青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

「かしてつ」の明日はどっちだ

2005年11月29日 23時01分05秒 | 日常
(写真:お目覚めの私をお迎えの上り列車 巴川駅にて)
きっちり1時間爆睡しちゃったよ(笑)。

最後。

初冬の日差しは西に傾いて、かすかに夕暮れの気配を漂わせる枯れ草の中の巴川駅を後に列車は一路石岡を目指す。
ポツリポツリと小さな駅から乗客が乗って来る。
それは手に荷物を一杯に持った友人を見送るおっちゃんであったり、娘を見送るバアさんだったり、ガキンチョだったりする訳であるが、運転席の後ろの一つのドアしか開かないワンマンカーの扉越しに、それぞれのお別れの挨拶が交わされる。
運ちゃんも心得たもので、きちっと挨拶が済んでからドアを閉める。相変わらず泣き叫ぶようなエンジン音を上げながら、ゆっくりとそれぞれの里の駅を離れて行くのであった。

昼にも増して茫洋とした感じの霞ヶ浦のほとりを、タタタン、タタタンとリズミカルな上下動と共に走る列車。噛めば噛むほど、何もない中の味わいに何となく去りがたい思いに駆られ、常陸小川駅でまたも途中下車してみた。ここからは石岡方面への本数も増えるので、先ほどのように時間をもてあます事もなさそうだ。しかし、降りたのは私一人であった。
駅前は鉾田駅同様、広場にタクシーが2台。降りてくる客を当てにもしていないように運ちゃんは昼寝の真っ最中…

鉾田の駅とは違い、駅前には1軒の小さな洋菓子屋さんがあって、地元の生活の匂いがする。ちょっと興味が湧いてガラガラと引き戸を開けると、意外にもショーケースには溢れんばかりのお菓子が並べられているのであった。「この店の名物だ」と店主のおばちゃんの言うバナナクレープを2個買ってみた。
駅の待合室で包みを広げて食べてみる。大きなバナナがドカンと入ったクレープは、クリームが少なく少々バランスが悪いなあと思ったのだけど、その分甘くなくて食べやすかった。

石岡からの折り返し列車が到着して、自転車に乗った少年が降りてくる。
何とかして鉄道を利用してもらおうと、このようなサイクル&トレイン(車内への自転車の持ち込みOK)、持ち込みはしないけど駅からサイクリングしたい人には自転車を無料貸し出しし、突然の雨には傘を貸し出し、車で駅までやって来て、そっから出掛けたい人のために無料駐車場まで用意して、鹿島鉄道としては利用の促進を図っている。はっきり言ってお金のかかっていないサービスなのだけれども、そういう細かいところなら何でもやりますよ!って感じの姿勢がかえっていじましいと言うか何と言うか…
しかし、そんな細かい努力が歯が立たないほどやはり経営は厳しいようだ。3期連続で目標の収支にも届かず赤字が続き、何とか県からの援助を受けながら運行しているのが正直なところなのだとか。

地方はいまや完全に車社会。街を迂回するバイパス沿いに新しい大型店が続々と出来て、駅周辺は古いまま取り残される事が多い。私もたまに地方へ鉄道で出かけると、駅前なのに食事に難儀した経験も何度となくある。
特に経営基盤の脆弱な地方鉄道に関しては輸送需要の落ち込みは著しく、車を使えない高齢者と沿線の通学客を主力に細々とやるしかない、というのが現状なのだろう。特に鹿島鉄道の場合は、収益に寄与していた沿線の自衛隊基地(百里基地)へのジェット燃料の貨物輸送が廃止されてしまった事も痛かったのだとか…

常陸小川の駅の構内には、在りし日にはその貨物列車の先頭に立っていたであろう機関車(DD901号)が留置されている。もう動く事はないらしいが。
上りホームの待合室に、存続を願う沿線の高校生が書いたヘタウマな「それいけ!かしてつ」の激励文を横目に、折り返しの列車で石岡へ。

列車の最後尾から「気動車でGo!」って感じで撮ってみました(動画)

沿線住民でもない私には、こうやって気まぐれで乗ってやる事くらいしか出来ないのだが…
ガンバレ、かしてつ。
結構楽しかったよ。
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贅沢な時間の使い方

