の暗闇」ってのは怖いもんです。
さて、目がなれて、ようやく辺りがうすぼんやりと見えて来たので、三脚とデジカメをかついで展望台へ行ってみる。
☆登龍峠からの夜景
底土の港の灯りが、静かな夜の海に映っている。
奥のほうに東西に走るのが空港道路、手前が三根と大賀郷を結ぶメインストリート。右手奥にS字型にくねって続くのが、島の北部を周る永郷道路ですね。
小さな島の、控えめに美しい夜景と言う感じだ。
しばらくボンヤリタバコをふかしながら夜景鑑賞。
ふと、上を向いて気付く夜空は、一面満面のこぼれるような星空。
☆登龍峠から見た星空
本当の暗闇が見せた、粉砂糖をこぼしたような夜空。
何がどれ座だかさっぱりわからないけれど、これは圧巻。
個人的には、30秒露光でこれだけの夜空が撮れるのがスゲエと思いましたw
続く。