青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

三田線スナップ

2021年02月17日 15時00分00秒 | 東京メトロ・都営地下鉄

(ダイエーのある街@都営三田線・西台駅)

先日、都営三田線志村検修場に行った際のスナップ撮影。スナップ、というほど小洒落たカットでもないのですが、まあお見せ出来るレベルのものを適当にごった煮で。都営西台アパートから見た西台の駅前。西台駅前ってダイエーがあるんですよ。昭和の流通の王者がイオングループの軍門に下ってから随分経ちましたが、今調べたら、都内で純粋に「ダイエー」のブランドで商売をやってる店がまだ10店舗ちょっとはあるみたい。しかしまあ「公団(公営)住宅」と「ダイエー」のコラボってのは世代的にどストライクもいいところですねえ。団塊ジュニアの心の琴線がジャラジャラ鳴らされる街、それが西台。スガキヤであんみつとラーメン食いてえ・・・ってなる。ドムドムでもええで。

ようようと明け行く高島平の街。公団住宅の隙間から昇って来る生まれたての太陽を浴びながら、城北の高架線を往く都営三田線。とりあえず西台から終点の西高島平まで乗ってみたのだけど、休日の朝の末端区間は乗客も疎ら。窓の外を流れる団塊ジュニアの揺り籠を眺めながら、換気のために少しだけ開けられた窓から冷たく清々しい城北の風が入って来るのみであります。西高島平の駅は、駅の間近まで首都高の5号池袋線が迫っている。荒川の向こうは埼玉県の戸田市。計画では、東武東上線と乗り入れて埼玉方面への延伸計画があったのだとか。

朝日の高島平ストレート。この辺りでは東西に走る都営三田線、冬の低い朝日がきれいに6300形を包んでいる。素晴らしい光線状態なのですが、誰も撮影をする人はおりませんでした。当たり前か。最近はSNSでちぃとでもバズった写真が出ると、すぐみんな真似っ子して撮影しに行くというある意味でオーバーフォトリズムとでも言いたくなるような案件が続発しておりますが、都営三田線はそう言ったものとは無縁の存在のようです。こんなにカッコいいのに!って思ったけど、みんながこの魅力に気付いたらつまらないので、これからも自分の中でコツコツ集めてニヤニヤして行きたいと思います(笑)。

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城北の地下鉄要塞

2021年02月14日 09時00分00秒 | 東京メトロ・都営地下鉄

(居並ぶ鉄仮面@都営志村検修場)

先日、都内へ仕事に馳せ参じた際に、インターバルで結構前から気になっていた都営6300形を撮影をしたのですが、家に戻って改めて写真を見直したら、なかなか格好いい車両なんだな・・・と改めてその魅力に気付かされたのであります。自分の生活圏内にはない車両ではあるものの、ちょっと足を伸ばせば撮るには訳ない距離感の車両。ちょっと追っ掛けてみようかな?なぁんてスケベ心が頭をもたげるのでありますが、さりとてこの緊急事態宣言の中で、都内を走る電車を神奈川の片田舎からのこのこ撮りに行くのもいかがなもんか、という意識がありまして。じゃあどうするか。と考えた結果、「ヒトのいない時間に撮影すれば良いのでは?」という結論に至りました。草木も眠る丑三つ時、暫しの眠りに就く鉄仮面たち。強烈にカッコ良くないですか?全くもって個人的にエモくて満足した一枚なのですが、真夜中に行くならこれが狙いたかったのよ。昼間じゃ本線に出てっちゃってて、ここまできっちりみっちり並ばないだろうからね。

訪れたのは、都営地下鉄の志村検修場。都営三田線・西台駅の北側に広がる広大な車両基地で、三田線の全車両が留置や点検のために出入りする心臓部でもあります。そして、え?どこに車庫があるの?というカットなのですが、実はこの志村検修場、電車の留置線の上に人工地盤を作り、その上に都営住宅(西台アパート)が乗っかっているという実にトリッキーな物件。戦後のベビーブームによって生まれた団塊の世代が東京へ出て来て働き始めた昭和40年代、逼迫した住宅事情を解消するため、都営6号線(三田線)の建設とセットになって行われたのが高島平団地を中心とした都の城北地区の住宅開発でした。