2005年11月28日 22時40分03秒 | 日常
(写真:鉾田駅 駅前には何もない)
滞在時間20分でしたw

続き。

鉾田駅のホームを降り、改札を抜けて駅前に出てみる。
セブンイレブンと…えーと、それだけ(笑)。
何もなさ杉。

駅前のタクシー2台が降りてきた客を乗せてとっとといなくなってしまうと、駅前には残されたのは私ともう一人の「ここに用があって来た訳ではない」人が残された。妙に気まずい(笑)。ここにいてもしょうがないのかな…という感じなので、改札口からホームに戻る。木造の駅舎の中では、初老の駅員があくびをフワーと一発。
改めてホームから駅舎を眺めると、こげ茶色の屋根に木造の柱が何となく昔の小学校の分校のようであり、ローカル色は満点。だが、正直な話3分も見れば十分だとも言えるのだが(笑)。

帰りはどこかで途中下車をしながらゆっくり石岡に戻ろうと思っていた。鉾田の隣の坂戸駅からそう遠くない位置に「ラジウム鉱泉 ほっとパーク」のマークがあり、途中下車のスポットとして目を付けていたので、そこへ行ってみる事にする。出発前にあくびの初老の駅員に確認すると歩いてすぐの距離との事。幸い、折り返しはすぐの発車だ。

列車は雑木林に囲まれた坂戸駅に着いた。降りようと席を立ち運ちゃんに切符を見せると、「温泉はね、この駅の前の踏切を渡って、左に曲がって最初の角を斜め右に行くと見えるから!」えええエスパーですかおまいは!面食らいました(笑)。どうも鉾田で初老の駅員から私を案内するよう引き継がれたらしい…
運ちゃんに礼を述べ、坂戸駅を出る列車を見送る。運ちゃんにこのくらいの心の余裕があれば、絶対に福知山線みたいな事故なんか起こらなかったのだろうね(比べちゃいけないけどね)。
案内された「ほっとパーク鉾田」は、鹿島鉄道のローカルっぷりとは正反対の新しくピカピカな、いかにも地方のハコモノだなあといった施設。古くからこの場所に湧き出ている鉱泉を沸かしたお湯は、黒い湯でスベスベとしていました。

雲が出て来た。弱い日差しの下で、枯れ草の中の線路だけが鈍く光っている。湯上りの体を冷ましがてら、ブラブラと一つ隣の巴川駅まで歩いてみた。

ダラダラと30分程度の散歩で巴川駅に着く。
しかし時刻表を見てみると、石岡行きは行ったばっかりみたいで…orz
次の列車までたっぷり1時間。どうする。
周りは収穫が終わって枯れ草となった田んぼがあるだけ。
どうしようか…

寝るか(笑)。

この駅唯一の構造物であるホーム上の木造の待合室の中には、おあつらえ向きの長いベンチ。カバンを枕にして横になる。
初冬にしては暖かい日だったのも幸いでしたが。

ともかく、壮絶な時間の無駄遣い。
だが、贅沢な時間の使い方だな。

まだまだ、まだ続く。
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線路は続くよどこまでも

2005年11月27日 19時49分25秒 | 日常
(写真:冬枯れの景色に伸びる線路 巴川~坂戸間)
スタンドバイミーごっこをしたのは言うまでもない。

続き。

石岡駅を出た列車は、しばらくはゴトゴトといかにも北関東の郊外、といった感じの風景の中を進む。小さな駅が出て来ては止まり、チョコチョコと人を降ろしてすぐ発車する。何となくバス感覚で、親子連れが降りて行ったり、上下真っ白なジャージ姿の地元のヤンキー兄ちゃんが乗って来たり。

そんなこんなを繰り返す石岡南台、東田中、玉里(たまり)、新高浜、四箇村(しかむら)。駅と駅の間はとても短く、40km/h程度しか出ていないだろうか。ワンマンカーだけに、乗り降りのたびに運ちゃんも忙しそうだ。駅を出るたびにウワワワワ~ンとエンジンが唸る。

石岡を出て最初の街である常陸小川(ひたちおがわ)でまとまった客が降りる。だんだんと風景は農村の色合いを強めて、桃浦駅からは車窓の右手に霞ヶ浦が見えて来た。初冬にしては暖かいこの日の霞ヶ浦は、ガスで煙って文字通りの霞ヶ浦。冬枯れの湖畔をゴトゴトと行く列車。薄らぼんやりした風景と日差しは容赦なく眠気を誘う。

