青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

北信に春息吹く

2019年04月30日 17時00分00秒 | 飯山線

(朝はつとめて@森宮野原駅)

毛布にくるまり、寒さに震えて迎えた北信の郷の夜明け。予報だとこの日は「絶好の行楽日和です!」とお天気キャスターも太鼓判の晴れ予報の日だったのだが、何だか予報に反してどん曇りである。正直言って撮り鉄ってーのはそんじょそこらのお天気キャスターよりもよっぽどテンキにゃあ五月蠅いのだが、昨夜の寒さから考えてまだ日本海からの寒気の流れ込みが抜け切っていないんだろう。スマホのSCWで雲の分布を見ると、案の定日本海側からの寒気が上信越国境の山々にぶち当たって雲を作っているようだ。

いつもの駅を見渡す高台の小道から。暗い時は気付かなかったけど、駅横の桜の老木もまだ少し花を残している。この時期、いつもなら駅手前のスノーシェッドにはまだ雪がたっぷりと残っているのが通例なのだけど、今年はわずかにその姿をとどめるのみ。やはり今年は雪融けが早かったようだ。斜面にはフキノトウも顔を出していて、駅の向こうの山に見えるブナ林の甘い緑とともに、北信の春のアイテムが揃い始めているようです。

朝5時の森宮野原、滞泊していた運転士氏が出勤して、まずは長岡行きの飯山色の出発準備作業を開始。
エンジンを大きく吹かすと、空に向かってディーゼル気動車らしい紫煙が吹き上がりました。

 

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森宮星夜

2019年04月29日 17時00分00秒 | 飯山線

(星降る北信の夜@森宮野原駅)

真夜中に到着した森宮野原の駅。VOITURE AMITIE’のロゴを纏い、2年に亘り飯山線のシンデレラ・ボーイとして活躍したこの塗装。同じ飯山色に塗装されていた僚機であるキハ110-231が検査入場によりあっさりと一般色に戻されたとの話を聞き、233が入場する前に最後のお別れを伝えに行って来ました。関越の湯沢ICから十二峠経由津南方面。勝手知ったる北信への道、ここを通るのも何度目だろうか。前日の最終列車172Dで森宮野原に到着し、翌日の始発列車1123D(長岡行き)に充当される飯山色のキハ110-233が、星空の下で佇んでいました。

すっかり雪が消えたとはいえ北信の夜はまだ冷える。気温は2~3℃程度だったろうか。ひとしきり夜間撮影を愉しんだ後、クルマの中で毛布をかぶってマルヨしたんですけど、さすがに寒くて寒くてあんまり眠れなかったなあ。冬季には降雪対策もあって長野まで引き上げてしまうので、ここでの夜間滞泊は行われないんですけど、寒いせいか飯山色も一般色も一晩中ディーゼルエンジンをかけっぱなしのアイドリング滞泊。駅の周りには少なからず住居もあるのだけど、近隣住民から苦情とか出ないのだろうか(汗)。

夜の海底のような森宮野原の漆黒の夜ではありますが、ホームの水銀灯に飯山色のカラーリングは実によく映える。それぞれ別の方向から来て、それぞれもと来た方向に戻って行く森宮野原の夜間滞泊列車。翌朝までの束の間の休息である。森宮始発の列車時刻は、長岡行きがAM5:37、長野行きがAM6:14と存外早い。

「そろそろお前も、俺たちの色に戻されちゃうんだってな。」
「ああ、みんなが俺にカメラを向けてくれて、この2年間スター気分だったよ(笑)」
「もうちょっと、この色でも良かったんじゃないの?」
「・・・魔法はいつか解けるもんだろ。」

耳を澄ますと、真夜中のキハたちの語らいが聞こえて来るようです。
我々を魅了した魔法の塗装は、僅か2シーズンのシンデレラ。
夜の12時の鐘が鳴る前に・・・

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Le temps de la séparation

2019年04月26日 22時00分00秒 | 飯山線

(遥かなる思い出たち@飯山色のキハ110)

さて、平成から令和に変わる10連休がスタートしました。もちろんメインは天皇陛下の退位と即位と言う慶事であることは論を待たないのでありますが、なんか話によるとあんまり天気良くないらしいですね。話では3月末までだった飯山色のキハ110、2機のうち1機はまだ入場せずに残っているとのこと。きっと最後になると思うけど、2年間北信を駆けて来た友情の列車、10連休の最初はコレを追っ掛けたいなと思っています。

コメント (3)
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塩之沢宵桜

2019年04月23日 22時00分00秒 | JR
 
(身延の宵闇に咲く@塩之沢駅)
 
大井川の春を堪能して、そのままハンドルを自宅に向けるつもりだったのですが、何となく新清水のJCTからフラフラと中部横断道にハンドルを切ってしまいました。先日に開通したばかりの中部横断道。現在は山梨県の富沢ICまでの部分開通ですが、どこかで見たのか、聞いたことがあるのか、身延線に夜桜が楽しめる駅があるという記憶がありました。富沢のICから、身延線に沿って県道を走る事30分。きれいにライトアップされた桜とともに、塩之沢の駅が迎えてくれました。
 
 
たまに通りかかる車のドライバーがちょっと車を止めて見上げる他は、ほぼ独占の塩之沢の桜。元々身延の街というのは、身延山の久遠寺に代表されるように桜のきれいな街で、あまり意識したことはなかったのですがこの時期そこかしこに綺麗に桜が咲いていました。夜桜の駅に313系3連の甲府行きの列車が到着。思えば山北の御殿場線でスタートした今年の桜、今年は割と313系づいているような気が、するようなしないような・・・?
 
 
塩之沢の桜は、駅のホームの向かい側に庭園のような岩積みが並べられていて、その向こうに咲いています。桜の木は結構な古木ですが花の付きは良く、ライトアップの光に映えて静かな夜の集落を華やかに彩っております。もう10年以上前になるけど、塩之沢の駅って18きっぷで旅行してた時に一回だけ降りた事があるんだよな。駅の裏に「塩之沢温泉」という小さな鉱泉宿があって、そこでひとっ風呂浴びさせてもらった思い出がある。まだ温泉宿はやってるのかなあ。最近、地方に行くと、昔訪れた事のある宿や温泉や施設が軒並みなくなっていて、世のあはれを感じたりすることが多いのである。
 
 
先ほどの甲府行きと、甲斐常葉で交換して来た富士行きの普通列車。そう言えば、塩之沢の温泉は、小さなばあちゃんが一人で番をしていた覚えがある。この手の温泉(鉱泉)宿が、結局は経営者の高齢化と後継者不足によって閉めてしまうという事例を何度も何度も見てきた。さすがに夜だったので宿の現状は確認できなかったんだけど、あの暑い夏の日にセミの声を聞きながら飲んだ湯上りの麦茶と、たわいもないばあちゃんとの会話を忘れてはいないのであった。
 
塩之沢の宵に咲く満開の桜。水銀灯に照らされて、峡南の春を鮮やかに彩ります。
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川根路桜旅情

2019年04月21日 17時00分00秒 | 大井川鐵道
 
(終列車@川根両国駅)
 
川根小山の駅で撮影した最終列車が、両国の駅へゆっくりと滑り込んできました。朝方に比べれば、駅舎脇の桜もだいぶ咲き進んだような気がしますね。すっかり夕暮れ模様の両国の駅、208レが業務用の作業袋を両国駅の職員に渡します。後部車両からは、途中駅の勤務に従事していた駅員さんと思われる方々が下車して、両国乗務区に戻って行きました。最終の208レは、井川線各駅の退勤用の列車としても機能しているようです。
 
 
所定の引継ぎを終えて、両国の駅を出発する208レ。機関士氏は、後は千頭まで約5分の旅路。千頭まで走ったら、編成を両国まで回送するのかな?翌日の始発列車に備えて、面倒だからそのまま留置になるのだろうか。鉄道マン同士のあいさつというシーン、いつものいつも通りの所作でしかないのだろうけど、長年に亘って染み込んだ身のこなしにはこちらも背筋が整うような、鉄道従事者に共通する規律の重みのようなものが感じられて好きです。
 
 
春の大井川の桜旅のフィナーレを飾るように、さくらカンのDDが両国の駅を出発して行きます。春の両国は桜、夏の両国は緑とサルスベリ、秋の両国は桜の紅葉、そして冬の両国は・・・何だろう?(笑)。そう言えば私が大井川を訪問した一週間後、4月の半ばで井川付近では大雪に見舞われたらしい。井川はあれで静岡市内なのだから恐れ入るよな。まあ静岡市の面積が広すぎるだけなんだけどさ。南アルプスの北の方で長野県の飯田市とか伊那市とかとも繋がっているのが静岡市。デカすぎる。雪の井川線も撮影してみたいけど、追っ掛けやるにも周辺道路が大変かもしれない。
 
 
桜の時期の大井川。初めての訪問となりましたが、電車・SL・EL・DLとさまざまなバリエーションの鉄道車両と絡めて春爛漫の景色を切り取れることの何と贅沢な事よ。という事でしょうかね。これは大井川鐵道じゃないと出来ないよね。あとは気動車がないくらいでさ。個人的には、家山の周りの桜も良かったけど、川根小山の桜ですかね~。桜並木というよりは、一本桜の孤高な感じに惹かれてしまいました。最初は、本線の桜(家山とか駿河徳山とか)を撮影する気分で来たはずの大井川でしたが、思った以上に井川線の比重が高くなってしまったのは、潜在的に井川線が好きな自分の気持ちを抑え切れなかったのかもしれません(笑)。
 
 
最後に、家山の街から山へ2~3km程度入って行ったところにある「牛代(うしんしろ)の水目桜」をご紹介して、この旅のフィナーレといたしましょうか。樹齢300~400年、江戸時代からこの地に佇んでいるエドヒガンの古木で、茶畑と山々に囲まれた小高い丘に、この時期ひときわ大きな花を結びます。大井川鐵道の撮影の合間に足を伸ばしてみたんだけど、たまにはこういうネイチャー系の写真もいいもんだ。
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