高島平9丁目にあるこの西台アパートも、高島平の住宅開発の一環として作られた物件なのですが、思えば団塊の世代が結婚して住居を構えるのってこういう公団住宅でしたよね。我々のような団塊ジュニア世代には、このような「団地住まいの子供達のコミュニティ」が記憶の原体験になっている人も多いんではないでしょうか。かくいう私も、生まれてから暫くはいわゆる住宅都市整備公団(現在のUR)の建設した団地に住んでいたニュータウンの子供たちなのでありますが、高度経済成長期から約半世紀が経ち、その存在自体がすでにノスタルジックなものになり果てています。西側の駐車場から見渡す西台アパート8号棟。巨大。地上14階建て。あまりにも壮大にシンメトリカルなその風貌、ずーっと見ているとLANケーブルの差込口かと思えて来る。

さすがに朝4時では灯りのついている部屋自体が少ない西台のアパート。お邪魔にならないように、そーっとそーっとその姿を眺めてみる。中の吹き抜けから夜空を見上げると、その幾何学的な美しさが何とも癖になる。足元の下に整然と並んだ地下鉄車両同様、全てのものが整然と美しく整った姿に魅惑的なものを感じてしまうのだが、朝の4時にこんな場所で公団住宅を眺めているの、さすがにちょっと自分でも狂気じみた行為をしているような気がする(笑)。家を3時に出て、用賀から環八走ってトータル1時間くらいで着いちゃったので、「こんな場所」と言っても近いっちゃ近いのだけど・・・そもそも用もないのに、れっきとした不審者なのではないか?軽い不法侵入を問われても文句は言えないという状況にあった事はお許しいただきたいところ。

まあ何はともあれ、ノスタルジックな60’sの建物の下に、デザインもメカニカルな車両が格納されているこの感じ。何とも「昭和世代が想起した近未来感(分かりますかねこの感覚)」を具現化したような雰囲気が眠気交じりの脳髄をビンビン刺激する。これを見に来た。ものっそい寒いけど、そこがあまり気にならない。さすがに車両基地に繋がるエリアは金網で厳重に管理されている場所がほとんどなので撮り方には制約があるんだけど、この「地下鉄要塞都市」とも言えるワンダバ感が最高なのである。なんだっけ?東映の戦隊モノでさ、最終ロボが後楽園球場の下から出て来るのあったじゃない。ああいう感覚ですよああいう(どーいう感覚だよw)。

朝5時を回り、徐々に検車区に留置されていた車両たちにも灯りが付き始め、当直の運転士や整備士たちが、めいめいに出区点検を開始します。運転台の乗務員扉が閉まる音。基地の奥から、出区点検のドア開閉の音。車内の自動放送の音。早朝のためか、短い警笛がプァンと一発、インバーターサウンドを軽やかにかき鳴らし、電車が出庫して行きます。そんな毎朝の変わらぬルーティーンが、大勢の人々のベッドの下で行われている。夜が白々と明け始めて、駅に繋がる通路をポツリ、ポツリと駅に向かい始めるアパートの住民たち。緊急事態宣言下のメトロポリスで、今日も人々の暮らしが始まります。

先日撮影した東急線内から見た都営三田線は、城南の人気エリアを通り目黒から白金を通って都心へと繋がる、沿線住民が意識高い系っぽい感じの路線でした。しかし、こと北部の末端部に至ると、かように全く違う顔が見えてきます。高島平のサラリーマンを乗せて運んで半世紀、団塊の世代が第一線を退き、子供たちは街を出て、高度経済成長期に開発されたニュータウンに残された住民の高齢化が問題になっています。これは全国各地の昭和のニュータウンに共通の症状なんですけどね。最近は安価な家賃を求めて外国人の居住なんかも目立っていると聞きますが・・・まあそれでも多摩ニュータウンや千葉ニュータウンに比べれば圧倒的な都心部へのアクセスの良さは魅力のエリア。今後は高島平のアパート群のリニューアルと、住民の世代交代が課題でしょうか。昭和のインフラの老朽化ってのは高島平だけじゃなく日本と言う国の課題でもあるのですが、建て替えるにしても大変だよなあ。どうする東京都住宅供給公社。

最盛期は5万人を抱え込んだかつての公営住宅は老朽化によってセピアに色付いて、何となく減価償却が終わってしまった感じの雰囲気が色濃く残る西台の街。高架の線路を、日吉行の電車が発車して行きます。

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スタイリッシュなキャピタル・ブルー

2021年02月07日 10時00分00秒 | 東京メトロ・都営地下鉄

(駅撮りキッズの聖地@都営6300形)