文字通り湖畔の駅である浜(はま)駅を過ぎて、列車は丘陵地帯へ入って玉造町(たまつくりまち)。乗客が降りて行って身軽になった老雄は、なぜか俄然スピードを上げて雑木林と畑の中を快走。なのはいいのだが、線路の立て付けが悪いのか車両が古いのか、車内はバコンバコンと猛烈な上下動を伴うラリー状態(笑)。なるほど古い車両の割には妙にシートがフカフカしてるのはこのせいだったのか!と妙に納得。シート固かったら間違いなく運ちゃん痔になっちゃうだろこれ(笑)。
目の前の80過ぎのばあ様は慣れたもので、持っている杖を支えに居眠り。大してスピードは出ていないはずなのだが、このタテノリのせいで体感速度はかなり速い。

榎本、借宿前(かりやどまえ)、巴川、坂戸と、全く人が乗る気配も降りる気配も無い駅が続く列車の旅。車窓の風景はこれと言って何もないが、のどかさだけは十分に補給出来る鹿島鉄道の旅である。

車内の風景から、そののどかさを体験してみてください(動画)

そういやこのブログ初めての動画だな(笑)。
movファイルから3GPに拡張子変えたら画質落ちちゃってますけど。

坂戸を出て少し街並みが見えてくると、終点の鉾田駅到着
石岡から1時間の旅でした。

まだまだ続く。
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超思い付き乗り鉄&取り鉄の旅

2005年11月27日 07時58分48秒 | 日常
(写真:鹿島鉄道一日フリーきっぷ 1,100円)

出掛ける時はいつも超思い付きなんだけど、ローカル線に乗って一日マッタリ過ごしてみたいなあと。

思い立ったが吉日で、程よく暖かな小春日和を鹿島鉄道で過ごして来ました。茨城県の東部、石岡から鉾田を結ぶ27.2km、沿線にはさしたる観光地もなく、ただただ霞ヶ浦のほとりと冬枯れの常陸路をのんびりと走る。千葉の小湊鉄道とともに、関東に残る非電化ののんびりムードのローカル線であります。

鹿島鉄道の出発駅はJR常磐線石岡駅
茨城県では土浦と水戸の間の中小都市の石岡は、駅前の風景も何となく20年前から時の止まったようなのんびりした感じの雰囲気。しかし駅前にロッテリアがあったのはポイント高い(笑)。昼食用のエビバーガー2個オーダー。
袋を持ってプラプラと。鹿島鉄道乗り場は、たいして大きくもない石岡の駅に間借りをするかのようにはしっこにありました。長い跨線橋を渡ると、案内板がお出迎え。車に主役を奪われるまでは、それなりの栄華を誇ったであろう時代の偲ばれる年季の入ったホーム。そして古びた路線図
駅員さんの詰め所で本日の乗車券(一日フリーきっぷ)を購入。ホームの奥には、何だか鉄道模型のセットのような機関区があり、機関車を一生懸命整備している係員の姿も見えてなかなかに良い雰囲気であります。
ほどなく鉾田方面からゴトゴトと1両編成のディーゼルカーが到着。ちょっとのっぺりとした顔で印象の薄い感じの「キハ602型」ですが、何を隠そう昭和12年製、うちのオヤジより年寄りのクラシックカーなのであります。メイドイン「鉄道省」ってのにびっくり(笑)。
車内は脂のしみこんだ板張りの床。シートは懐かしの緑色のモケットで、厚みのあるふかふかした座り心地は都会の新型車両の硬い椅子より断然良い。

発車間際に意外にも午前中の買い物帰りの客がどっとなだれ込み、車内はほぼ満席の盛況。発車のベルもなくぷしゅーと扉が閉まって、ウワワワワァ~ンと言う泣き叫ぶようなエンジンの唸り声とともに、しかしその音に反比例するかのようなゆっくりとした出足で列車は走り出しました。

続く。
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DVD買った

2005年11月26日 00時57分54秒 | 日常
この手のDVDは3つ出ているが、まあ全部買うほどお人よしではないという事で(笑)。てか、バース☆デイの焼き直し混ぜ込んで3,980円は商売しすぎだよなあ>東京放送
これが高宮あたりの契約金になったりしてるんだろうか。

つーか、ブックレットとかも何にもついてねーしw
映像がきれいだということくらいでしょうか。そりゃDVDだし当たり前か。
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