青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

相州瑞穂候

2019年05月31日 22時00分00秒 | 小田急電鉄

(瑞穂の海を行く@開成~栢山間)

小田急の通勤車では最古参の8000系。6連の各停運用は久しぶりに見ました。3月改正から快速急行が開成に止まるようになりましたけど、その分栢山~足柄間は日中時間4本から3本へ減便の憂き目に。日中で本線が20分間隔と言うのはかなりな閑散ダイヤとなってしまった小田原市北部の流動ですが、下手したらラッシュでも日中でも12分間隔の大雄山線の方が場所によっては便利になってしまったような気がしないでもない。

小田原市も、2000年あたりまでは人口増加傾向にあって20万都市を維持するかと思ったのですが、そこから人口は伸び悩んで現在はジリ貧の状態。一応新しい家が建ってはいたりして住民の入れ替えが行われてはいるようですが、相変わらず開成町と小田原市の境目はこんな感じの田園地帯。思えば、関東の大手私鉄で大きな田園風景を走っている列車もそんなにはないような。東武と京成と小田急くらいかな?うっすらと夏富士が姿を見せた足柄平野を、青い特急列車が下って行きます。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

登戸の事件に寄せて

2019年05月28日 22時00分00秒 | 小田急電鉄

(身近な街だから@登戸駅)

見慣れた街の、見慣れた景色が、突然の凶行により血塗られてしまうこと。 同じ子供を持つ親のはしくれとしてやるせないし、憤りを感じるのだけど、では守るためにどうすれば?という解決策はなくて、それが余計にやるせなさを増幅させてしまう。明確な殺意を持って不意打ち的に凶行に及ぶ犯罪者に取りうる対策などない。せめて子供に、制服に加えて防刃ベストでも配ってやればよかったとでもいうのだろうか。今朝、何食わぬ顔をして自宅を出て、読売ランド前の駅から登戸に向かったというその足取りにも戦慄を覚えてしまう。

登戸駅は、旧向ケ丘遊園地の一角に建てられた「藤子不二雄ミュージアム」の最寄り駅ともなっていて、休みの日は親子連れの姿も多い。駅も最近ドラえもんの世界のイメージを取り入れた小田急らしからぬデザインに模様替えして、昔の南武線との乗換え駅として狭くて汚いゴチャゴチャした登戸を知る世代としては隔世の感があったりする。府中の競馬開催日には登戸日勤の援軍を頼まれる事も多く、バイトの身で狭いホームに立っては乗客整理に当たっていたことが懐かしく思い出される。自分の知っている登戸は、競馬帰りの客が酔っぱらって駅員にケリ入れて来ることはあっても、こんな事件が起こる街ではなかった。改めて被害に遭われた方々とその関係者の皆様に哀悼の意を表するとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈り申し上げます。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

水鏡好日

2019年05月26日 22時00分00秒 | 小田急電鉄

(足柄水鏡日和@開成~栢山間)

この週末は海老名でファミリー鉄道展が開催されていますが、小田急沿線の田んぼにも6月を前にしてようやく水が入り始めたとの情報を得たので、早朝の散歩がてら足柄平野まで足を伸ばしてみました。田んぼに水が入って田植えまでの僅かな間でしか見る事の出来ない「水鏡」と言われる状態ですが、こと昨今のSNS時代ではそのような季節柄の非常にニッチな話題もアンテナだけ上げていれば飛び込んでくるのだから楽なものだ。開成と栢山のちょうど中間に広がる田園地帯、狙うのは箱根湯本8:12発となる「はこね2号」の送り込み回送。キレイな水鏡を狙うのに、風が少なく波の立たない朝の早い時間の列車を狙うのは鉄則。水量が少し少ないかな、と言う感じはありましたが、まずはGSEをピタリと風のない状態で写し込みました。

昨年のこの時期は、最後のLSEと水鏡のリフレクションを狙って相当大勢のマニアが押し寄せた記憶も新しい栢山の田んぼ。あまりにも撮影者が押し寄せたせいで、地主の農民とひと悶着もふた悶着もあったと聞いております。LSEフィーバーが去った今年は、さすがに好天の水鏡日和と言っても10人かそこらの人出でしたが、昨年の混乱ぶりに懲りているのか、何だか明らかに農家の方々の警戒感が強まっているのを感じましたねえ・・・

何となく雰囲気がそんなピリ付きムードだったんでそそくさと退散してしまいましたが、1人2人では文句も言われないんだろうけど、向こうにしてみりゃ総数が増えて来るとマナーの良し悪しではなくそれだけで鬱陶しいことこの上ないのかもしれない。田んぼに水を入れる=田植えの時期=農家の繁忙期という事を考えると、朝早く・時間は短く・撤収素早くが無用なトラブルを避ける三ヵ条かもしれません。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

海老名御開帳の儀

2019年05月25日 22時00分00秒 | 小田急電鉄

(ロマンスカー60年の系譜@小田急ファミリー鉄道展)