先日の仕事での都内訪問。何カ所かの訪問をこなしつつ調査や手続きを行って来たのですが、各所のアポイントの間がそこそこ空いていたゆるーいスケジュールであったので、ちょこちょこと移動中の合間合間でカメラを握る時間を捻出する事が出来ました。カメラを握れること自体が気晴らしになるのと、仕事中に撮る!という背徳感がいいですよね(笑)。と言う訳でホームに駅撮りキッズがたむろする東急の多摩川駅にて。みんな狙ってるのは東横線の車両みたいですが、挨拶して来た通りすがりのキッズに「何撮ってるの?」って聞いてみたら、「メトロ7000とか・・・」って言ってた。そうか、もうアレもだいぶ古くなって来たからねえ。副都心線もまた新車が入るというし・・・

東急界隈、別にこれと言って撮りたい!ってモノがあった訳でもない。仕事で動く経路が東横線から目黒線方面だったので、個人的にデザインが好みな都営三田線の東京都交通局6300形を中心に撮影してみる。メトロ7000に比べると見た目からして相当に新しい車両だと思うのだが、この車両も既に後継車両(6500形)が製造されてロールアウトしているらしい。「こんなに新しい」と言っても、初期車両のデビューは平成5年(1993年)と言われてビックリ。もう30年弱も走っておるのだね・・・

都営6300形。シルバーメタリックのステンレスボディに、三田線のブルーと東急のレッドをあしらったラインカラーは、キャピタルシティの公営地下鉄らしいスタイリッシュなデザイン。そしてこの車両のデザインのポイントは、ブラックでまとめた隈取りのヘッドライトと、ヨーロッパの鉄仮面のような自己主張の強いスカートでしょうか。ちなみに、作られた年次によって微妙にスカートの形が違うのが特徴で、私はこの3次車のスカートがいっちゃん好きです。連結器の開口部がクワッと開いていて、どことなくロボットアニメ的でもある。保守管理のためなのか、裾に付いている留め金で着脱式になってるっぽいのがよりメカニカルな感じを引き立てているような。

東急目黒線は、都営三田線・メトロ南北線・埼玉高速鉄道との四社間の乗り入れで運行されていますが、本来業態的にはライバルであるはずの都営とメトロが呉越同舟となるのも目黒線ならではの光景。南北線の9000系と並んでもらいました。都営6300形も相当にLEDが渋くて、こうやって停車している時でないとなかなかうまく映らんでなあ。走行中の写真でLEDを写すのは至難の業。写すには、シャッタースピード1/125以下らしいです。

低い冬の西日を浴びて多摩川駅に進入するのは、スカートの裾が繋がっていない1次車。5編成しかないみたいなんでレアっちゃレアですが、やっぱり3次車と比べると大人しく見えてしまいますよね。まあ、目黒線から三田線界隈は全ての駅が基本的にホームドアなので、マニア以外はあまり車体下部を見る事もないんでしょうけども(笑)。趣味的には、駅撮りするのにホームドアってのは障害物以外の何物でもないのですが、乗客の安全面やバリアフリー的な時代の趨勢を考えると導入が進んでいくのは仕方のないこと。

1次車に比べ、スカートが大型化した2次車。形状としては同じ目黒線を走っている東急の3000系と同じような感じが。スカートの形状については、ミニスカートの1次車、大ぶりでゴツい2次車、肉抜きしてスマートな3次車というイメージでしょうか。保守管理用のスカートの留め金は2次車から始まったみたいですね。

東急目黒線は、日吉から南側への延伸(新綱島~新横浜~羽沢横浜国大)が鋭意進められていて、2022年度には東急新横浜線と一体化して相鉄と繋がり、神奈川東部方面線ルートが完全開通する見通しになっています。都営6300形についてはおそらく相鉄乗り入れ対応の工事はしないと思われるので、相鉄対応済みの6500形の導入に応じて1・2次車は運用を離脱し、3次車以降が日吉まで限定の運用という事になりそう。せっかくなら、3次車にも乗り入れ工事を施して、県央地区まで足を伸ばしてくれればいいんだけど・・・6300形で、西高島平発の海老名行きとかやりましょうよ(笑)。

それにしても、6500の導入で離脱する1・2次車はどうなるんですかね。ひょっとしたら中間車は3次車の8連化に使われたりするのかな。先代の6000形のように改造して地方転出とかも考えられますが、全車にモーターが付いていた6000形に対して、6300の先頭車にはモーターが付いておりません。短編成化に際しては改造費用がそれなりにかかりそうではありますが、出来れば先代の跡目を襲名するために秩父とか行ってくんねえかな、と勝手に思っています(笑)。

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