2021年春のロマンスカーミュージアムの開館を控え、海老名車両区の南側の車庫の中にしまい込まれていたSEこと小田急3000形(初代)が、12年ぶりにお天道様の下に出て来ました。何年か前の海老名公開で車庫の中にいるのを見れるという機会はあったと思うんだけど、こうして広い車両基地の中で最新車種のGSEとともに並ぶというのは何だか感慨深いものがあります。昭和32年から平成30年まで60有余年のロマンスカーの歴史。令和の時代を迎えて過去と未来を繋げるかのごとく並んだその姿、今日だけはGSEのG=Generetionであったかもしれません。

久し振りのSEのお出まし。という事象自体が小田急ファンにとっては例えて言うなら善光寺の御開帳みたいな宗教行事的意味合いがありまして、5月とは思えない暑さに見舞われた海老名車両区も巡礼に訪れたファンたちでヒートアップしておりました。長らく5両編成で保存されていたSE車ですが、昨年来の小田急本社における保存車両計画の見直しに伴い、中間車については整理解体の対象となっているのだそうな。この海老名での公開が終了したら、解体車と保存車の編成組み換えのために一旦大野工場へ入場するものと思われます。ファンがヒートアップしたのも、最後のフル編成での姿を拝めるのがこれが最後というのもあったかもしれませんね。

デビュー当初の顔に復元された新宿方の車両と違って、小田原方は馴染み深い自分の良く知るSSE車の顔。そうそう、晩年はRSEにその座を譲るまで、ほぼ御殿場線に乗り入れる「あさぎり」の専担として活躍をしていました。多客期になると5+5の10連でさがみとかあしがらに入ったりもしてたよね。地元の最寄りの向ケ丘遊園に止まるロマンスカーは、専ら日中はSSE車が多かった記憶がある。ああ、追憶の「急行」あさぎり号。停車駅は新宿・町田・本厚木・松田・山北(1号・6号は谷峨停車)・駿河小山・御殿場だったかな。 車掌が鉛筆でチェックを入れる、硬券の連絡急行券が懐かしいですね。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

マルキューリューイーソー

2019年05月22日 22時00分00秒 | 箱根登山鉄道

(箱根登山新塗装@大平台駅)

東京オリンピックの2020年を限りに廃車が決定している箱根登山鉄道の旧型車群ですが、先日後継のアレグラ号(3000形)が豊川から輸送されたようで、サンナナの愛称で親しまれた103+107号については7月での引退が決まってしまいましたね。そして、それよりもっと驚いたのが、サンナナに増結される単車の109号が入生田に入ったと思ったら突然緑色塗装になって出て来たこと。何の公式アナウンスもなかったので、このサプライズにはビックリ。

本来であれば、行く先短いサンナナ編成をゆっくりと愛でるはずだった・・・のですが、このサプライズにGW最中に箱根へのスクランブル。目ざとく耳ざとい登山ファンが早くも追っ掛けの迎撃態勢を張る大平台界隈。この深い緑は昭和30年代ごろの登山線カラーを意識したもののようですが、新緑の中また違った魅力を函嶺の山に振りまいています。

大平台の坂道を降りて、湯本に向かうリューイーソー109号。こうも緑に塗られると、なんか目蒲線を走ってた東急の3450形のような感じもあったりして。あと、最近使われ始めたレトロな行き先表示板がいいよね。いつもなら強羅行きが明星ヶ岳の大文字、湯本行きが大名行列のイラスト入りなんだけど、絵がなくてシンプルなデザインがより一層雰囲気を引き立てます。

ところで先日、箱根火山は活動の活発化によって噴火警戒レベルが2に引き上げられましたね。前回の活動期(2015年)は小規模噴火まで至ったのだけど、今回はどうだろうか。山の神が鎮まるかかどうかはまさに神のみぞ知るという感じなのだけれど、箱根観光の中心的存在でもある大涌谷付近の入山規制が発動し、箱根ロープウェイが(おそらく)噴火警戒レベルが下がるまでは当面運休となっているので、紫陽花の時期を前にまたも箱根には大きな痛手となりそう。

写真で見る大涌谷定点観測。左が平成25年1月、右が平成31年3月の姿である。ほぼ同じ場所から撮影しておりますが、この写真を見るだけでも大涌谷の噴気活動の活発化というものがお分かりいただけると思う。山は生き物。個人的には登山線に乗って戻ってくるくらいならそこまで心配もしないでもいいのかな、という気もしますし、サンナナとマルキューのコンビが楽しめるのも今だけだからぜひ足を運んで欲しいと思いますけれども、個人個人のリスクの感じ方なんぞ人それぞれなんで、ご自身で判断いただければと思います。「箱根火山の噴火警戒レベルが上がって観光業に風評被害が〜」というお決まりのフレーズ、顕在したリスクを回避する行動を風評被害という捉え方にしてしまう考えには激しい違和感を感じてしまうのでね。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする